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使用済み燃料をどこに?自民党福井県選出議員の質問

2月15日、参議院では「資源エネルギー・持続可能社会に関する調査会」が開催され、「資源エネルギーと持続可能社会をめぐる情勢」について参考人を招いて質疑が行われていた。

早回しで視聴したが、思わず普通の速度に戻した質疑があった。福井県選出の自民党議員が、龍谷大学政策学部の大島堅一教授を指名して行った質問だ。

滝波宏文議員は「トイレなきマンション」問題に言及し、「使用済み燃料をどこに持っていったらいいですか?」と尋ねた。

大島堅一氏は「日本では、使用済み核燃料を再処理する枠組みが設計されて以来、一度も止まることなく続けられてきた。高レベル放射性廃棄物の処分は、再処理をした後に出る高レベルの放射性廃液を固めたガラス固化体を処分する。だたし、六ヶ所村再処理工場が動いていないので、実は、その建て付け自体が無理なものになっているのではないか。国の政策決定がいったん始まると止められなくなっているところに問題性がある。

では、廃棄物をどこにやったらいいのかという問題を消費者に求めることはあり得ない。環境政策上、産業が出す廃棄物は汚染者が負担し、汚染者が実行することが原則。なぜかいつの間にか、国民が考えるべき課題になっているのが、原子力の非常に特殊な、特別扱い。本来、全面的に責任があるのは事業者。事業者がきちんと処分する、見つけることだと私は思います。問われるべきは国民ではなく事業者。よく高レベル放射性廃棄物は国民的課題であると言いますが、私はそう思っておりません。発生者が責任を負う問題。そこから始めない限り問題は解決しない。」

滝波議員はこれに対して、「そこで大きく見解の違いがあると思う。私は、これは大消費地の問題だと思う。福井県の原子力発電所は大消費地のためのものです。立地地域がリスクを負って、大消費地の方々が安定安価な電力を享受してきたのに、そのことについて他人事のように言われるのは決してあってはならない。これは大消費地も国全体を上げてこの問題に自分事として向かっていただく必要がある。立地に寄り添うのはそういう観点で進むことだと思っている」と続けた。

全体はこちらから(2月15日参議院インターネット審議中継)
https://www.webtv.sangiin.go.jp/webtv/detail.php?sid=7240

原発は今も昔もこれからも大消費地のためだけか?

さて、大消費地に暮らしてきた者として「そうなのか?」というのが感想だ。選挙のたび、また再稼働の動きがあるたびに、地元の首長、議会、住民は三位一体で原発にはNOと言って欲しいと思い続けている。

また、原発事故後に原発がまだ「安定安価」だと政治家がいうのは、廃炉費用や使用済み燃料の処理がまさに後回しであることや、大規模発電所は自然災害で停止し「安定的」ではない事実を重視していないからではないかと思う。

さらに、大消費地が払う電気料金が、電源立地の経済(*)を潤している構図に触れないのは、いたずらに立地地域住民と消費者の関係を単純化させて見せることにしか役立たないように思う。

*念のために
電源立地地域対策交付金を活用した事業概要の公表について(資源エネルギー庁電力・ガス事業部電力基盤整備課)→福井県「令和3年度電源立地地域対策交付金を活用した事業概要の公表について」
福井県「電源三法交付金制度等の手引き」(令和3年度版)
福井県「電源三法交付金制度について」

【タイトル写真】

2023年2月15日参議院資源エネルギー・持続可能社会に関する調査会(動画)で質問に答える龍谷大学政策学部の大島堅一教授(筆者によるスクリーンショット)。

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