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ウォームビズは何故大失敗したか3

前回まで、ウォームビズが大失敗したのは何故か述べてきました。
今回から、ウォームビズが成功する方法はあるのか、模索していこうと思います。
今回も小田嶋隆さんの持論の助けを借ります。
ウォームビズが成功する方法を、模索する前に、まずは、クールビズが成功する方法があるかを、模索してみましょう。

スーパークールビズはどうだったか

始まる前から終わっていたスーパークールビズに対して、小田嶋隆さんはこう述べます。

 スーパークールビズのニュースを伝えるキャスターが、どこの局のどのニュースを見ても、やっぱりネクタイをしている一点を見ても、この運動が、お役所のイクスキューズ(彼らはいつもあらかじめの弁解を用意している)に過ぎないことは明らかだ。
 これではダメだ。
 本当なら、ニュースキャスターみたいな人たちが率先して、短パンでニュースを伝えないといけない。
 そして、半ズボン経由のニュースを、われら視聴者は、嘲笑せずに受け止めなければならない。私たちにそれができるだろうか。
 というよりも、真に重要なのは、仮にスーパークールビズが成功したとして、そのコロニアルな見かけの職場が、きちんとしたクオリティーを保てるのかどうかだ。

コラムニスト小田嶋隆の日録ページより引用。

はい、仰る通りでございました。
環境省は、スーパークールビズなどという寝言を言うのを一切合切やめております。

6月1日からスーパークールビズです、とあんなに言っていた環境省の官僚でさえこんなもんです。
5月1日からクールビズです、と言いさえすれば、お役所のイクスキューズを満たすので、環境省が特にスーパーの方まで言う必要がないのです。

スーパークールビズは大失敗で終わりました。
お役所のイクスキューズのためだけの言葉だったからです。
残ったのはスーパーでないクールビズだけ。

スーパーでないクールビズはどうか

スーパーでないクールビズは、定着したとされています。
環境省のイクスキューズは以下の通り。

1.室温の適正化とその温度に適した軽装などの取組を促す「クールビズ」については、長年の実施により社会慣習として定着していることや現下の気候等を踏まえ、ここ東京においては、毎年、5月1日~9月末までの期間で集中的に実施いただくよう、国民の皆様に呼び掛けていきます。

環境省報道発表資料(2023年4月25日)より引用。

スーパーのほうのクールビズは全く定着しませんでしたが、一方で、スーパーでないクールビズは、社会慣習として定着したそうです。
※二度と寝言を言うな、閣僚の服を見ろ、というのは、理念と現実で板挟みの官僚が可哀想なので、言わないでおきましょう。

長年の実施が、年に一回の所謂「かりゆし閣議」のことなのか、毎年度の政官財による取組の結果なのかはさて置き、定着したんです。
※かりゆし閣議の翌日の閣僚の服の話をしてしまうと、官僚が可哀想です。

板挟みの環境官僚はこう述べています。

2.国民の皆様におかれましては、日々の気温や仕事環境等に応じて、適正な温度での空調使用と各自の判断による快適で働きやすい軽装に取り組んでいただくようお願いします。

同上。

政治家の方々は、各自の判断で快適らしいので、仕方がありません、というイクスキューズを既に用意しているのです。
環境大臣でも、環境副大臣でも、環境政務官でも、「各自の判断です。」というイクスキューズが既にあるのです。
※その割に環境省の官僚は揃いも揃ってかりゆしで揃えさせられていたよな、と思い出すのは官僚が可哀想なのでやめておきましょう。

クールビズが成功する方法はあるか1

では、クールビズが形骸化せずに成功するためにどうすればいいのか。
再度、小田嶋隆さんの助けを借ります。

 ここまで話をすればおわかりだろう。
 クールビズがダメなのは、地位を表現していないからだ。
 表現しないどころか、無神経なカジュアルは地位を逆転させる。

コラムニスト小田嶋隆の日録ページより引用。

閣僚の服の秘密に迫れますね。
かりゆし閣議では着ているが、翌日以降どれだけ暑くてもかりゆしを着ない閣僚の服の秘密に。

閣議の閣僚は、あの豪華な椅子が地位を表現しているがゆえに、かりゆしを着るんですね。
閣議が来年からパイプ椅子になったら、その途端確実に、かりゆし閣議は無くなることでしょう。

クールビズが成功する方法はあるか2

小田嶋さんは、クールビズを定着させる方法を、以下のように述べていました。

 スーパークールビズを成功させるためには、なんとかして序列を持ちこまなければならない。
 たとえば、ダンヒルのアロハだとかバーバリーの短パンだとかを大々的に流通させる。カジュアルのブランド化。文春の広告特集とかがやっているアレだ。ヴィトンのスニーカー6万5000円だとか。悪い冗談みたいに見えるが、あれはあれで案外現実的なのかもしれない。
 役員クラスには、上下で40万円ぐらいする超高級リゾートウェアを着てもらう。
 ここにおいて、ようやくエレガンスが発生する。男のエレガンスは、シェイプやカラーには宿らない。あくまでも値段と肩書き。そこにしかエレガンスの拠り所はない。

同上。

歴代首相のかりゆしが、おいくら万円であるか、私にはわかりませんが、初入閣の特命大臣との間に、大差があるんですかね。

 「このアロハから見て、この人は課長クラスだな」という審美眼ないしは鑑識眼が、内外に共有されるようになるまでには、どう短く見積もっても五年やそこらはかかる。
 短パンみたいなブツを通して取締役の威厳を感じ取るに至る社畜な感受性が、若い世代のビジネスパースンの裡に果たして本当に育つのかどうか、先行きははなはだ心もとない。心配だ。

同上。

かりゆし閣議は、「五年やそこら」どころでないぐらい毎年一回あるはずですが、審美眼ないしは鑑識眼の共有をつくりませんでした。

閣僚ではなくて、アナウンサーが毎日かりゆしを着て、視聴者が高級か否かがわかるようになれば良い、ということでしょうか。

どうやら、年一回のかりゆし閣議を大々的に報道するより、浜田雅功さんが格付けチェックのお題にしたほうが、余程良い効果がありそうです。

クールビズのまとめ

高級かりゆしが、閣議の椅子以上に地位を示すと我々が思えた時にやっと、口先だけの寝言でないクールビズが定着した状態となる、ということになるのでしょうね。

その状態になったら、政官財の上層部を含めて、夏は高級かりゆしでクールビズでしょう。

次回も続きを述べようと思います。

リンク

小田嶋隆さんの全文のリンクは以下になります。

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