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丸谷拓也、引退

決して目立ちはしない。

しかして、チームに必要不可欠な存在。

丸谷拓也という男について語るには、きっと時間がかかる。

端的に評しがたい、味のあるプレーヤーだからだ。


遡ってみれば、丸谷拓也との付き合いは3年。

決して長くはないけれど、濃厚な時間だった。

共に苦しんだ2013年

本職ではないポジションでの奮闘

まさかのハットトリック

苦しいチーム状況の中、数少ない明るい知らせをもたらしてくれた。

満を持しての復帰となった2018年シーズン

中盤の底でバランスをとり、パスを捌き、ときに決定機を演出したり、それを自分で決めてみたり…

まさしくチームの心臓と呼ぶに相応しい活躍

昇格がかかる大一番の金沢戦、

ヤンツーこと敵将柳下監督が丸谷対策を打ってきたことは記憶に新しい。

そして、2019年。

タイ代表ティティパンや島川俊郎の加入、ルーキー長谷川雄志の台頭、小林裕紀の途中加入 

熾烈なレギュラー争いの中、DFラインもこなす柔軟性でルヴァンカップや天皇杯の戦いを支えた。

また、若いチームにあって、丸谷組の組長として陰ながらチームを盛り立ててくれた。

サッカーは難しい 

と常々思う。

昨シーズンの絶対的なレギュラーにさえ、安定した立ち位置は与えられないから。

ほとんど誰もが競争にさらされ、ときには戦術の犠牲になることもあるから。

そこで、競争に勝ち抜いていくことがプロフェッショナルの証なのかもしれない。

しかし、競争に打ち勝ち、試合でその姿を見せることだけがプロフェッショナルとしての在り方はではない、とも彼を見て感じた。

複数のポジションで監督の要求に応えること

自らを犠牲にしながらもチームの戦術を遂行すること

ピッチ内外でチームを盛り立てること

これらも立派なプロフェッショナルだ。

選手として、チームに直接貢献できないもどかしさがあったかもしれない。

その葛藤の中でも、

自分が出来ることをやり通してくれたことに、最大限の敬意を表したい。


引退発表のコメントを見る限り、前向きな旅立ちなのだろう。

いや、俺たちが愛した丸谷拓也が後ろ向きな旅立ちを選択するわけもない。

これからは違う道を歩む事になりますが、この12年間で学んだ事を活かして自分らしく楽しくがんばっていきたいと思います。

ここに記されている「違う道」を、

丸谷拓也が健康で、幸せに、楽しく歩んでくれることを祈る。


いつかまた、

フットボールを愛し続けていれば会えると信じて、結びとしたいと思う。

本当にありがとう。また逢う日まで。

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