窓口を1つにするデザイン

窓口は「インターフェイス」と言っても良いです。役所でも銀行でも何でもそうですが、基本的にタライ回しにされる体験はユーザとしては面倒で良い体験とは言えません。できるなら1つの窓口で全て解決したい。メールや電話は一本で終わりたい。

仕事でもそうです。「大体のことは何でも解決する人」は仕事でも重宝されるんじゃないでしょうか?
もちろん、そこに負荷が掛かってしまうデメリットもあるので、組織的に解決する方がベターですが。


これはアプリやサービスにも言える

1つのサービスを機能毎にアプリを分ける場合もあります。例えばフェイスブックとメッセンジャーのように。

どこからどこまでがそのアプリの価値、体験にするのかは「デザイン」であり、しかも結構難しい。範囲を決める行為です。これはユーザとアプリの距離感をデザインすることになるので、1つ間違えれば「全く使わなくなるアプリ」を作り出してしまう。

「使わなくても、手段は提供する」という選択もありえます。アクセシビリティとも言えますね。


また、このデザインの考え方に関してはアプリという大枠でもなく、アプリ内でも重要です。画面遷移の数などです。

そして、そのデザインは「いわゆるデザイナー」だけではなく「プログラマ」的な視点も必要になる。


具体的に説明

もっと具体的に僕が作っているAIスケジュール管理アプリ(OnefuncPlan)で説明します。

最近OnefuncPlanで3つほど大きく機能を更新しました。

⑴  写真から文字列を読み取り、予定を追記する
⑵  写真から文字列を読み取り、メモとかする
⑶  予定名の日付、時間を読み取り、予定を追加する

どれもAIっぽいですよね。
この記事では3について書きたいのですが、一応1,2について説明すると、OCRという文字認識からの予定追加です。

2018年でもスマホを弄りながらお客さんや同僚と話してメモを取るのは難しい場面が多いです。手帳はまだ必要。その手帳に書いた文章を写真で取ってアプリに取り込むイメージで作りました。

今回は3について書きたいと思います。

ざっと機能を説明します。



赤く囲った箇所が予定名の入力欄です。
基本的には「会議」とか予定名入力するだけで「時刻の設定」とか必要なく「終日予定の会議」として登録されます。

時間を設定するには
⑴ 「---」をタップして下から出てくる時刻設定ピッカーを操作する
⑵ 「---」を長押しして現在時間を登録する

でした。

当たり前ですが、僕自身もこのアプリは毎日使っています。

僕の使い方としては、今日のタスク一覧をまずバーっと書き出して、その終了時間、開始時間を「---」長押しでメモするという感じです。時刻が最初から決まっている打ち合わせなどは「毎回時刻設定ピッカー」を操作していました。

決まった時間を設定する操作は以下の流れです。
⑴ 「会議」という予定を追加
⑵ 「---」をタップして「時刻設定ピッカー」を開いて、13時まで動かして設定

個人的には「長押しで現在時間を設定」でも充分なところもありましたが、やはり、ここは「窓口を纏めたい」「価値までの距離を短くしたい」と考えた結果

「13時会議」と入力すれば、「13時」に「会議」が登録されるようになりました。

これは「午後1時」「13h」でも良いです。

上記の「13時会議」で確定すれば13時に会議が設定されます。

また、もっと便利にシンプルにできると思ったので、日付の解析も追加しました。

「来週水曜日10時会議」で、来週の水曜日の13時に会議 の予定が追加されます。


下は追加後のメッセージです。右上に「2018/02/28(水) 会議」とあります。

*OnefuncPlanのメイン画面は「該当日の予定一覧」だけなので、他の日を一発で確認するときは横にスライドしてカレンダー画面を表示する必要があります。なので、メッセージを表示する仕様にしました。というか、アプリが今何をしているかは、できるだけユーザに知らせた方が良いです。これは別な時に書きたいです。


以下の例文でテストしました。

「2018/02/27 会議」 2018年2月27日に「会議」を追加

「2/27 会議」 今年の2月27日に「会議」を追加

「27日 会議」 今月の27日に「会議」を追加

「明日 会議」 明日に「会議」を追加

「明後日 会議」 明後日に「会議」を追加

「来週 会議」 一週間後(7日後)に「会議」を追加

「来週 水曜 会議」 来週の水曜日に「会議」を追加

「月末 報告資料作成」 月末に「報告資料作成」を追加

「来月 引越し」 来月の同じ日(入力日が3日なら来月の3日)に「引越し」を追加

「来月3日引越し」 来月の3日に「引越し」を追加

*時刻と日付の両方同時も可能です。
「来週 水曜 13時会議」 来週の水曜日の13時に「会議」を追加

*「来週水曜日会議」「来週水曜会議」「来週水会議」は全て来週の水曜日に「会議」が追加されます。

*現状は「先週」など過去の指定、それと「再来週」に対応して居ません。例えば3/18と明示的に日付を入力すれば可能です。

*現状は接続詞を入れないで下さい。たとえば「来週の水曜に会議」では正確に認識できずに、恐らく「来週(水曜日ではなく7日後)」に追加されてしまいます。今後対応するとは思います。


この機能はパッと見ではわからない問題

ちょっと話が逸れますが、そもそも「予定名に日付や時間」を書く体験は普通ではないです。普通は予定名のみを書きます。

なぜなら「時刻を設定する別な窓口を用意している」「普通はそうだから」です。

別な窓口があるなら、人は「この件はあそこの窓口」なんだなと認識します。それに「普通」もそうです。前の体験をユーザは学習していて、それに倣って行動します。人は学習する生き物で、賢いです。

でも、それだとこの便利でシンプルな機能を発見してもらえない!


デザインは傲慢

困った僕は、とりあえず「ダイアログ」でメッセージ表示しています。最初に予定を書いた後にポップアップです。強制的に見せています。

これは少し迷いました。突然出てくる広告などのはウザいですよね。広告に限らずユーザの操作、体験を中断させることはダメです。「ポップアップで説明」というのは基本ダメです。

ただし、その強制的なメッセージが「有益」なら問題はない。少なくとも僕はこの機能はかなり良い線いっていると思うし、何よりわざわざOnefuncPlanを使う理由の1つにもなり得るからです。

強制的に見せるのもある意味でデザインという視点です。

ちなみに僕はデザインは傲慢だと思っています。ユーザの生活を設計してしまう。。人生にまで影響を与える。

最近ドラム式洗濯機に子供が入って出れなくなって亡くなってしまう事故が起きました。これはデザインの問題でもあります。デザインはユーザの生活を設計できてしまうほど強力で恐ろしい武器です。

デザインとは傲慢。だからこそ、慎重さ、優しさ、多面的な視点が必要だと考えています。これは永遠に解決しない。デザインという行為が抱える宿命です。


ちょっと長くなるし、こういった系は色々な事と繋げて書けてしまうので、ここでやめます。

話が逸れてしまうのが癖で困っています。書きたいことが沢山ある。。w

以上です。