スマホで暇つぶしの王道はゲームから動画になっていた?

前回シリーズが完結しないまま2020年になってしまいすみません...。そちらも再開していきたいと思いますが、今日は軽くタイトルの話題を。

要旨

・スマホゲーム業界の競争激化が止まらないなか、上場各社業績面での苦戦が見られる
・その要因のひとつに「一般ユーザーはゲームをやめて動画コンテンツを見ている」という仮説がある
・MMD研究所発表の「アプリ利用率」を遡って調べると、実際にゲームの利用率は低下を続け、動画の利用率が上昇している

一般ユーザーはゲームをやめて動画を見ている説

一ヶ月程前から、昨年10月〜12月の四半期決算期ということで各社決算発表が行われていますが、今期はDeNAさんが大きな赤字を計上した(あくまで会計上の一時的なもの)ほか、mixiの「モンストリバイバル」施策もいま一歩振るわないど、ゲーム各社苦戦が続いている様子が伺えます。

もちろん、あくまで過去が良すぎたというだけで、今でも十分利益を出していたりしますし、ゲームの市場規模自体は未だに緩やかに伸びているはずなのですが、各社売上は減少傾向にあるようです。

その要因についてやや突飛ではありますが、「今が動画全盛だから」という説があります。自分がその説に最初に触れたのは、昨年12月頃「ソシャゲ離れ」という単語がバズった際に、マックスむらい氏が自身のyoutubeチャンネルでコメントをした動画でのことでした。

それ以来、そもそも「スマホゲー」の立ち位置についてうっすら考え続けていたのですが、ちょうど先日MMD研究所より「2019年版:スマートフォン利用者実態調査」が公開されました。その中で「最もよく利用するアプリ」の項目が目にとまったため、こちらを過去遡ってまとめてみました。

調査結果データ

「よく利用するアプリ」のアンケート回答率推移

※1 2016年の調査結果は見つかりませんでした
※2 2015年の調査結果ではSNSとコミュニケーションを合わせて1項目とされていました
※3 調査はコロプラさん運営の「スマートアンサー」で行われており、母集団が偏っている可能性もあります

ご覧の通り、ゲームの利用率は右肩下がりなのに対し、動画は2017年以降利用率を上げ続け、昨年ついにゲームを逆転しています。
この事実からも、動画コンテンツによってユーザーの時間が奪われ、ゲームがプレイされなくなった説はある程度正しいように見えます

ゲーム業界人としてはどうするべきか

この様な状況で我々のようなスマホゲーム業界人はどうするべきなのか?
選択肢はいくらでも広く取れてしまうので、ここは一つ「どんなゲームを開発/運営すべきなのか」の雑感だけ最後に並べておきます

■パターン1.クオリティが高く面白い「ゲーム」を作る
ゲーム寄りの考えとしてはこれが王道。最近では一番慣れ親しんだゲーム機=モバイルデバイス、という層も一定いますので、スマホゲーだから手軽であるべきといった概念は捨てて「たまたまプラットフォームがモバイルだった」という姿勢で開発に挑戦してみるのもありだと思います。ただし難易度は激高です。

■パターン2.オートプレイ/放置系で動画視聴と共存できるものを作る
比較的最近よく見るのがこれかなと。今までのモバイルゲームの流れを汲みながらも、そこにオート/スキップを上乗せすることで、「動画を見ながらゲームを回す」ことを可能にしたものです。このパターンの場合、そうは言っってもなにかしらの価値を提供していることが必要です。それは、ゲーム内のストーリー、キャラクター、レイドボス、ギルド戦、リアルとの連動、などなど何でも良いのですが、何か一つは「周回の先」を用意する必要が。
そこでヒントになりそうなのが、アカツキの塩田CEOが提唱している「感情価値」ですので、こちらもチェックしてみてください。

まとめ

今回は短めの記事にしようということで、個人的に引っかかっていた「動画サービスが流行っていることでゲームプレイ時間がなくなっている」という仮説を、調査結果から定量的に確認してみました。結果、どうやらこの仮説は一定の信憑性がありそうでした。スマホゲーム開発者は、こうした状況を真摯に受け止め、ゲームデザインに対して適切に反映させる必要がありそうです。

最後に、FFBE幻影戦争のプロデューサー&ディレクターインタビューより一部を抜粋させていただきます

4Gamer:
 「FFBE」と「FFBE幻影戦争」を同時に遊んでいる人も多いと思いますが,オート周回機能が実装されてからは,さらに並行プレイしやすくなりましたね。

小倉氏:
 オート周回機能については,いわゆる「放置ゲーム」になってしまう恐れもあり,実装するかどうかは悩んだところです。最終的には,現代のスマホゲームの遊ばれ方に合わせることになりました。

広野氏:
 そもそも開発チーム内では,オート機能や倍速機能の実装自体も議論が交わされたところでした。当初は「FFT」をガチガチに意識して,シビアなバランスのゲームにしようという構想もあったのですが,ふと昔を思い出してみれば「ベストプレープロ野球」などもオートプレイ主体のゲームなのに,白熱したじゃないですか。ゲーム性というのはある意味作り手のエゴの押し付けでもありますし,それより重要視すべきは“いかに記憶に残る楽しさを用意できるか”だろうと判断した結果です。

参考文献



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