ほんのちょっとずつ違うわたしに

アルプスの山々は白く、凍ったあがたの森公園の池を見ながら、ちびちゃんと歩く朝の道。
じぶんで歩くよりぼくに抱っこされている方が寒くないようで、抱っこ、と手を広げます。
ぼくの方もちびちゃんを抱っこした方が寒くないので抱っこします。
でも、重くなりました。
いつまでできるのかなあ。

昨日の朝、抱っこして歩いていると、しゃっくりをはじめたちびちゃん。
しゃっくりだ、と言うと、
しゃっくりんだよ、とちびちゃん。
しゃっくりん、ていうのかー、チャップリンみたいだね。
チャップリンてなあに。
ひとの名前、よく転ぶ人だよ。
なんでころぶの。
わからないけど、とにかくよく転ぶんだよ。
それで、ぼくは話しました。
椅子に座ろうとして、車に乗ろうとして、走って逃げて、転ぶチャップリンについて。
聞きながらちびちゃんは笑っていました。
すごいですね、チャップリンて、話しただけでひとを楽しませてしまうのだから。

さて、今日はほんのちょっとしたことを書きます。

お店でのお昼休憩は交代で取ります。
個室ではなく、小物製品を並べてある背の高い飾り棚の、その後ろに置かれたテーブルと椅子で食事をします。
お客様とスタッフがお話する声や電話の受け答えもよく聞こえてきます。

先日、お弁当を食べていると、あるスタッフの電話する声が聞こえました。
聞こうとしなくても聞こえてくるその声をぼんやりと聞いていて、あそうか、と思いました。
お問い合わせに対してのご案内を彼女はしていたのですが、ぼくだったらこう言うだろうという伝え方とほんの少し違った言い方をしていたのです。
どちらが良いかという程の違いではなく、ほんのちょっとのことでした。

あそうか、ぼくと彼女の違いって、ほんのちょっとなんだ、って感じたのです。
背の高さ、顔の作り、年齢、声、着る服。
これらには、はっきりとした違いがあります。
ぼくと彼女を間違えることはないでしょう。
生まれ育った環境も違うし、体験してきたことも、考え方、感じ方にも違うところは沢山あります。

これまでのぼくは、その分かり易い違いにばかり目を向けていたようです。

思い返すと、なにかを変えたい、変えようとするときに考えること、思いつくことは分かり易いことばかりでした。
住むところを変える、仕事を変える、髪型を変える、やっていたことをやめる、やったことのないことをはじめる。
分かり易いとは、実感を得やすい事柄です。
でもそれって、行動するには大変なエネルギーが必要だし、やってみたいと思ってもすぐにはやれなかったり。
思いはあるけれど、やらないままのことは沢山あります。

ほんのちょっとの違いは、ほんのちょっとのことなので、それほど大変ではありません。
大変だと感じたら、それはほんのちょっとではなく、ほんのちょっとをはみ出しているのです。

この頃、ぼくにとってのほんのちょっとの違いは、いつもより10分早く布団に入ること。
わずか10分でも、それを意識することで睡眠に対する気持ちが変わります。
以前よりも、眠ることが大切になりました。
続けていると、さらに10分早く、布団に入りたくなります。
早く寝たいから、昼間の時間の使い方が変わってきます。

目覚めている間にやりたいことはいくつもあって、すべてをやるために睡眠を減らさなければなりませんでした。
だから、いつも寝不足。

それが、たった10分早く布団に入ることにしただけで、日々の在り方ががらりと変わったのです。

ほんのちょっとずつ、日々の在り方を調整していったら、ひょっとすると、ぼくというひとは、今よりも、ぼくの望むひとになれるかもしれない。

何事も、ほんのちょっとずつ。
そんな気持ちで暮らしを作りはじめている、
この頃です。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?