羊と雲の丘眺望羊群れ2

お金のはなし

こどものころから
なんだかお金の本質がよくわからなかった。

もちろん大切にしないといけないものだ
ということはわかっている。

でもそれは自分の深いところで
しみじみと納得したことではなかった。

それはどんな価値を持っていて
どんなことに役立つのか。

どんなおバカ感満載の私に
お金について教えてくれたのも、
ドウホクのちいさなまちだ。

郵便局とちいさな商店がいくつか。
まわりたんぼや畑に囲まれている
というようなまち。

たんぼや畑で
作物を育てている農家さんは、
作物の売り上げで
たんぼや畑ではとれないものを
ちいさな商店で買う。

ちいさな商店はその売り上げで、
農家さんが喜びそうなものを仕入れる。
様々な種類のゴム手袋とか
手伝いに来てくれる人に出すお菓子とか
こどものお弁当用の食材とか。

それが、そのお店がお客さんに提供できる価値になる。

お客さんが商品の対価を払う。
ここにこのお店がなくなったら
遅くまで働いて疲れた一日のおわりに
もっと遠くまで買い物に行かないといけないとか
そういうことも含まれる対価を。

商品の売り上げでお店はまた
お客さんが喜ぶものを仕入れられる。
その場所で商売を続けられる。

実際にはそれは
まちの外にも波及する大きなしくみで
ここだけで完結するわけではないけれど、
価値あるものを提供することで対価を得るという
経済の基本のキみたいなシンプルなしくみが
ドウホクのちいさなまちでは
きちんと顔が見えるカタチで存在していた。

そしてすごくよくわかったんだ。
お金って「ありがとう」の気持ちの
代わりなんだっていうことが。

「その商品がないと困るんだ、ありがとう!」を
私たちはお金を払うことで伝えることができる。

自分が働いて受け取るのもやっぱり
できないことをやってくれて「ありがとう」だ。
つまり「ありがとう」は
まわりまわってお互いの暮らしを支える。

なんだ、そういうことだったのかと思った。

お金を使うときには
「ありがとう」の気持ちを込めて。
仕事をするときは
「ありがとう」と言ってもらえるように。

この循環を大切にしたらいいんだ!
ここでそれがちゃんとわかった。

◎鯨井啓子 info

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