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【高田馬場駅早稲田口壁画】新宿日撮り歩記

高田馬場駅の早稲田口のガード下の壁に描かれている画。

JR側は『ガラスの地球を救え』、西武鉄道側は『高田馬場の歴史と文化~過去から現在そして未来へ』をテーマに手塚プロダクションによって描かれました。

月刊漫画雑誌「少年」に「鉄腕アトム」の連載が始まったのは今から70年前の1952年。
アトムは2003年4月7日に高田馬場で誕生したという設定になっています。
「鉄腕アトム」の作者である手塚治虫は50年後にアトムのようなロボットができると想定、予測していたわけです。

その「50年後」からさらに20年経った今、残念ながらアトムのような心優しいロボットはできていませんが、さまざまな面で人を手助けする技術が生まれ、実用化されています。
人工知能AI。
二足歩行ロボットやドローン。
まだオリンピックの開会式くらいにしか登場しませんが、人が空を飛ぶことだってできるようになっています。

1900年代に普及し始めたコンピュータ。
そのころのコンピュータといえば、更衣室にあるロッカーを20個くらい繋げたような巨大で、特定の知識を持った人にしか扱えないものでした。
価格は数千万円。
企業には「電産室」という空調が効いた部屋があり、コンピュータはそこに鎮座していました。
人が働く職場に空調がなくても、電産室だけは空調が効いていました。
それほど繊細な機械だったコンピュータ。
そのころから耳にするようになった「OA」という言葉。
オフィスオートメーション (Office Automation) の略です。
人手に頼っている事務仕事が、工場でモノが作られるように自動化される。
例えば、文書を作り、印刷せずに、相手に送り、相手も印刷することなくそれを保存する。
紙が不要の「ペーパーレス」の時代がやってくる。
そう言われていました。
当時、コピー用紙が大きな売り上げを占めていた製紙会社は「明日にも紙がなくなる」と、戦々恐々としていました、
しかし、すぐにそうはならず、50年経った今、ようやく現実のものとなりました。

また、同じころ、ビル・ゲイツは「将来、コンピュータは水道の蛇口をひねるように誰もが使うようになる」と言っていました。
今、まさにその通りになっています。
多くの人がほとんど抵抗なく使っているスマートフォンはコンピュータにほかなりません。
しかも、50年前に数千万円したコンピュータよりもはるかに高い性能を持っています。

確か、これもビル・ゲイツだったと思いますが(違っていたらすいません)、「50年後は予測可能だが、3年後の予測は難しい」とも言っていました。
その50年後、あのころの予測通りの社会になっていますが、当時の3年後に何が起こるかという予測はできなかったのでしょう。
巨大金融企業が経営破綻するなど、誰が予測できたでしょう。

ある学者によると、人類の歴史にはその生活様式を大きく変えた三つの出来事があったそうです。
最初が農耕の始まり、次に産業革命、そして、コンピュータの発明・普及。
農耕の開始までに人類の歴史はどのくらい経っていたのでしょう。
数万年?
農耕によって、獲物を求めて移動を続けていた生活から定住生活へ変化しました。
そして、それから産業革命までは約1万年という長い時間がありました。
しかし、産業革命が1700年代とすると、コンピュータの発明まではわずか200年。
ものすごい早さで社会が変化しています。
これから先、もしかしたら3年後はおろか、50年後の予測もできなくなるかもしれません。

日本だけを見ても、リニアモーターカーの商業化が目前に迫っており、また、車の自動運転も現実味を増してきました。
その先にはいったい何が待っているのでしょう。
「鉄腕アトム」に描かれていたような空飛ぶ車が登場するのも間もなくなのかもしれません。

高田馬場駅の壁画にはそのような未来だけでなく、お神輿などの伝統文化も描かれています。
そして、漫画の中では敵と戦っている登場人物たちも、この壁画の中では楽しそうにお神輿を担ぎ、横断歩道で優しく子どもたちを誘導しています。

笑顔でないのは必死に漫画を描いている手塚治虫くらいでしょうか。(笑

この壁画には、時代を問うことのない「人の心」への願いが込められているように思います。