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「データ」と「情報」っては同じこと?DIKWモデルからその違いを理解する

「データ」と「情報」は普段、しばしば混同して使われがちですが、実は、「データ」と「情報」は意味が全く違います。その違いを理解するため、ここで紹介したいのは「DIKWモデル」です。「DIKWモデル」とは、元々情報工学の分野において、「情報」を解釈するためのフレームワークであり、それぞれ「Data」、「Information」、「Knowledge」、「Wisdom」の頭文字を取って定義されているものです。「DIKWモデル」はデータドリブン経営を理解するには重要な概念となるので、これからそれぞれの定義を見ていきましょう。

▼Data(データ)
データとは、それ自体では意味を持たない数字や記号などのシンボルを表すものです。ローデータ、生データとも呼ばれています。国際標準化機構の「ISO/IEC 2382-1」および日本工業規格の「X0001 情報処理用語-基本用語」において、「データ」の定義は "A reinterpretable representation of information in a formalized manner suitable for communication, interpretation, or processing."「情報の表現であって、伝達、解釈または処理に適するように形式化され、再度情報として解釈できるもの」とされています。この定義に則って考えると、データは「伝達、解釈または処理に適するように形式化されたもの」といえます。例えば、文字データであれば「.txt」、画像であれば「.jpg」など、それぞれに適したフォーマットがあり、それぞれのフォーマットに適した処理を行えば、情報として解釈(再現)できます。

▼Information(情報)

情報とは、それ自体意味を持たないデータを何らかの基準で整理と意味づけをし、4W(Who、What、Where、When)の答えとなり得るものです。情報はデータおよび概念により構成され、対象物に対して一定の文脈中で特定の意味をもつものです。例えば、「1241兆円」というデータそのものには意味がありません。しかし「2022年3月末に日本国の借金が過去最大の1241兆円」と文脈を付け足すと、即座に意味が明らかになります。 世の中に広く呼ばれているデータ分析は、本質的にはデータ(Data)を情報(Information)に変換する手段といえます。

▼Knowledge(知識)

知識とは、情報(Information)を更に整理・体系化したもので、第三者に教えることができるノウハウや知見のことです。つまり、情報から整理された、Howの答えとなり得るものです。

▼Wisdom(知恵)

知恵とは、知識(Knowledge)を正しく理解した上で、自らの判断を加えて行動することで、価値に昇華させたものです。つまり、Knowledge(知識)の中から行動を取る理由(Why)となり得るものです。

次の図は、DIKWモデルを階層構造で表現したものです。「データ」は最も抽象度が低い概念であり、「情報」、「知識」は次第に抽象度が上がり、「知恵」は最も抽象的な概念となります。たとえば、富士山の高さは「データ」とされ、富士山の地形・気候的な特徴に関する書籍は「情報」とされ、富士山の山頂に到達するための実用的な情報を含む登山ガイドブックは「知識」といえます。「知恵」とは、自ら富士山を登って、登山の途中で起きた様々な問題に対処し、「知識」を応用する能力となります。言い換えれば、データから情報へ変換する過程で「Who」「Where」「When」「What」の問いを解き、情報から知識に格上げする過程で「How」に答えて、知識から知恵に昇華する際に「Why」を紐解くこととなります。

出典:DX時代のデータマネジメント大全 DX、データドリブン経営、データ利活用から理解する

ここからひとつの具体例を挙げて、DIKWモデルの思考プロセスを見てみましょう。次のように、とある小売り企業に「乳酸菌飲料の購買データ」があるとします。ステップ①~④でDIKWピラミッドを一番下の「データ」から上に登っていくと、「データ」は「情報」を経て「知識」へ、「知識」を更に「知恵」へと発展させて、最終的に具体的なアクションまで起こしました。乳酸菌飲料の購買データを収集・分析し、その分析結果に基づいて、店頭在庫を増やすという意思決定を下したことで、データをビジネス活動につなげた「データドリブン経営」とも言えます。


出典:DX時代のデータマネジメント大全 DX、データドリブン経営、データ利活用から理解する

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