見出し画像

Interview Vol.2 shiori (innocent foyer)

自らに誇りを持ち、まわりに助けてもらうことができ、穏やかでやさしく、美しい女性。それが、私のshioriさんへの印象です。しかし、彼女がそんな自分自身を確立するまでには、体験の中からコツコツと自信と経験値を積み重ねる、とても地道な作業がありました。これは時間をかけて少しずつ「自分」を獲得し、長年の夢を叶え、その後も日々の積み重ねを育て続けている、とても真面目で努力家な女性のお話です。

(取材日:2018年8月15日 取材者:鯨井啓子)

ネットショップinnocent foyer(イノセント ホワイエ)

ーネットショップを立ち上げた経緯を教えてください
2017年の2月から半年ほど台湾に留学していた頃、まちで見つけたいいものをFacebookで発信したところ、多くの方が「ほしい!」と言ってくださったのがきっかけです。そのリアクションの多さには本当に驚きました。特に人気があったのは、台北の松山駅近くにある衣装問屋街で見つけた「らくちんブラ」。お客様とは主にFacebookでつながっていて、住んでいる場所もさまざまだったので、多くの注文をきちんと一括で管理するために、帰国後にネットショップをinnocent foyer(イノセント ホワイエ)を立ち上げました。

ー取り扱っている商品と、商品として採用した基準を教えてください
現在取り扱っているのは、「らくちんブラ」、花布のおまたカイロライナー、「白狐(びゃっこ)たんバスソルト」の3種類の商品です。「らくちんブラ」は台湾で製品を買い付けていて、おまたカイロライナーは試作を何度も繰り返して自ら開発。「白狐(びゃっこ)たんバスソルト」はクリエイターのトモリノゾミさんとのコラボワークと、それぞれ商品に採用した経緯が異なるのですが、手が届きやすい価格帯であるか。そして、かわいくてキュンキュンときめくことができる商品であるかを基準にしています。ときめきって女性にはなくてはならないもの。品質にももちろん自信がありますけど、見た瞬間「かわいい!」って思えるような見た目も大事だと思っています。

ー開発にいちばん苦労した商品を教えてください
花布のおまたカイロライナーですね。台湾で花布に出会ってすごくかわいい!と思ったので、これで何か作れないだろうかと思ってFacebookで発信したんです。すると、こんなものができるんじゃないか。とか、私、手伝うよ!とか、いろんな方リアクションしてくれて。実は長い間、いつか布ナプキンプランドをつくりたいと漠然とながら思っていたので、まずその足掛かりとしておまたカイロライナーを作ってみることにしました。肌に直接触れるものなので、内布もネル、タオル、ダブルガーゼなど6種類、形も2種類ほどのバリエーションでサンプルを作って実際に使ってみて、洗濯もして、その使用感と強度も試しました。結果、肌触りがよく、カイロをつけても熱くなり過ぎない、白い厚手のタオル生地を使うことにしました。花布は模様が大きくて裁断の仕方で雰囲気が変わるのですが、できるだけ華やかになるように作ってもらっています。

台湾留学を経て実らせた、長年の夢

ーショップを立ち上げたいと最初に思ったのはいつですか?
5~6年前の20代前半の頃です。私は何事も頑張りすぎてしまうところがあって、高校1年の時に登校拒否になってしまいました。精神的に不安定になって抗うつ剤も飲み、大学も3年生で中退。その後、コールセンターや事務職で社会人経験もしたのですが、朝起きるのもしんどくて、お勤めは性に合わないなぁと思っていました。それでも社会と足並みをそろえなきゃと、自分に鞭打っていたんです。その当時、職場で布ナプキンを勧めてくれた人がいて使い始めたんですけど、生理痛もなくなってすごくいいなと思って、いつか布ナプキンプランドを立ち上げたいと思うようになりました。その人が「どの仕事をしても続かない人は、結局自分で独立するしかなくなっちゃいますよ。」と言ったのもすごく記憶に残っています。「まともにお勤めもできない私が起業なんてできるわけないじゃん」と思ったし、そもそもお裁縫ができない。その時はペシャっと折れてしまったんですけど、それでも「いつかできたら素敵だな」という憧れが生まれたんです。

ーショップオープンの契機になった、台湾留学について教えてください
職場の福利厚生がきっかけで始めた中国語の勉強がすごく楽しくて、月2回ほど仕事の前にマンツーマンレッスンに通っていました。そのうちに台湾に留学したいという夢ができたのですが、何もできないまま留学はしたくなかったので、日本でできる準備をしっかりしてから語学学校に入学しました。語学力ももちろんですけど、この経験は私いろいろな自信を与えてくれました。最近留学する前の自分を振り返って思うのは、あの頃の私っていろいろな場面ですごく遠慮していたんだな!ということ。今なら平気で言えるし断れることでも、相手に嫌われたらどうしよう!?と思ってなかなか伝えられなかったから。白狐(びゃっこ)たんバスソルトは、クリエイターのトモリノゾミさんに依頼してinnocent foyerオリジナルバージョンを制作したんですけど、留学前の私なら、価格も商品の特徴も自分の希望をきちんと伝えられず、すべてトモリさんにお任せにしていたんじゃないかと思います。女性性を開花させてくれるかわいらしい商品を納得いく形で作れたのは、留学生活があったからこそなんです。

ー留学をしてよかったと思うことはなんですか?
いちばん大きかったのは、死ぬほど勉強できたことですかね。勉強好きなんだな!としみじみ思いました。学生の時は精神的な部分でなかなかバランスが取れなくて勉強に集中できなかったけれど、勉強が好きだし、コツコツ積み上げることが好きな自分に気が付きました。そしてそれをやり遂げられたことで、大きな達成感が得られました。あと、やっぱり中国語が話せなければ、商品の買い付けもできなかったと思います。そこには積み重ねた勉強の成果が生きたので、とても良かったと思います。

女性の“ご自愛”の足掛かりに

―ネットショップinnocent foyerのコンセプトを教えてください
女性が自分を大切にする第一歩、足がかりになる場所になりたいということです。私自身、「自分自身を大切にした生き方をしよう。」と決めたとき、布ナプキンやふんどしパンツもたくさんの種類があるし、ハンドメイドの一点物が多くて高価だったりするものも多くて、まずどれから買ったらいいのか分からなくなってしまったことがありました。肌に合う、あるいは使い勝手がいいと感じる感覚には個人差があります。だからこそ、まずは自分に合うものを見つけるために試してみようかなと思える価格することはとても大切だと思っています。長年の経験や、香港、マカオ、シンガポールなど海外に出向いて視野を広げてきたことで、使い心地がいいもの、かわいいものを見つけたり、具現化したりするセンスは磨いて来られたと思っています。その着眼点を、ショップのラインナップにも生かしています。

―やりがいを感じるのはどんなときですか?
作っている私よりも、お客さんの方が商品のことをよくわかっているな!と思うような感想をいただくときがあるんですけど、そんなときにとてもやりがいを感じます。私は広報下手を自覚していて、商品のどんなところをアピールしたらいいか、実はよくわかっていないことが多いです。(笑)素材にしても、そこまで試作して厳選したのはすごい!とか、スナップも種類ごとに色を変えていることに気づいてくれて、こすごいこだわりだね!と言ってくれる。そんなお客様がいてくださることに感謝をしていますし、すごく助けられています。

―お客さんをはじめ、まわりのサポートに対して思うのはどんなことですか?
Innocent foyerを始めてから、商品がほしいと言ってくださったお客様をはじめ、ライナーを作ってくれる人、不在時に商品発送を手伝ってくれる人など、関って力を貸してくれる、信頼できる人たちがまわりに増えてきました。私は全部自分でやろうとしてしまう性格なのですが、今は自分の許容範囲以上のことはできないしやらないと、自分に強く言い聞かせています。それは、やりきれないことで逆に迷惑をかけてしまうことがあると身にしみてわかったから。持てるキャパシティの中でよりよい成果を上げていくには、まわりの人たちに助けてもらうこと、信じて託すことが必要です。関わり合える人たちが増えることで私自身も安心して自分のやるべきことに取り組めるので、これからもゆるやかに輪を広げていきたいです。

―今後の展望と、この記事を読んでくださる方に向けてメッセージをお願いします
商品のラインナップはもっと増やしていきたいと思っています。それも、母親になったら母乳パッドを作ってみるとか、できるだけライフステージに合わせて、自分の経験を活かしたものをつくって行きたいです。また、定期的にイベントに出店したりして、直接商品に触れていただける機会も作れたらいいなと思っています。そもそも女性はいるだけで愛される、大切にされる存在。でも、それを忘れている人がすごく多いと思うんです。まずは一歩を踏み出してほしい。その後押しをできるお店を作りたいと、強く思っています。今すでにInnocent foyerの商品を使ってくださっている方は、その一歩が踏み出せている方だと思います。心からありがとうと言いたいです。

◎innocent foyer info


◎あなたにインタビューします!


よろしければサポートをお願いします。いただいたサポートは、創作活動継続のために使わせていただきます。