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「天城山からの手紙 40話」

光に包まれた瞬間、すべての想いは見透かされた様に想いがあぶり出される。森で繰り広げられる光のドラマは、遭遇したくてもなかなか出合う事は出来ない。しかし、一度でもその光景を体験すると、もう虜となってしまうのだ。うっすらと霧が漂う中、急に何とも言えない温かさに包まれ、自分を包む空間が、ふわ~っと黄金色のオーラで埋め尽くされる。こんな瞬間が”光芒(こうぼう)”がそろそろ出るかもしれない合図なのだ。この黄金色の空間は、なんとも言えない高揚感と安らぎを与えてくれ、私の体から動きを奪う。しばし、そんな特別な時間に身をゆだねると、後は光の演劇の開演に備えるのだけだ。始まりは突然で、小さな点のような光の粒が小さな一筋の光を放ち合図する。うっすらと弱い光の筋は、流れる霧の濃淡で、滑らかに動き、踊りだす。そして、霧がゆっくりと光の前を過ぎると、楽譜の音符が現れては、リズミカルに動き、小鳥との演奏会が始まる。もう、何の心配もいらないと思えるほどの希望が溢れ出した時間は、皆の悦びだけが空間を埋め尽くした。しかし、光在る所には影がある事を忘れてはいけない。そう両極の想いは必ず存在するのだ。悦びに包まれた私はグッと心を落ち着かせ、写真を通して他の感情を探していく。そうするとやはりあったのだ。それは、陰に住む者が、眩い光に心を見透かされた姿が・・。まさに光の浄化だろうか?もう嘘はつけないと呟く声が小さく私の心に響いた。

掲載写真 題名:「見透かされた心」
撮影地:伊豆稜線歩道
カメラ:SONY α7RⅢ FE 24-70mm F4 ZA OSS
撮影データ:焦点距離49mm F14 SS 1/640sec ISO400 WB太陽光 モードAV
日付:2018年8月29日 AM6:25

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