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汚染土の再利用もIAEAのお墨付き頼みのゴリ押しか?

FoEジャパン発行の福島の今とエネルギーの未来 2024に「除染で生じた汚染土はどこへ?」というテーマで寄稿を頼まれた。福島県双葉町と大熊町へ県内から持ち込まれ、中間貯蔵されている原発事故で生じた汚染土の話だ。

ちょうど、こちら「地味な取材ノート」で所沢・新宿住民「汚染土利用は中止を」の続報を書こうと思っていたところだった。それに書き足す形で良いならと引き受けたが、こちらがあとになった。以下がその続報部分。唐突だが抜粋する。つまり、新宿区民が区や環境省に、汚染土を再利用する実証事業について多くの質問をぶつけた後に、ピタリと動きが止まった後の話だ。

寄稿「除染で生じた汚染土はどこへ?」より抜粋

2023年11月、環境省は新宿区に、専門家や国際原子力機関(IAEA)による助言を得て、基準省令等を検討してから、説明会開催を検討すると事務連絡★を行った。

環境省によれば、「中間貯蔵施設における除去土壌等の再生利用方策検討ワーキンググループ」等で、2024年度を目標に省令やガイドライン策定を検討するのだという。

汚染水に続き、汚染土の再生利用も安全だとIAEAからお墨付きを得ようというのか。それより先に、放射能汚染土を利用する政策がどう受け止められているのか、国民の声に耳を傾けて、よりよい方策を考え直してはどうか。(抜粋終わり。)

出典:中間貯蔵施設における除去土壌等の再生利用方策検討ワーキンググループ(2023年9月5日)資料3「今後の検討スケジュールについて

環境省から新宿区への事務連絡

なお、★印をつけた環境省(環境再生事業担当参事官室)から新宿区への「事務連絡」は重要なので、筆者が入手したもの(A4一枚)から抜粋しておく。この事務連絡の日付は「2023年11月21日」。出てくる「昨年」とは2022年のことだ。

(略)昨年12月21日に開催した説明会等において、安全性や管理方法等に関する様々な御意見・御質問を頂いています。
 これらを踏まえて、今後の進め方を検討してまいりましたところ、今般、下記の通りの方針としましたので、お知らせします。
 なお環境省では、引き続き、除去土壌等の福島県外での最終処分に向け、最終処分、再生利用に関する理解醸成や技術的検討に取り組んでまいりますので、御理解、御協力頂きますよう、お願いします。
                 記
1.環境省では、今年度から、専門家や国際原子力機関(IAEA)による助言等も頂きながら、最終処分・再生利用に関する基準省令等の策定に向けた本格的な検討に着手すること。またセシウム以外の核種の調査にも着手したこと。
2.再生利用の安全性や管理方法等について、よりわかりやすい説明を行うためには、まずこれらの取組の成果をとりまとめることが重要であること。
3.そのため、今後の説明会の開催時期については、別紙に示す議論すべき事項を踏まえながら検討していくこと

関係する「地味な取材ノート」
放射能汚染土の再利用:原発基準の80倍 2022年12月18日
所沢:放射能汚染土利用の実証事業計画 2022年12月19日
新宿で原発汚染土「利用」説明:都区には夏に 2022年12月23日

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