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グランドレベル研究所*台湾・台北

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新刊 『1階革命』 (著:田中元子/晶文社)Amazon予約はじまりました。副題は「私設公民館『喫茶ランドリー』とまちづくり」。書店は12月20日ごろから並びます。

 この度、晶文社よりグランドレベル田中元子の新しい書籍『1階革命−私設公民館『喫茶ランドリー』とまちづくり」が晶文社より発売されることになりました。Amazonでの予約注文は昨日から、書店での販売は2022年12月20日の予定となります。  表紙は、こんな素敵になりました。表紙絵は、グラフィックアーティストの伊藤桂司さん、ブックデザインはアジールの佐藤直樹さん・菊地昌隆さんにお願いしました。  今回の書籍の位置づけは、田中の前著『マイパブリックとグランドレベル − 今日か

都市*まちの作り方を台湾の「騎楼」に学ぶ!半屋外の歩行者空間の果てしなき可能性.「迪化街」から台北のまちを歩く.

お久し振りです。いろいろと新しいイベントごとが続いたので間が空いてしまいました。その間に広島県呉市と長崎市へ行ったり、東京生活でもグランドレベルネタは積もるばかりなのですが、今回はグランドレベル(1階)大国、台湾・台北ネタをもう一つお届けします。 というわけで、台北の迪化街というまちへ行きましょう。 迪化街は、いわゆる漢方、乾物、布などの問屋街です。まちへ入ると、鼻をつくのは漢方や香辛料の匂い。訪ねた5月末もただでさえ暑いのに、匂いで体温がさらに数度上がるような感覚に

残すものはきちんと残す国、台湾.高さ500mのビル「台北101」の麓に保存されていた謎の住宅群「四四南村」は、“台湾のはじまり”でした.

さて、公園ネタが続いたところで、台北レポートへ戻りましょう。今回はここ「台北101」です。MRTの台北101世貿駅を降り、地上へ出ると、ドドン! 「台北101」をバックに「けんちく体操」。一人じゃ表現しづらいところを、箱が折り重なるような特徴をなんとか表現しようとしている良い体操。そう、この建物は101階建て。ドバイの「ブルジュ・ハリファ」が2007年に竣工するまでは、世界一高いビルでした。 ちなみに「ブルジュ・ハリファ」ってのは、ドバイの中心部に建つこれ。ここでも「けん

公園ってエッジデザインひとつで、こんなにも魅力的に!台北「永康公園」と大阪「靭公園」に見た、公園と街をつなげるデザインの可能性.

暑さも過ぎ去ってしまえば、寂しいもの。ってことで、今日は台北のフワフワかき氷&ぷりぷりのマンゴの写真で、少し暑さを思い起こしながら、前回の続きで、台北と大阪で発見した良い公園のお話を。 まずは台北から。この日の台北は、滞在していた東門から徒歩数分の「永康街」エリアを歩いていました。「永康街」は、台湾レポートの最初の記事で取りあげたエリアです。 幸福度アジアナンバーワンを支える豊かなグランドレベル! 台北「永康街」を歩く編 このエリアの中心には、「永康公園」という三角

まち全体が図書館に!?台北の地下街にあった無人図書館。図書館を建てず、人件費も増やさず、市民の近くに図書館を増やしていく斬新なアイデアとは?

台北の地下鉄MRT「忠孝敦化駅」周辺は、オシャレなショップがひしめきあっているエリア。ちょうどこの日の午後は、雷が轟く土砂降りの夕立ちにみまわれて、飛び込んだ先が「VVG Something 好様本事」という本屋さん。 ここはアメリカの情報サイトFlavorwireが発表した「世界で最も美しい本屋さんベスト20」に選ばれた本屋さん。入った瞬間から、空気が変わるというか。そこに並べられた本や雑貨を目にする度に、手に取る度に、このお店が伝えたいことが、じわじわと伝わってくる

台北の花博会場が、タレント&デザイナーにより音楽×食×芸術の商業施設に!その昔は、野球場?足球場?いやそこは、日本統治時代に建てられた競技場だったのです。最強レガシー伝説を見るべし!

この日もたんまり歩きまくって、あっという間の夜。連日夜市もいいのですが、なんか面白そうな地元のスーパーないかな?と、Googleマップ上で見つけたのは、「神農市場 MAJI FOOD & DELI」というスーパー。閉店1時間前だけど行ってみよう!と、圓山駅へひとっ飛び。(中心部から行くと、圓山は士林のちょっと手前) 駅のホームから見ると目の前には広大な公園が広がっていました。右手にスタジアム? かの有名なホテル「圓山大飯店」は、左の奥の方に。 花博公園の文字。そうか、

70大学!42展覧会!台北で見た大大卒業制作展。ナニコレ!?建築ランドスケープ系卒業制作展に見た、台湾の「教育」パワー。

前回のレポートでも少し触れた「松山文創園区」で開催されていた日本では見たことない規模の大大卒業制作展。期間は約1ヶ月半、ジャンルは音楽から服飾、建築、デザインまで、参加大学数は70!展覧会数42! いろんな国へ行ってきたけど、こんな規模ははじめて。 規模だけではなく、大学って社会に対してこうあるべきだよね!というある種の理想が見えた現場のレポートです。 最初は何も知らず、ふらっと入ってみた最初は何も知らず、倉庫の中では何をやってるのかな?とチラ見するつもりで入ったので

モノを売る単一施設の時代はもう終わり。たぶんコレが世界最先端の文化&商業施設。あらゆるDIYにチャレンジできる雑貨屋も最高でした!

台北滞在1週間のうち、良すぎて3回訪ねたのが、「松山文創園区」と「誠品生活」の一帯。またしても台北にヤバいエリアが! 観光本には、デザインミュージアムがある文化施設、蔦屋書店が参考にしたオシャレ本屋、巨大なリノベーション、伊東豊雄設計の建物、などと書かれてるけど、はっきり言ってそんな視点で見るのは間違い。ここは、来場者たちさまざまなカルチャーの情報に刺激を受けつつも、自らの能動性をもたきつけられてしまう、かつてない文化エリアだったのです。 ワンシーンごとに感じたことがあっ

宇宙を漂ったアノ盆栽が台北に!?グランドレベルにスーパーハイカルチャーと地元住民の暮らしが混在する町「富錦街」.

まったく進みませんが、台北レポ少しずつ進めていきますよ〜! さて2日目の午後は、「華山1914」を後にして台北駅のほうへ。台北駅の手前は、こんな風景に。28年前、小学生の頃住んでいたときは、まさにこういう光景が広がっていた記憶が。 路地を入ってみると、生活臭たっぷりで。 それでも秩序があるから、独特の美しさがあります。そして抜けると。 ドドーンと台北駅。そして、このあと、うぉーーーっって、雄叫びを上げることになります。 この吹き抜け、この開放感、このグリッド。しばし

100年の時を越え、台北の酒造工場が市民に開かれた巨大クリエティブパークに!文化人たちが立ち上がり、政府が受け入れ、誕生した「華山1914創意園区」

さて、地理がつかめていないので、2日目もまずは徒歩で。東門市場から昨日とは逆に西側へ少し歩くと、「中正記念堂」の裏側。28年前と変わらない鮮やかなブルーの屋根。白い塀の向こうの公園にも惹かれるけど、それを横目に今日は北へ。 バス停にベンチ。 集合住宅の1階にもベンチだらけ。日本でこうあるべきだと吠えていることが、ほとんど実現されているのか、この台北では... 歩道にもベンチ。そう、お店がなくたって、公園じゃなくなって、どこにだってベンチ(座れる場所)は基本必要なんで

空いた土地は市民のための小さな公園に!思い描いていた「パーカナイズ」が台北の路地にあった.

さて今回は、前回の永康街をさらに南へ下っていきましょう。和平東路を渡ると、師大夜市です。 このエリアはまわりに大学も多いこともあって、洋服、アクセサリー、コスメなどの女子高生・女子大生向けショップが中心。(詳細は「台北ナビ」のレポートが詳しいです) 台北にはいくつかの夜市がありますが、ここはギトギト感はほとんどありません。 原宿の竹下通りのような空気。だから、屋台もチャレンジしやすい。 メインストリートから外れても、こんな感じ。相変わらず集合住宅の1階はお店だらけです

幸福度アジアナンバーワンを支える豊かなグランドレベル!台北「永康街」を歩く編

突然ですが、台湾の台北を1週間歩き続けてきました。特に目的はなく、いい感じのグランドレベル採取ができればという軽い気持ちで。結論から言うと、今すぐに住んでしまいたいくらいに、ヤバイ都市でした。とにかくグランドレベルがヤバイ。そして、その都市のつくられ方が、今の日本から見れば最先端にも映りました。 コペンハーゲンやポートランドとは、また異なる豊かさを感じながら、途中で、もしや!?と調べたら、世界の幸福度調査において、台湾はアジアでナンバーワンだったのです。これはきっと、私たち