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◎韓国ユンソクヨル政権に早くも弾劾の動き

5月の尹錫悦(ユンソクヨル)政権発足後、ようやく100日が経った。「ようやく」といったのはこの100日が波乱万丈だったからだ。長い100日だった。本来、米国でも見られるように、政権発足後100日間というのは「ハネムーン」期間と言って、野党からの批判も控えるといったルールがある。ところが尹政権の場合、6月4週目で世論調査(リアルメーター)の不支持率が47.7%で、支持率の46.6%を初めて上回り、その後も7月2週には不支持が63.3%、支持が33.4%とほぼダブルスコアで不支持が圧倒している。8月になってもその勢いは衰えず、支持が25%前後に落ち着いている。不支持が60%台というのは歴代の大統領のなかでも異例だ。ハネムーン期間が終わる前からこの体たらくだから、一体どうなっているのか?米国マスコミも支持率の低さに、「バイデン政権にとってすでに尹政権はお荷物となっているのが実情」と書いている。 数日前、韓国記者協会が主管した「現職記者1000名」を対象にした世論調査の結果を見ると、尹大統領に対する国政遂行能力関して否定的な見方が85.4%、肯定的な見方が10.7%という数字がでている。政治取材のプロの85%が「尹大統領はダメ」と答えているのだ。

 その理由にはいくつかあるだろう。一つ目は「ハネムーン」どころか、与党内部で内紛を繰り返してきた点だ。30歳代で党代表となった李俊錫氏をターゲットにして性的スキャンダルを材料にして党代表権の6か月間の執行停止処分を下し、本来大統領を支えるべき与党の本来の仕事が全く放棄されている状態だ。尹大統領を囲む「ユン・ヘク・カン==(ユンの核心関係者の略)
と呼ばれる取り巻き連中が李俊錫グループの追い出しにかかっている。 2つ目は尹大統領自身の政治家としての資質の問題だ。本人の独断専行だけではない。従来の青瓦台(大統領官邸)を出て、龍山の国防部に「大統領室」を新たに作り、そこから国家安保の司令塔を作るとして、張り切っていた。しかし8月上旬から中旬にかけてソウル一帯が大洪水に襲われて、貧しい人々の象徴ともいうべき、「半地下生活者」が多数死亡した。尹大統領は豪雨に襲われた当日、急いで従来の自宅に戻ったが、今度は逆に自宅から「大統領室」に出勤できなくなった。野党からは「こういう危機管理のために青瓦台は必要だったのではないか」と強烈に批判している。こうした批判に対して「大統領がいる場所が大統領室であり、状況判断はできる」と苦しい弁解をしている。尹大統領は数日後、半地下生活者が犠牲となった現場を訪れて弔問しているが、尹大統領に投票した支持者からも「全く無能無策の大統領だ。失望した」との声が高まった。選挙戦当時から学歴疑惑や接待婦疑惑にまみれていた夫人キムコンヒ氏に対する風当たりも強い。NATO会議に招待されたとき、夫人が業務と無関係な知人を同行させたとしてマスコミや世論からも叩かれた。公私混同ともいわれ、夫人は周囲の占い師集団の話しか耳を貸さない、などと朴槿恵元大統領時代の「知人」崔順実のような怪しげな人物が徘徊しているようなのだ。現在、日韓関係の改善がテーマとなっているが、肝心の日本側政治家が安倍狙撃事件に端を発した旧統一教会スキャンダルで自分たちの周りの火の粉をはらうのに懸命で、日韓関係改善を考える余裕がない。尹政権に期待していた自民党政治家もそれどころではないというのが実情だ。日韓関係や日韓交流の障害となっているのが、日韓の政治家だというのは皮肉だ。

WROTE BY MASAKI TACHIKAWA 太刀川正樹

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