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初オリジナル長編小説 

私は今日〇〇を殺した
それはもう悲惨という言葉でまとめていいものなのか‥‥
返り血を浴びて、その場に広がる血の海を見て
なにも感じない私は刃を突き立てて、ぽつんと言った。
「いつからこんなことに-・なってしまっ---・-た-・--んだ・-・--ろう」

これは、サクという少女の物語である・・・


・・・ザ・ザザザ・ザザザザザザ

第一章【はじまり】


卒業シーズンも終わり桜がひらひらと仕事を終える頃
少女の元気な声が響く
「行ってきまーす」
彼女は、どこかを見て言った。
彼女の名前はサク。ごく普通の女子高生だ。
いつもどうりの街路樹、近所のおばさんの会話
「今日も平和だなぁ」
肌で感じる季節の感触が私は好きだ。
ほんのり心地が良い木々の香りを感じながら進んでいく。

彼女の目から見える空間が歪み、重圧のような何かを感じた。
その時。
「ete‥gin…ukayah」
「え?何、、」
まるで頭の中から問いかけるような
そんな感覚を覚えた。
その声は緊張感があるような悲しそうな声だった。
「あれは・・なに・・」

第二章【歪み】


視線の先にある光景に私は息を呑んだ
(あれは・・・なに・・)
私に似てるようで何か違う。双子??いや違う・・
私に姉か妹がいる事なんか聞いたことなんかないし、聞かされたこともなかった。
そして、その何かは人形のような生気を感じない眼差しと喪服のような何かを着てそこに立っていた。
私は体の底から何か吐き出してしまいそうな異様な気持ち悪さを感じながら、奴を見つめていた。

私以外の人たちも不思議そうに奴を見つめていた。
数秒経っただろうか、奴はゆっくりと動き出した。
数歩進み、見物していた人達に近づき奴は止まった。

男「なにこれ、映画の撮影?」
女「私たちエキストラじゃんwww」
男「それな〜!こっちきたよ!おね〜さぁ〜・・・・・・・」
突然、奴の目の前にいた男の声が止まった。
と思った次の瞬間

「あ、が、、が、ガガガがガガガががあが」
男が突然痙攣し始めた。私はその瞬間、男の腹部に何か突起が出ていることに気がついた。
男は奴の目の前で少し膨らみ、バタバタと悶えていた。
すると、また脳内に語りかけてくる、あの声が聞こえた。
「ete‥gin…uka・yah」
頭に問いかけてくる声が男の目の前に立つ奴から発しているものだとそこで理解した。
その言葉を聞き終わった瞬間、先ほどまで悶えていた男の体が急激に膨らみ大きな音を立て爆発した。
まるで風船のように綺麗に、そして酷く残酷に。

辺り一面に血が飛び散っている異様な光景に誰も普通でいられるわけがなかった。
さっきまで平和だった日常が一瞬で目の前を血の雨で覆った。
その光景を震えながら私はただ、見ている事しかできなかった。

逃げ惑う人々、それを追いかけて次々と肉片へと変える
謎の生命体。
わけが分からなかった。
冷静でいられるわけもないがそうも言ってられない。

私は近くで警察がパトカーを止めていたことを
なぜか、覚えていたので窓を割りダッシュボードの中を漁った。
なぜ覚えていたのか私にも分からないけれど、そこに拳銃があるだろうという確信をなぜだかしていた。
ダッシュボードから拳銃を取り出し、目の前の奴にめがけて銃弾を撃ち込む。
「バンッ」
その銃弾は奴の脳天めがけて飛び、奴の脳天を打ち抜いた。
奴は何ともあっさり、あれだけ簡単に人を殺していた大量殺人鬼は、たった1発の銃弾で倒れた。

打ち抜いた奴の表情は初めて見た時とは違った表情をしていた。
それは安堵のような、人間らしいというべきなのか
奴は安心しきった表情をしていた。
その姿を見た私は戦慄した。

私は、奴の表情を見て固まった。
私と全く同じだということに気づいたからだ。
ほくろの位置、生まれつきある傷まですべてが同じだった。
私はその場で崩れ嗚咽した。
今撃った。撃ち殺したその生物は紛れもない私だった。
自分自身を撃ち、自分の死体を見るなんてそんなこと考えたくもなかった。
なぜ私と同じ私が虐殺をしていたのか、分からなかった。
「私が殺したの?私があの人たちを殺したの?」
混乱している私にまた別の奴がやってくる。

奴以外にも数体いた。
きっと彼らも誰かの・・誰かなのだろうか・・・・
そう考えながら立ち上がり拳銃を握りしめる。
そこからは、よく覚えていない
私が一体何者なのか、私が本当に私なのか
そんなことを考えながら目の前の兵器相手に
拳銃を向けていた。

あれからどのくらいたったのだろうか・・・
そんなこと分からないくらいきっと経ったのだろう。
気づくと辺りには人はおろか、殺人鬼もいなくなっていた。
いなくなったというより目の前に広がる血の海とたくさんの死体を見つめて
私がすべてやったと、そう悟った。
その光景を見て私は・・
私は、、
私は、、、

私は、、、、、

「きゃははははは、はははは・・・」
(私笑っているの?なんでこの状況で?)

私は笑っていた。恐怖からくるものなのか
私の中の閉じ込めていた何かがあふれるような
全てがはじけていくような気がした。壊れた・・・・
あの温かい街路樹を歩いていた平凡な日常を・・・・
楽しい新学期を迎えようとしていた高校生のサクはどこかへ消えていった。

狂気の笑みを浮かべる私に温かく迎え入れてくれるような
次元の歪みが私とその一帯を覆いつくし、大虐殺が起きた
その場から静かに消えた。
ザザザザザザ・・・ザザザ・・
「αデータ次元の回収完了」

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


一連のこの流れは、ただのSF映画のようなものなのか
それとも転生ものの内容なのか。
・・・
いや、そんなもので済むものではないのかもしれない。
読者はこれからの結末を受け止めきれるだろうか。
彼女は何を知り、何を感じていくのだろうか。
そして、読者達はこれから何を見て、感じ、得るだろうか
私たちは彼女の進む道をこれから始まる出来事を
見ていくことができるのか、いや
最後まで、見ていく義務があるのかもしれない

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