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蟹と引越し

日本に帰ることになり、機上でメモを書いている。

幾つになっても、引越しは好きじゃない。
その移動に、どんな前向きな理由があったとしてもだ。

自分は、この家も土地も気に入っているし、定住型だし。

そう言ったら、友人に、かに座だね、と言われた。
かに座ってそうなのか?

帰る前に、よく通っていた地元のプラネタリウムにでかけた。
とにかく、ここはプログラムが素晴らしい。
毎日、3、4回ショーがあり、子ども向けの基本からアドバンスまであり、定期的に新しくなる。

どこかで買ってきた映像をただドームに映しているんじゃない。 

天文学者が、ポインターを持ちながら、40-50分間、説明してくれるのだ。
しかも、昨日、今日に発表されたような情報も入れ込みながら。
時に、観客に質問を投げかけながら。

終わった後には、出入り口にテーブルを置いて、質問まで受け付けている。
素晴らしい教育であり、エンターテイメントだ。

何となくだけど、海外の理系+エンターテイメントは、いいものがあるような気がする。

とにかく、そこでいまのところ観測されている宇宙が何十ギガライトだとか言う図を見て、

頭の中が、刷新された。

もちろん、ちまちまするなよ、イージーに生きようよ、とか言うつもりもない。

ただ、宇宙はデカい、自分は小さい。
今、わたしを悩ませてせている問題は、いつの、どこの出来事だったかな、と問うてみたい。

もうダメだと思ったとき、自分はスケールのデカい世界に生きている、と実感できるなにかに触れるのは、よい気休めになるはずだ。
気休めは、サバイブするコツだ。

ちなみに、そのプラネタリウムでは、かに座を含めて星座の話しもしてくれる。
もちろん星占いはしないけど。

なぜ先人が、この星の点々を見て、蟹に見立てたのか不思議で仕方ない。

そして、なぜ、かに座だからと言って、定住型なのか。むしろ、生物としてのかには移動するだろう。

こういう星の配置になったとき、こういう傾向がおきやすい、そういう人が生まれやすい、というのは、とてもロマンチックな話しだと思う。
非常に知的好奇心を揺さぶられるものだ。

かに座にわたしは、次の甲羅を探しに、とりあえず移動中だ。

海外かぶれして、ちょっとめんどくさいことを言って、周りの人たちをうんざりさせてしまわないか、気になりながら。

ニッポンを新しい視点でみるんだ。
そう、宇宙的視点からね。