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ALPS処理水に含まれる29核種の総量

2024年3月28日、毎月最終木曜日の東電「中長期ロードマップ」会見が行われた(動画はこちら。資料は廃炉・汚染水・処理水対策チーム会合/事務局会議)。

ALPS処理水については、海洋放出の第4回目が3月17日に終了したこと他、諸々の報告があった。

総量規制がないので「塵も積もれば山」

彼らが定義している通り、「ALPS処理水」とは、「トリチウム以外の核種について、環境放出の際の規制基準を満たす水」。逆に言えば、基準未満の核種は残存し、総量規制がないため「塵も積もれば山となる」状態だ。

第4回の放出核種トップ3

そこで、トリチウム(半減期12年)以外の29核種は、実施計画で分析が義務付けられ、東電は、各放出回の終了ごとにそれを公表する。下表は第4回分。
読みにくいので、総量の多いトップ3(赤線)だけを抜き出すと、以下の通り。
 炭素14(半減期5730年):1億1,000万ベクレル
 ヨウ素129(半減期1570万年):1,900万ベクレル
 テクネチウム99(半減期21万年)が2,600万ベクレル

第4回の海洋放出

廃炉・汚染水・処理水対策チーム会合/事務局会議2024年3月28日 
資料「ALPS処理水海洋放出の状況について」P.9に赤線を筆者加筆

それぞれの告示濃度限度は以下の通りだから、上記の総量と見比べると、「塵も積もれば山」状態を実感できると思う。
 炭素14(C-14): 2,000Bq/L
 ヨウ素129(I-129): 9Bq/L
 テクネチウム99(Tc-99):1000 Bq/L

東電の総量発表を引き続き待つ

なお、29核種の総量を出すべきでは? と「中長期ロードマップ」会見ごとに尋ねていたら、第1〜4回までの総量累積を年度末に「足し算」して出すと松本純一氏(福島第一廃炉推進カンパニー・ALPS処理水対策責任者)が回答してくれた。

だから、3月28日の「中長期ロードマップ」会見に行ったのだが、出ておらず催促。再び「いずれ出す」との確約をもらったが、今日もまだ出せないらしい。

実は第1〜4回総量は「足し算」をすれば誰でも出せるが、公式に出ることが重要だと感じている。出すと約束したのだから、引き続き待つ

ちなみに、第4回放出で、総量が3番目に多かったテクネチウム99は第1回(下表)と比べると、桁が1つ上がっている。どのタンクから放出したものかによって、海洋放出されている基準未満の核種の総量が違うことはわかった。

第1回の海洋放出

出典:2023年9月28日 中長期ロードマップ 会見【資料3-1】 31枚目  
に筆者が赤字赤線加筆

ALPS処理水海洋放出の状況について (2024年3月28日、東京電力ホールディングス株式会社)では、いくつか他のことも質問をして、昨日、回答を得られたものがあるので、後刻、書いておきたい。

【タイトル写真】

2024年3月28日「中長期ロードマップ」会見にて撮影

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