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【UFC301】日本人が挑むフライ級王者は誰になるのか【メイン以外の注目試合】『Pantoja vs. Erceg』※試合後記事のみ


大会色合い

やって来ましたブラジル大会。
昨年のルイスvsアウメイダが開催されたサンパウロ以来のブラジル大会でしょうか?
各国MMAファンは様々な色がありますがブラジルのMMAファンはかなり濃い目です。まず自国vs他国ので他国選手が勝ったら歓声ゼロですからね。
あと大体自国の選手が試合してたら自国選手に対してコールがされますよね。
「ニッポン!!ニッポン!!」
「USA!!USA!!」

ブラジルファンは相手に対して言いますからね。
「Uh Vai Morrer!!Uh Vai Morrer!!」(お前は死ぬんやで)

あの恐々とした独特のアクセントでこの言葉がコールされてるのは面白い現象です。でも盛り上がりは凄いし熱気というか、活気というか、殺気というか、ブラジル人ファイターに通づるものがあります。

さてメインイベントはランキング10位でありながらブラジル興行の餌食となってしまったオージーのスティーブ・アーセグを招致してパントージャのフライ級王座防衛戦。アーセグの前戦はマット・シュネルでしたがいきなり王座戦となってしまって超飛び級となってしまいました。どこまで噛み付けるか。柔術黒帯。
コメインではキング・オブ・リオとされる殿堂入りファイター、ジョゼ・アルドがまさかの復帰戦。
相手はジョナサン・マルティネス。エイドリアン・ヤネスの脚を破壊した蹴りの鬼。現在バンタム級ランキング12位。
他にも実力あふれたファイターの試合が組まれております。

面白かった試合、見返したい試合

(ライト級:プレリム④)ジェイミー・ムラーキー🇦🇺 vs マウリシオ・ルフィ🇧🇷

昨年コンテンダーシリーズで発掘されたブラジリアンのマウリシオ・ルフィ。
契約となった試合ではダゲスタンファイターとの試合が組まれましたが、ダゲスタンレスリングを完封。

ムラーキーに対しては徹底した距離管理から伸びる右を立て続けに当てて試合を支配。
ホームのアドバンテージもあって思う存分にパフォーマンスを発揮しました。
この人は体幹がメチャクチャ良いというか、芯の強さが感じられてアスリートタイプなMMAファイターに見受けられます。
回転蹴りとフィニッシュシーンでは跳び膝を見せるクレバーさもあって今後のライト級に風を起こして欲しい選手です!

(ライト級:プレリム⑥)エルブス・ブレナー🇧🇷 vs ムイクティベク・オロルバイ🇰🇬

クタテラゼ戦での大逆転撃を見せたシュートボクセの気持ちつよつよブレナーと徹底したレスリングとカーディオで相手を泥まみれにする野人オロルバイ。

1Rからレベルチェンジでレスリングに持っていきコントロール時間を確保するオロルバイでしたがブレナーもブラジル人らしい見事なスイープでトップポジションをキープさせません。
スタンドでは今回オロルバイのストレートがよく伸びていてブレナーに対して大きなダメージを与えながら、タックルを使い分けていて感心せざるを得ない試合運びでした。

最終ラウンドでは気持ちの強いブレナーが攻勢を見せますがオロルバイのスタミナも上回っており、しんどいシーンでのタックル、ラストはダウンを奪ってオロルバイの気持ちの強さも見せました。
ライト級新星対決はユナニマス判定でオロルバイに軍配。
レベルの高いノーランカー同士の面白い試合でした。

(ミドル級:メインカード①)ポール・クレイグ🏴󠁧󠁢󠁳󠁣󠁴󠁿[#12] vs カイオ・ボハーリョ🇧🇷[#14]

かつてのミルコvsノゲイラの試合を思い出すようにクレイグのタックルを切ってはスタンドに戻すボハーリョ。
ブラジル人らしく柔術、ムエタイ共に黒帯のボハーリョに対してクレイグは得意ではないタックルをベースに攻めざるを得ません。
サウスポーのボハーリョは前手のジャブを合わせてクレイグの内側に入って打撃を優位に進めていきます。
そして2R開始1分半が過ぎた頃!!!視聴していたU-next?の問題で映像がストップ!!!そして画面がブラックアウトした次の瞬間仰向けのままレフェリー、セコンド陣に介抱されるクレイグの姿が、、、。
リプレイを確認すると左を当てたボハーリョがさらに追撃して真っ直ぐ下がったクレイグが金網を背負うと追撃のストレートがズドン。
ランカー14位ボハーリョが13位の寝技師クレイグをホームでノックアウト!!ミドル級も面白くなってきました。

(ミドル級:メインカード②)ミシェル・ペレイラ🇧🇷 vs イーホル・ポティエリア🇺🇦

ライトヘビーから階級を下げてきたクレイグとは逆に階級をウェルターからあげてミドル級にやってきたオモシロムーブファイターペレイラ。
いつも通りの何かを予感させるステップから相手のローに合わせてパンチを当てるとポティエリアはスリップ気味のダウン!!
そして背を向けて宙に舞うペレイラ。どう考えてもユニファイドルールでは禁止に当たりそうなバック宙アタックでトップポジションを確保すると立とうとしたポティエリアにギロチンセット!!
タップするポティエリアはギロチン解除後に落ちてしまい仰向けに。

圧巻のパフォーマンスでミドル級転向後3連勝を飾ったペレイラ。
次はランカー戦であってほしい!ミドル級で絶好調!!

(ライトヘビー級:メインカード③)アンソニー・スミス🇺🇸[#10] vs ビトー・ペトリーノ🇧🇷

ランキング10位のスミスが勢いに乗るノーランカー、ペトリーノを迎え撃ちます。
得意の右でプレッシャーをかけ中央をとるペトリーノ。
2分が過ぎた頃ペトリーノがダブルレッグテイクダウンを仕掛け頭を下げると、抱え込むスミス!!
その態勢で数秒止まると手応えアリな顔のスミスですが、ペトリーノはリフトアップしてズドン!!!
これが仇となって更に深くスミスの手首がペトリーノの顎下にめり込むと決死のタップ。ベテランランカーの威厳を見せた一戦となりました。

勝利者コールでは珍しくブルース・バッファーが間違えてペトリーノの名前を途中までコールしてからスミスの名前を言い直すシーンもw

大会総括<おかえりアルド>

ナンバーシリーズとしては見劣りするラインナップではありましたが、ブラジル人ファイターにしかできない派手なパフォーマンス溢れる大会となりました。
オリベイラの王座戦やライトヘビー級のペレイラの試合など組めれば良いですが直前のUFC300で放出しきってしまったのと、フライ、ライトヘビー以外ではブラジリアンがトップ5に食い込めていない階級がほとんどなのも事実です。
ここ近年は勢力図としては組みがやけに強いダゲスタン界隈、組みもスタンドもバランス良しの中東寄りの欧州界隈の勢いが大きいですね。

メインイベントはチャレンジャーのアーセグ、10位とは思えない善戦でした。正直ショートレンジに入ってしまったらほとんどの選手が迎撃されるんじゃないかとさえ思えて次戦が楽しみですよ。
序盤は流石にパントージャの牙城は堅いなと思って見ていましたが3R、4Rと精度が高まっていくアーセグの動きに感心して見ていて、スーパーお通夜モードも期待しつつ見守っていました。
とはいえ、トップキープの安定感とスクランブルの強さに秀でたパントージャに軍配。守り勝った防衛戦。強かったアーセグに期待。

そしてなんといってもアルドの復帰パフォーマンスです。
反応良し打撃のキレ良しで引退というより休養だったんだなと思う動きでした。12位のマルティネスは胸を借りる思いだったでしょうが悔しい敗戦に。
パフォーマンスが落ちたレジェンドを見守る試合とは程遠い結果だったのでまた上位陣との試合に期待しましょう!