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夕立【エッセイ】六〇〇字

TOP画像:デジタル備忘録から

朝カル7月のお題、「夕立」。
過日、東京・永福町にあったカフェ「445」のことを書きましたが、「夕立」というタイトルで大幅に書き換えました。あのマスターを想いながら。

 「これからは、晴れ。巻き返しますよ」
 自宅があった東京・永福町に、ジャニス・イアンの曲風がよく似合うカフェが、あった。カウンター六席、全二十席。又吉直樹似の四十代半ばのマスターが、一人で営んでいた。
 六十六歳で会社を整理した七年前まで十年ほど、週一で寄っていた。接待ゴルフの前日。極力、予定を入れずに、帰宅前の四時前後。
 その日は、永福を離れる最後の週。癌で入院し、再開した週の日。彼は、そう言った。
 店に入る前の土砂降りで、雨宿りか、常連さんが皆揃っていた。夕食の支度で追い出され、ワインを飲む八〇代の、「お父さん」。企画会社を営む四〇代の、「社長さん」。ブティックを経営する四〇代の、「マドンナさん」。遅めの昼食をとる二〇代の、「美人さん」。
 同じカウンター奥に座り、文庫を開く。控えめなBGM。昼下がりの緩やかな時が、変わらずに流れている。冒頭の一言以外、余計なことは口にせず、グラスを磨いていた。
 すると突然、「明日は日中、降るそうです」と、嫌味が。「晴れ男なので」と言うやいなや小降りに。「ほら、神通力が効いてきた」と返した言葉を合図に、一人、またひとりと、戻っていった。「通り雨ですよ、明日も。元気で…」と言い出ると、大きな虹が東の空に。
 ところが五年後、閉店していると人伝に聞く。コロナ禍で? 再発でなければよいのだが…。あの日のような鮮やかな虹が、いまの彼の頭上にかかっていることを、願っている。

(御口直し)

本日の「筆洗」。
前半と後半と、流れに無理があるように感じるのだけど・・・(ワタクシだけ?)。
岩松先生のような教師にはお目にかかったことはないが、もし苦手な教科の先生だったら、その後、好きな教科になっていたかもしれない。こんな「岩松先生」はいてもいいよね。
しかし、英語で「話す」試験のこのケースは、それとは異なる。回答パターンを訓練すればよい。「賛成」「反対」→なぜならば、「こういう理由」だから、と答えれば合格点には達する。
5年前、英検2級の面接試験を受けたのだけど、このような時事問題はあった。社会常識としては、「賛成」と答えるべき設問でも、かつ自分の意見とは違っていても、使う単語が優しいか、単語を思いついた方を選んだ。この場合は、「賛成」を期待しているのだろうが、私は、「反対」から始めるかもしれない(どう答えるの? って、「急に言われても・・・💦」)。
コラムの締めの「新聞を毎日お読みなさい」。そうとは思うが、読む、読まないとは別だと思う。

東京新聞朝刊(8月2日)


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