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偶然性【エッセイ】一二〇〇字

 先日、わが集団住宅のエレベーターで、またおもしろい小学生に出会った。お決まり文句で、「キミ何年生?」から始まる。「4年です」。(サッカーのユニフォームのような上下を着ていたので)「サッカーやっているの?」「やっていません」「そっか~、じゃなにかスポーツやっているの?」「うーん。家でダラダラしているだけです」との、お返事だった。
                ※
 あなたにとって、縁起の良い、良さそうな数字ってあるだろうか。
私の場合は、「3」。車のナンバー希望制度が始まって以来、「・・・3」にしている。「1」でもなく「2」でもなく、「3」。私の生き方に似合った、なにか「中庸」っぽいイメージがあり、勝手に私のラッキーナンバーと思っている。もっとも、長嶋選手の背番号であることが一番大きな理由かもしれないけれど。
 20年前。新宿御苑近くの外苑西通りの信号で停車してたとき、魚屋と思しき小型トラックが横に停まった。すると、窓から顔を出した佐藤二朗似のタオルで鉢巻をしたオヤジが、言った。「あんたさ、長嶋のファンなんだろう? カニ持っていくか? カニー。 遠慮すんなあ~。オレ、自家用はベンツなんだけどさあ、ナンバーは、3なんだ~。持っていってよ」と。まさにラッキーナンバーだったのだが、まさかそこで受け取るわけにいかず、丁重にお断りしたのだった。
 車の希望ナンバーには、すぐに思い出せる数字、そのひとの趣味に関連する数字、誕生日(あまりお勧めできない…)、パスワード(コレ、まずい!)、そして幸運の数字と決め込んでいるものなど、いろいろある。私のように大ファンだった野球選手の背番号(冒頭の4年生は・・・ないかあ)。趣味がゴルフなら、「3636」(上手なゴルファーがめざすスコア。前半:36、後半36の72のパープレー)。パチンコやスロット好きなら、「・777」。ラッキーセブンの、「・・・7」や、末広すえひろがり「八」の「・・・8」。ゾロ目の「7777」など、幸運をイメージさせる数字を並べたもの。縁起の良い数字なのか、右肩上がりの連番「1234」とかも、多く見かける。しかし、同じ連番でも右肩下がりは、あまり見かけない。
 ちなみに、なにか良いことがありそうな数字のことを「エンジェルナンバー」と言うらしい。「天使からのメッセージが込められている数字」を意味し、「よく見る数字」や「妙に気になる数字」のこと。
 そういえば、トイレで起きた時に時計を見ると、いつも気になる数字がある。「1時23分」とか、「2時34分」とか、「3時45分」とか、「4時56分」。ゾロ目のときもあるはずなのだが、右肩上がりの連番だけが目に入る。昼間もいろんな時刻の数字を見ているはずだが、絶えず目にするからだろうか気にしたことはない。目覚めたときにたまたま見かけた時刻の数字だからこそ、印象に残ってしまうのだろう。しかも、その右肩上がりが好印象であるから、そんな気持ちにさせるようだ。
 前掲の「エンジェルナンバー3」の佐藤二朗似のオヤジは、ひょっとしたら、私の「天使」だったのかもしれない。だったら、車から降りてでも、素直にカニをいただいておけばよかったのかも。
 最近は、決定的な「エンジェル(ス)」ナンバーがある。それは「17」。

※TOP画像は、3日5:00から始まるエンジェルス戦を観るために、10分前に起きて撮影したもので、あります。31号ホームランを打ちました。いまや、ラッキーを越えて日常になっている。^^

(御口直し)

ネコ好きなら、「・222」だろうか。

朝日新聞朝刊(7月5日)

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