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スタートアップの本気で世界で勝負する戦い方とは? by Final Aim,Inc.

本noteでは、これまでUC Berkeley のアクセラレーターであるBerkeley SkyDeckでの”Most Likely to Become the Next Unicorn”受賞や、シンガポール・日本・米国での起業、東証一部上場企業へのExit、3回目のCEOとしての経験を踏まえ、「スタートアップの本気で世界で勝負する戦い方とは?」について記載出来ればと思います。

さて、2023年6月、Final Aimは、スタンンフォード大学の米国アジア技術経営研究センター北カリフォルニア ジャパン ソサエティの共催による「Japan – US Innovation Awards」における「Innovation Showcase」の受賞企業として選出されました。

「Japan – US Innovation Awards」 にはEmerging LeaderとInnovation Showcaseの2つのカテゴリーがあり、Emerging Leaderのこれまでの受賞企業として、Tesla,Dropbox,Zoom, Square,Mercariなど(今年はFigmaが受賞しております)。一方、Innovation Showcaseに選ばれた企業として、ABEJA,GITAI,WHILL,Preferred Networksなどがあります。


このような素晴らしい受賞企業がある中で、Final Aimが選ばれたことを大変光栄に思います。また、スタンフォード大学のリチャード・ダッシャー先生と、Final AimのボードオブアドバザーであるJeepと一緒に会えたのは貴重な機会でした。

スタンフォード大学のリチャード・ダッシャー先生、Final AimボードオブアドバイザーのJeepと


一方、Final Aim単体の力ではなく、UC BerkleyのアクセラレーターであるBerkeley SkyDeckをはじめとしたさまざまな方々のご支援のおかげでシリコンバレーにおいてFinal Aimがスタートアップとして一定の評価を頂くことが出来ていると感じております。

今回、そうしたご恩を日本のスタートアップのエコシステムに還元できればと考え、noteを書いている次第となります。

改めてとなりますが、今回のテーマは「スタートアップの本気で世界で勝負する戦い方とは?」となります。

前提として、Final Aimの戦略はかなり特殊且つ独自性のある戦略である為、すべてのスタートアップにとって最適か?というと、まったくそんなことはありません(というか、むしろ相当イレギュラーな戦略だと思います)。ムーンショットを狙うための戦略である為、対象とする国やマーケットによって、最適解は変わってくると考えております。また、「本気で世界で勝負することが自社やステークホルダーの方々にとって本当に良いのか?」という論点もあります。本noteは、あくまでも起業家としての一つの考え方として、読者の方々のご参考になれば幸いです。


1:米国本社、日本子会社のスキーム(インバージョン)

まず、世界で本気で勝負するにあたり、資金調達前であれば本社の場所が重要になります。なぜなら、SAFE(simple agreement for future equity)による資金調達を行うにあたり、会社法・税法の観点から本社の場所が重要となる為です。そして、シンガポール、日本をはじめ、世界中の候補の中からFinal Aimはデラウェア本社と致しました。

Berkeley SkyDeckでも様々な方々からアドバイス頂きましたが、米国での法人登記において、デラウェアにしているか否か?は大きなポイントとなります。Final Aimは2019年に日本で法人を設立しておりますが、2022年に米国法人を設立し、インバージョンをかけて米国本社・日本支社としております。日本側の株式は100%米国本社が保有しております。これはグローバルで戦う為の、戦略的な経営判断となります。

一方、既に投資家から資金調達済みの場合は米国デラウェア本社が最適かどうか?は状況によって異なってくるかと思います。なぜなら、インバージョンをかける際に既に資金調達済みの場合はそれに付随する対応が費用・工数面含めて、必要となる為です(Final Aimはその点を踏まえて創業以来日本では資金調達を行わずに経営してきていました)。

シリーズAまで進んでいる場合など、むしろインバージョンは行わずに海外の投資家を巻き込んでいく方が効果が高いケースも多々あるかと思います。自社とステークホルダーの方々の状況を踏まえた上で、本社の場所に関しましては適切なオプションを選択いただければと思います。

2:SAFEによる資金調達/Post Valuation Cap



次に、世界で勝負するにあたっての手法の一つがSAFEによる資金調達となります。今回、Final AimはGoogle出身でa16zから出資を受けているシリアルアントレプレナーのTom Moss(Exit2回)や、Adobe出身のCraigからエンジェル出資を受けておりますが、こちらは契約書はYC(Y Combinator)のSAFEを使用しております。標準フォーマットを一切カスタマイズせず、そのままSAFEを使用しております。

なお、現在YCのフォーマットから出ているのはPost Valuation capによるSAFEとなります。Preではないので注意が必要です。PreとPostでは性質が大きく異なります。また、SAFEとJ-KISSは似て非なるものですので、正確に理解した上でどちらがよいか?をご判断頂くとよろしいかと思います。

↓YCによるSAFE

3:グローバルな経営体制



3つ目は、グローバルな経営体制となります。今回、Final Aimは900名のマネジメント、約1B$の売上管理の経験をしているCraigに参画して頂き、経営体制をグローバルな体制にしてあります。なぜなら、成長していく中で組織が巨大化すればするほど、後から体制をグローバルにすることは困難と考えるためです(例えば英語でのコミュニケーション等)。

その為、Final Aimは初期の段階からグローバルな体制にすることが大切だと考えております。もちろん、一定の資金調達を終えたのちにグローバルを目指す、という考え方ももちろんございます。


※2023年6月Craig Tegel氏がFinal Aimに参画

4:海外のアクセラレーター/Berkeley SkyDeck・Alchemist X



4つ目は米国のアクセラレーターの活用です。YC,Plug and Play techcentre, Techstar等ありますが、Final AimはUC Berkeley のアクセラレーターであるBerkeley SkyDeck(Batch15/IPP)とAlchemist Xに採択されております。こちらも、特徴を踏まえた上で、アクセラレーターを戦略的に選択しております。

海外のアクセラレーターですが、財務・法務・人事と素晴らしいサポートがあり、また進め方によってはインナーサークルに入ることが可能となります。Berkeley SkyDeckではa16zのパートナーの方々とお会いする機会がありました。また、Alchemist XはAlchemistの卒業生でa16zから出資を受けている方がいらっしゃったり、a16zの関係者をはじめ、シリコンバレーの投資家へのリーチが出来る仕組みがあったりします。

なお、アクセラレーターは単に受けるだけでなく積極的に成果を出していくのも大事かと思います。Berkeley SkyDeckにおいては2023年2月には「The Most Likely to Become the Next Unicorn」に選ばれました。この結果、様々な方々との繋がりが一気に増えたと感じております。

MBAや現地での留学経験等、既に地場のネットワークがある場合は別ですが、日本からベイエリアのネットワークに入るには、アクセラレーター等の対応は良いかもしれません。

2023年2月 Berkeley SkyDeckのShowcaseにて”Most Likely to Become the Next Unicorn”受賞

5:ムーンショット



最後に、ムーンショットを狙ったExit戦略があります。ベイエリアの投資家が求めれるのは小さな成功ではなく、フルスイングのホームランです。そして、本気でそれを実現しようとした場合、Cap Tableも事業計画も、ムーンショットを意識した設計となります。そして、それは日本のスタートアップの平均値・中央力とは乖離する場合が多々あります。

実際、シリコンバレーのAlchemist Xでも「Min $1B 」といったお話を頂く事がありました(Minラインがさらに高いVCもあるようです)。Exitラインにおける考え方として、視点・視座をどこにおくか?でシリーズAのみならず、シードラウンドにおけるValuationやCap Tableの考え方は変わってくるかもしれません。

本気で世界で勝負するのであれば、ムーンショットを狙った戦い方が適切ですが、「本当にそれが必要なのか?」は経営者・起業家としては適切な判断が求められる内容かと思います。Exitラインにおいて、すべてのスタートアップにおいてValuationが高いことが必ずしも良いとは限りません。ちなみに、Final Aim は振り切って本気で世界で勝負する戦い方をしています。Cap Tableも事業計画書も、そうした観点で作成しております。

以上、「スタートアップの本気で世界で勝負する戦い方とは?」でした。
いかがでしたでしょうか?

Final Aimはまだスタートラインに立てておらず、実績を一つ一つ積み上げていくフェイズではありますが、世界で勝負する為のこれまでの知見が起業家・投資家の方々をはじめとした、日本のスタートアップのエコシステムの一助となれていれば幸いです。

※免責事項
本文中の意見にわたる部分は筆者の私見であり、法務・財務等、事業に影響を与える可能性のある事項については専門家にご相談頂く必要があります。本文に関しては何れの表明や保証をするものではありません。掲載された内容によって生じた直接的、間接的な損害に対しては、責任を負いかねますので、ご了承ください。

・Final Aimについて

Final Aimは、デザインとデジタル製造業領域を中心にスマートコントラクト事業をグローバルに展開し、2022年4月には米国に法人を設立。同年9月には、世界的なスタートアップアクセラレーター「Berkeley SkyDeck」にも採択され、同プログラム内で2023年2月には「The Most Likely to Become the Next Unicorn」に選ばれました。また同年6月には、シリコンバレーを拠点にした北カリフォルニアジャパンソサエティとスタンフォード大学の共催による「Japan – US Innovation Awards」における「Innovation Showcase」の受賞企業として選出。また、シリコンバレーのアクセラレーター「Alchemist X」にも採択されております。

会社名:株式会社Final Aim(Final Aim, Inc.)
所在地:⽶国・デラウェア州 / ⽇本・東京都
共同創業者兼代表取締役社長:朝倉 雅文 
事業内容:デザインとデジタル製造業領域を中心としたスマートコントラクト事業
ウェブサイト:https://final-aim.com



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