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ダボス会議取材〜グレタ・トゥーンベリ編〜


■空から降ってきたインタビューのチャンス

 
 ダボス会議最終日の1月20日、私はメインプロムナード通りで参加者インタビューの機会を狙っていた。
 しかし金曜日のお昼12時がフィナーレという事もあり、参加者は帰途に付くべく急ぐ者ばかり。警察が入口のバリケード解体作業まで始め出した。


メイン会場入り口前

 摂氏マイナス十度の外での張り込み取材は体に堪える。
 凍えて限界を感じた私はどこか室内に避難しようと歩き始めた。
 
 しかし街のメイン通りはほとんどグローバルエリート専用施設ばかりが並び参加証を持っている者しか入れないか、片付けが始まっている所ばかり。 路頭に迷った私だったが唯一の救済を見つけた。

 期間中、温かい飲み物や、スープ等の軽食を無料で配っている通りのイベントスタンドがまだ空いていたのだ。

一人プラカードを持ってイギリスから抗議に来た男性もお茶で身体を温める

 
 そこで紅茶を貰い、感覚の無くなった手を一生懸命紙コップの熱で温めていた時チャンスは降ってきた!

 
「グレタがあの建物の中に入って行った。あそこで待っていたらいいことがあるかもよ。俺から聞いたとは口外しないでね」


 突然、付近施設の入り口で警備担当をしていた男性が私に笑顔でこう言ってきたのだ。
 棚から牡丹餅とはこのことだ。

 恐らく、彼は私が連日凍えながらプロムナード通りで張り込み取材をしていた姿を見ていたのだろう。アジアから来たジャーナリストに親切にしてやろうという仏心だったと思う。
 
 もう一杯紅茶をもらい、手を温めながら、しばらく付近で待つことにした。教えてもらった会場の外では、その日予定されていた気候変動抗議活動の街頭デモ行進に参加予定の活動家達が環境活動家グレタ・トゥーンベリを待っているところだった。
 

■怯えた少女グレタ

環境・人権活動家のヘレナ・ガリンガの後ろに隠れる


 時が来た。
 グレタ・トゥーンベリが外に出てきた。私はすぐさま質問を開始した。
 
「グレタさん、私は日本から来ました。質問させてください。エネルギー問題で沢山の人々が暖を取れない状況です。あなたのお考えは?」
 
 生の彼女を見てすぐさま気づいたのは、メディアで出てくるイメージと全く別人であるということだった。

出典 UN Woman Twitterより


 2020年国連気候行動サミットでのHow dare you!(よくもそんなことができますね!)の演説で大人達を一喝した正義の少女グレタとは違い、怯えた少女グレタなのだ。

 私が抱いた第一印象は「この子怯えてるけど大丈夫?」であった。
 
 そして私が質問を続けようとすると彼女はすぐさま“グレタハンドラー”と呼ばれる周りの取り巻きの影に隠れる。
 

「グレタの後を付きまとわらないでください」

 環境・人権活動家のヘレナ・ガリンガがグレタの前面に出てきた。
 エクアドル先住民族の母とフィンランド人教授の娘で筋金入りの活動家だ。
 
 そして、グレタハンドラーと指摘され有名なドイツの環境活動家ルイーザ・イノバウアーも駆け寄ってきた。


ドイツの環境活動家ルイーザ・マリー・イノバウアー(左)


イノバウアー
「すいません、どうしたんですか。私達をそっとしておいてください。それが礼儀正しいと思うんです」
 
 日頃の自分たちの主張について都合の悪い質問をすることは礼儀正しくないからやめろというのだ。
 そして関係者と思われる男性が「これからこの方向に歩いてきますから、さあこっちへ」と私を引っ張ってくる。カメラの前に立ちはだかり行手を阻むので、仕方なく三脚を高く上げ前の様子を捉えると、向こうでグレタは迎合するメディアに囲まれている。
 ハンドラー達は自分達に都合の良いメディアだけを集めステージを整えるのが仕事だった。
 

■シュプレヒコール40秒のデモ行進
 
 総勢10名前後のデモ行進がスタートした。
 行進の先頭は先述したルイザ・イノバウアー。
彼女は「石炭・石油・ガスへの出資をストップせよ」“Stop Funding Coal Oil and Gas”という看板を手にテキパキと列に指示を出す。
 世界的に有名なユーチューバーのルイス・ヴィラール氏もデモに参加していた。彼はメキシコで2番目に多い3990万人の購読者を持つ超人気ユーチューバーだ。
 Davos会議ではネット上のインフルエンサーを招待し、宣伝に協力してもらうことで様々な層への浸透を図っており、今年は彼を含めて6名のユーチューバーが招待されていた。

”ダボス会議2023を取材するYouTubeクリエイターをご紹介” WEF websiteより


 世界経済フォーラムの紹介には次のようにある
 
 ―オンライン上で合わせて2億3千万人のフォロワーを持つデジタルスターたちは、世界経済フォーラムに参加し、気候変動対策、社会正義、グローバルヘルスケアのテーマを取り上げます。また、環境保護ビジネス起業家やイノベーターなど、解決策やグローバルな変化を推進する刺激的な人たちと交流する予定です―
 
 ユーチューブを使ってのプロパガンダ作戦に組み込まれた人々ということになるが、ルイス氏に私はデモ数日前にインタビューする機会があり、直接話をした。政治色はあまりなく、とても気さくな人物でノリの良い人気タレントといった雰囲気だった。
 
 ハイレベルな情報戦においては右を見ても、左を見ても、道を歩いていても、テレビをつけても、エンターテイメントを鑑賞していても、食事をしていても、あらゆる場面でプロパガンダが仕掛けられている。
 人気ユーチューバー達がこのように招待され、彼らの口を通して世界経済フォーラムのプロパガンダは人々が気づかないうちに浸透していくのだ。
 

After Skool YouTubeより


 様々な質問をデモ行進中も試みた。
「他の日に行われた抗議活動の参加者は山登りをしてここまで来ました。あなたはどのようにここに来ましたか」
どの質問にもグレタ氏はダンマリを決め込み全く答えようとしなかった。
 
 抗議デモは路上でもあまり注目されていなかった。
 行進中のシュプレヒコールも先発隊が待つ広場のある曲がり角から始めただけで誠に活力のないものだった。あまりに短いのでデモ行進シュプレヒコールの時間を動画を見返し計ってみるとなんとわずか40秒。
 
“What do we want?”     私たちは何を求めているのか?
“Climate Justice”    気候正義!
“When do we want it?”   いつ必要か
“Now!”           今すぐ!


 シュプレヒコールは広場で待つマスコミへの演出用でしかなく“ダボスに集まったエリート達へ知行合一の訴え”という勇ましい名目はどこへ行ったのだろうかと思わざるを得なかった。
 彼ら活動家自身、スイスの山奥にあるスキーリゾートダボスへ集まり泣く泣く二酸化炭素を沢山排出してここまでやって来たと思っていたが、訴えがこれではその甲斐がないのではないか。
 
 欧州を中心に全世界160ヵ国で放送しているeuronewsはこのデモを『ダボス会議最終日、活動家グレタ・トゥーンベリが抗議デモを主導』と報じた。抗議集会中、何度も電車の時間を気にし、挨拶もせず、インタビューにも答えず途中で抜けたグレタは文字通りただのお飾りだった。


『ダボス会議最終日、活動家グレタ・トゥーンベリが抗議デモを主導』euronews


“抗議デモを主導”というタイトルとは全くかけ離れた実態であることは、約1時間の編集なしの動画を見ていただければ誰にでも分かる
(YouTube我那覇真子チャンネルで視聴可能)

 
■Antifaとの接点
 
 ここで少し、“グレタ氏が主導した”と見出しになった集会について気になった点を2つ挙げたい。
 
一つ目はこの集会を運営していた人々だ。
 彼女は毎週金曜日学校を休みスウェーデン議会前で座り込み抗議をしたことで一躍有名になったとされる。ダボスでの集会も金曜日に行われ本人はツイッターで” 気候ストライキ第231週”と宣伝していた。
 
 司会を務めた女性活動家マヤ・レディーズが所属するJuso Graubünden(グラウビュンデン州若手社会主義者の会)という団体は法的には独立しているが、スイス社会主義民主党の関連組織である。

マヤ・レディーズ(グラウビュンデン州若手社会主義者の会)


 現在のスイス大統領アラン・ベルセは社会主義民主党に所属しており、今年のダボス会議オープニングセレモニーではクラウス・シュワブ議長と共に開会の挨拶を担当した。
 Juso Graubündenはダボス会議初日に、世界経済フォーラムに対して抗議活動を行ったがそこにはアンティファ(Antifa)も参加していた。Antifaとはヨーロッパで誕生したアメリカでも悪名高い極左過激派集団である。Juso Graubündenの公式サイトの役員一覧にはディレクターとしてAntifaのマーク入りのTシャツを着た女性が名前を連ねていた。(2023年1月当時)

Vorstand はディレクターの意味 (Juso Graubündenウェブサイトより)
(Juso Graubündenウェブサイトより)


 
 過去にグレタは「Antifascist」(反ファシスト)と書いたTシャツを着た自身の写真をSNSに投稿し炎上している。暴力革命を目指すアンティファを支持すると言ったも同然だからだ。後日彼女は写真を削除した。

投稿写真を削除したことの説明 (ツイッターより)


  「昨日、私は「ファシズムに反対だ」と書かれた借り物のTシャツを着て写真を投稿しました。そのTシャツが、どうやら暴力的な運動と結びついているようなのです。私はいかなる暴力も支持しないし、誤解を避けるために、その投稿を削除しました。もちろん、私はファシズムに反対です。」2019年7月26日本人Twitter投稿より
 
 両親ともに同じTシャツを着た写真が発見されており、これは苦しい弁解である。
 


■集会を指揮するコンサルタント
 
 もう一つ気になったのは、行進から集会まで、絶えず活動家たちに指示を出していたカメラマン兼まとめ役の男性マイケル・バーナード氏だ。
 地球温暖化問題を北極圏の氷の融解から訴える環境団体アークティック・ベースキャンプの非業務執行取締役をしている。

左のグッドサインを出しているのがマイケル・バーナード氏


 氏は活動家が演説をすると、これが言い足りないと耳打ちし再びマイクを握り言い直させたり、次に演説するのは君だと指示を出す。写真を撮る時にはプラカードを上げるように促したりと集会をオーケストラの指揮者のようだった。


マスコミに下がるよう促す
活動家に耳打ち この後彼女はマイクを求めスピーチする
演説中の活動家に団体名を名乗るよう指示する場面
集会中も裏方で采配する
グレタをエスコート



 マイケル・バーナード氏は30年間IBMのマーケティング、経営戦略に携わり2021年には独立して経営コンサルタント会社を設立、『Creating Strategy: A Practical Guide』 (戦略を作る実践ガイド)という書籍を出版している。
 他にも、イデオロギー色がチラつく若者メンタルヘルスサポートアプリを提供しているTellmiの顧問も務める。件の書籍にはTellmiアプリの開発者から推薦のコメントも掲載されている。

「マイケルは、私たちのミッション、戦略、価値観についての考え方を完全に変える手助けをしてくれました。私たちの目的はより鮮明で明確なものとなり、組織全体が活性化しました。」
 
 このロンドン発のアプリTellmiは、家族や友人、教師など他人には面と向かって言えない悩み事を匿名で分かち合い心の健康を取り戻す事を目的としているとあるが実態は違う。LGBTQイデオロギーに毒された若者への更なる性の洗脳装置として機能しているのだ。


”59%のユーザーがLGBTQ+” (Tellmi ウェブサイトより)


 59%のユーザーがLGBTQ+であり、例えば16歳のユーザーの投稿に以下のようなものがある。
 
「学校の性教育では、基本的にストレートな恋愛についてしか学びません。私はレズビアンで、いろいろ知っているのですが、どなたか教えていただけませんか?レズビアンとして安全なセックスをするにはどうしたらいいのか、プロテクションはあるのか、それともただ安全なのか。変なこと言ってごめんなさい、どう言えばいいのかわかんないんです」
 

 Tellmiは若者のメンタルヘルス部門においてNHS(英国の公的国民保健サービス)の業務委託を受けている。このことからもイギリスの国全体がオデオロギーに毒されている現実が分かるだろう。ユーザーの学校性教育に対する要望をアンケートした結果は次の様になっており、これらの要望を学校教育現場で満たすように働きかけている。
 

(Tellmiウェブサイトから一部抜粋)
******** 

 Tellmiのユーザーに、RSHEの授業に盛り込んでほしい内容を尋ねたところ、「セックス、喜び、ロマンス、尊敬、感情、期待、虐待、妊娠、性病、マスターベーション、セクシャリティに関する明確なガイダンスがほしい」という意見がありました。
 既存のカリキュラムとのギャップについて、非常にわかりやすい洞察を与えてくれる彼らのコメントを、この記事の最後に掲載します。
 
 若者がRSHEで学びたいこと
 
・LGBTQIA+のこと、カミングアウトするときに本当に役に立ちました。

・昨年、私のクラスの誰かが、2人の女性がどのようにセックスをするのかについて質問したのを覚えています。戻ってきた先生は、「あなたたちには教えられない」と言ったんです。どういうことですか?男女のセックスの仕方について教えるのなら、LGBTQ+の人たちのセックスの仕方も説明できないのか。もっともっと包括的であるべきだと思う。

・私は8年生ですが、私がゲイであるため、ゲイのセックスについて話さないのが本当に腹立たしいです。


********(抜粋以上)

 
 心ある大人が一度内容を垣間見れば、絶対に子供には利用させない様なアプリをあたかも、メンタルヘルスアプリとして売り出し、その正体を上手く隠すことで複数の賞を受賞するまでにしたマネジメント力は相当なものだ。
 
 この団体のマーケティングを担当したマイケル・バーナード氏がグレタのダボス気候ストライキを演出していたことは注目すべきだ。
 怯えた少女グレタ・トゥンベーリが世界的注目を集める活動家グレタ・トゥンベーリになるのは、優れた演出家が背後にいるということを私達は理解しなければならない。
 


■20歳になった少女の発言に対する責任
 
 集会の途中でグレタは大きな登山リュックを背負い駅へと向かい始めた。
 歩きながら質問を続ける私にお付きの女性が言う。

「今はステージに立っていません。だからもう質問をやめてください」
 
 ウクライナ人と思われる通行人が彼女を見つけ
「あなたの努力に感謝します。ウクライナの人々に何かメッセージを下さい」
とお願いするも、それも無視。
 
 ああ、彼女は私の質問を全て無視するのだ、電車に乗ったら質問のチャンスももう終わりだな。そう感じた私は彼女にメッセージを伝えるとしたら何が良いかと考えた。
 
「もう質問はしません。あなたは利用されている。皆そう思っています」
 
 そう私が言った途端、ダンマリを決め込んでいた彼女の目の色が変わりすぐさまこう言った。


「yeah, people like you!」Davos Platz駅


「yeah, people like you!」(あなたみたいな人がね)
 
 反射的な返答があったのは、相当心に響いたからだろう。
 私はこう付け加えた。
 
「あなたの力は大きい。そして私たちの日常生活に影響を与えています。人々は苦しんでいます。自分のしていることを考え直して下さい」
 
 16歳の環境活動家少女は今や20歳となり自分の行動、発言に責任が問われる年齢となった。
 しかし彼女はその心の準備ができていないようだ。
 
 
 この一連の様子を通して私は、彼女が作られたイメージキャラクターの持ち主であると分かった。と同時にアスペルガー症候群である彼女を利用して、気候変動イデオロギーを広める勢力の存在、事の重大さを認識していない本人の実態を垣間見ることができたと思う。
 
 個人的に一番強く心配した事は、アスペルガーであるからこそ、彼女をプロパガンダを広めるフロントとして利用している人々が彼女をコントロールできない時彼女に何が起こるかだ。
 しかしそう甘いことは言っていられない。
 彼女に一刻も早く現実を理解させる必要がある。



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