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レンタル以外でも収益を上げるレンタルビジネス(レンティオ三輪さん①)

今回ご紹介するビジネスのプロフェッショナル「ビジプロ」は、カメラや家電などを手軽にレンタルし、「買わないで試す」という新しいサービスを提供しているレンティオ株式会社の代表取締役社長、三輪謙二朗さんです。

創業のきっかけ、レンティオが目指す新しい価値の創造、三輪さんの働き方に対する考え方など、三輪さんのお話を3回に分けてご紹介します。

初回は三輪さんのビジネスについて。三輪さんの創業はたむらけんじさんがきっかけだった…?レンティオがメーカーから注目される理由などなど、面白い話が聞けました。

この記事はFMラジオ、InterFMで毎週日曜20時30分からお送りしている番組ビジプロで放送された内容と、未公開部分を併せて記事化しています。ビジプロは、サラリーマンは300万円で小さな会社を買いなさいなどの書籍や、個人M&A塾サラリーマンが会社を買うサロンで知られる事業投資家の三戸政和が、さまざまな分野の先駆者をゲストに招いて話を聞き、起業や個人M&Aなどで、新たな一歩を踏み出そうとしているサラリーマンを後押しする番組です。番組は三戸さんとの対談ですが、記事はゲストのひとり語り風に再構成しています。
音声アプリVoicyでは、ノーカット版「ビジプロ」を聴けますので、こちらもお楽しみください。

買わないで試せるレンティオのサービス

レンティオは家電製品やカメラなどさまざまな商品のレンタルサービスを提供しています。レンタルできるのは、カメラ、ルンバなどの掃除家電、美容家電、キッチン家電などで、その数は2900種類まで広がりました。

家電を買おうかどうか悩んでいるとき、レンティオでレンタルすれば、実際に商品を試して買うか買わないかを決めることができます。「買う」のでもなく、「悩んで買わない」のでもなく、「買わないで試すことができる」というサービスです。

レンティオには数泊や1週間といった短い期間のレンタルと、月に数千円から数万円を払って長期間レンタルするサービスがあります。いずれのサービスも買取りのオプションがついていて、気に入ったらそのまま買い取ることができます。

楽天で家電ECを学び起業

僕は大学卒業後、楽天に入って、楽天市場を運営するモバイル推進事業を担当していました。まだスマホがなくガラケーで利用するサイトでしたが、すごく伸びていた分野で、楽しかったです。楽天を退職後、家電ECのベンチャー企業勤務を経て、レンティオの前身となる株式会社カンパニーというおかしな名前の会社を立ち上げました。

カンパニーは楽天時代の同期であるエンジニアと創業しました。彼がいまレンティオのシステムを全て作っています。カンパニーでは家電のレンタル事業のほか、物販もやっていましたが、間もなくレンタル一本に絞り、社名をレンティオに変えました。

レンタルビジネスに目を付けたきっかけは結婚式で

レンタルビジネスに目を付けたきっかけは、友達の結婚式で、芸人のたむらけんじさんのモノマネをしたことでした。たむけんさんのものまねですから獅子舞が必要で、ちゃんとした大きな獅子舞の方が絶対に面白い。

でも使うのはそのときの1回ですし、買うとなると3万円くらいでちょっと高かった。「獅子舞 レンタル」で検索すると1件だけヒットして、レンタル代が2万円だったので、結局、買うのではなくレンタルを選んで、結婚式は満足がいく結果になりました。

このとき、3万円のものを2万円で貸すビジネスは儲かるぞと思ったのです。それからレンタルビジネスのことを調べ始め、蔦屋さんなどいろいろなレンタル系のサービスを調べると、とても面白くて、ますます興味が出てきました。

僕は家電EC企業にいたので、家電のレンタルについても調べてみたのですが、サイトが効いていなかったり、借りづらかったり、返しづらかったりといったいろいろな課題が見えました。となると、これを解決すれば良いサービスになるなと思って、共同創業者となる友達に相談したら、「確かに面白いね」と言ってくれて、やってみることにしたのです。

服やブランドバッグなど、さまざまなレンタルサービスがある中で、家電を中心にしたのは、僕が家電ECにいて詳しかったからというのもありますが、家電が儲けやすいだろうと考えたからです。おかげさまで、いまはざっくりと月に3~4万件くらいのお客様にご利用いただいて、家電レンタルではトップになっていると思います。

レンタル代以外の収益がある

いま一番人気のある商品は、ジャンルで言うと、ルンバやブラーバなどの掃除家電です。ルンバは最高機種だと10万円以上しますから、購入にはなかなか踏み出せません。それなら買う前に1回試してみようと、弊社のサービスを使ってくれる形になっています。ルンバやブラーバはメーカーさんからも支援をいただいています。

ルンバをレンティオで試してもらって、実際にどれくらいの人が購入しているかというと、細かい数字は言えませんが、半分以上の人が買ってくれているようです。

レンティオで借りて、家電量販店やほかのサイトで購入することになっても、うちはそこそこの値段のレンタル代を頂いていますし、メーカーさんから入る協賛金もありますから、十分利益が出ます。

メーカーはレンタル後に買わなかった理由を集めている

お客さんには事後にアンケートを書いてもらっています。アンケートでは、どの機能が良かったか、悪かったか、その後、その商品を買ったかなどを聞いています。このアンケートから、レンタルがどのくらい購買につながったかが、ある程度計測できます。

さらにアンケートでは、この美容家電は20代や30代にはウケるのに、40代や50代にはウケないとか、この調理家電は普段料理する人にはウケるけど、普段料理をしない人にはウケないといったこともわかります。そういう情報を提供すると、それを元にして、メーカーさんは広告の当て方を変えることができます。僕たちのサービスはそんなマーケティングにつながるものになっています。

アンケートの中で、メーカーさんがもっとも聞きたがるのが、レンタルした人が買ったかどうかではなく、そこそこ高いお金を払ってレンタルした人が、なぜ買わなかったのかという理由です。メーカーさんからすると、その情報は宝の山だそうです。

売れているメーカーさんや評判の良いメーカーさんは、必ずそういうレビューを深掘っていきます。「この人に連絡を取りたい」と言ってきて、ユーザーさんがOKしてくれたら、メーカーさんがその人に深いインタビューをして、製品の改善、開発に活かしていきます。

在庫を減らすためのダイナミックプライシング

起業するときは、家電が儲かりやすいと考えましたが、実はレンタルビジネスには儲けづらいところがあります。商品をたとえば10万円で買ってきて、それを2万円で貸すというビジネスですから、最初に大きなお金が必要で、その商品を何回も貸すことでようやくキャッシュフローが改善するからです。

この問題点は、ベンチャーキャピタルなどから出資を受けることで解決しています。いまトータルで十数億円ほど投資していただいて、そのお金はほぼ在庫商品に投下されています。

弊社の在庫は全部で8万点くらいにまでなりました。その商品すべてを、弊社では一つ一つ管理していて、その作業はとても大変ですが、それを可能にするシステムが素晴らしく、弊社の優位性を高めていると思っています。

たとえばルンバでは、同じ型番のものを500個くらい持っています。その500個それぞれで仕入れ値が違いますし、レンタル回数も違います。在庫商品はいずれ、流行に遅れて陳腐化するという問題もあります。

僕たちはそれらすべての商品を一つ一つ管理して、回転率、稼働率、ROI(投資利益率)などを見ながら、いわゆるダイナミックプライシングで値段を細かく上げ下げすることで、最新のものも古いものも、稼働率が上がるようにしています。それができるところが、うちの強いところです。

ユーザーとしては、その商品を買うときの10分の1くらいのコストでお試しができて、弊社としてはひとつの商品を10回くらい貸したらペイする、というようなイメージの値段設定になっています。

古くなった商品は、月額制で長期間借りてくれた人に譲渡したり、中古品としてアマゾンなどで売ったりしています。

レンタルビジネスの客単価の設定は配送料が肝になる

レンタルサービスは商品の配送が必須で、配送料は大きなコストになります。配送料は、モノによって変わりますが、平均で往復1500円くらいです。そのため、たとえばアマゾンで8000円くらいで売っている商品をレンタルで扱うとしたら、配送料を含めると2000円くらいの値段設定になってしまいます。

その値段では、お試しレンタルはちょっとしづらいでしょう。なので、うちのサービスでは、そこそこ値段がするものしか扱えません。そのボーダーは2万円くらいです。

でも、市場で8000円くらいの商品でも、短期間レンタルではなく、月額制のレンタルだったら可能です。月800円で借りてもらって、最低レンタル期間3ヶ月、12か月間借りてくれたらあげますという形です。

これなら、最低2400円もらえて、返却されればまた別の人に貸せますし、12ヶ月使ってもらって譲渡となっても9600円入ってくるので、そこそこ利益を出せます。

日本だから成立する高額レンタルビシネス?

海外のレンタル系のスタートアップからは、「商品が汚い状態で返ってきて困る」という話をよく聞きますが、レンティオのお客さんは、ほとんどの人が商品をとてもきれいに使ってくれます。

もちろん僕らが、箱を使ってしっかり輸送をしていることもあると思いますが、これだけきれいに使ってくれるというのは、日本人ならではなのかもしれません。

でも、ごくたまには、レンタル商品をどこかに売ってしまったりして、返してこなくなる人がいます。それを防ぐために、弊社では、レンタルの注文をいただいてからお客さんを審査して、問題がある人は断っています。審査方法はクレジットカードの審査だけでなく、オリジナルの方法も使って審査しています。

次回は、三輪さんの「楽天の10倍のレビュー数を獲得するサービス設計」をお伝えします。

※この記事は、日曜20時30分からInterFMにて放送しているサラリーマンの挑戦を後押しするベンチャービジネス番組ビジプロの内容をまとめています。

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三戸政和(みとまさかず) 事業投資家、ラジオDJ
1978年兵庫県生まれ。同志社大学卒業後、2005年ソフトバンク・インベストメント(現SBIインベストメント)入社。ベンチャーキャピタリストとして日本やシンガポール、インドのファンドを担当し、ベンチャー投資や投資先でのM&A戦略、株式公開支援などを行う。2011年兵庫県議会議員に当選し、行政改革を推進。2014年地元の加古川市長選挙に出馬するも落選。2016年日本創生投資を投資予算30億円で創設し、中小企業に対する事業再生・事業承継に関するバイアウト投資を行っている。また、ロケット開発会社インターステラテクノロジズの社外取締役も務める。
著書に『サラリーマンは300万円で小さな会社を買いなさい』(講談社+α新書)、『資本家マインドセット』(幻冬舎NewsPicks)、『営業はいらない』(SB新書)、『サラリーマンがオーナー社長になるための企業買収完全ガイド』(ダイヤモンド)、『サラリーマン絶滅世界を君たちはどう生きるか?』(プレジデント)などがある。Twitterのアカウントは、@310JPN