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抱きつくちびちゃん、おかえりなさい

今朝、お店の外を掃き掃除していると、2件隣の蕎麦屋さんが半袖シャツで通り過ぎました。
半袖?
暑くて、急にだよね。
本当に、急に暖かくなりました。

春休みのちいさな冒険に出かけたふたり。
ちびちゃんと妻がじいじとばあばの家に泊まっている間、ぼくはひとりで過ごしておりました。
静かな家、本を読んだり、文章を書いたり、食事の用意をしたり、洗濯した服をたたんだり、やることはまあ、ありました。退屈もしませんでしたが、いつもと違うことになかなか慣れないのでした。

いつもだったら布団を敷くときには、どこからかちびちゃんが現れて、敷いた布団の上に寝転んだり、歩き回ったりするので、やり直すのです。
なにがそんなに楽しいのか、けたけた笑いながらやめて欲しいことをやめません。
ひとりだと、瞬く間に終わりました。

いつもだったら、ちびちゃんが途切れなく話す、その束の間を狙って、妻と話します。お互い話したいことがあるので競争するように、話すのです。そこへ、ちびちゃんがぐりぐり入ってきて、質問に答えると、またしてもちびちゃんのお話し時間になったり。
ひとりだと、音楽を聞いたり、ラジオを聞いたり、でした。はじめのうちはそれもよかったけれど、なんか調子が変なので、意識的に独り言を言うようにしました。じぶんがふたりいて、ひとりのじぶんがもうひとりのじぶんに質問をし、それに答える。はじめると、それはそれで面白く、へーぼくはそんな考えを持っていたのかと新鮮な驚きもありました。

ふたりが帰ってきて、いつもの暮らしが戻ると、やっぱり良いものですね。布団を歩き回るちびちゃんがかわいくて、あはは、これこれと思いました。少しの間でしたけれど。

3人で食事をすることができるって、なんて素晴らしい時間なのでしょう。

休みの日、ちびちゃんと庭仕事をしました。
廃材を使い、コンポストを作ったので野菜の切れ端やコーヒーを入れるのが楽しみになりました。
モッコウバラの新芽が次々に開き、チューリップは蕾を膨らませています。ミントがにょきにょき出てきて、ルッコラは花を咲かせ、しばらくすれば種をつけるでしょう。

春の合唱です。

この町で迎える2度目の春、言葉を交わす人も増え、ぼくたちの暮らしも少しずつ背を伸ばしています。



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