ドキュメンタリー映画 『なぜ君は総理大臣になれないのか』 を見て。


今回は映画の感想になります。
政治ドラマ(映画) はフィクション、ドキュメンタリー問わず面白いのでこの作品に限らずぜひ見ていって頂きたいです。

ポレポレ東中野という映画館で鑑賞。 座席数が100前後しかない小規模な劇場でしたが、椅子も綺麗でゆったりしておりトイレも清潔で、 とてもいい映画館でした。
そしてコロナ禍の影響で座席一つ置きに空けてたので、 劇場側からしたら大変だと思いますが見る方からしたらすこぶる快適で、こんな機会は二度とないと思うので
見たい映画があったら今のうちにドンドン見に行くことをお勧めします。

映画の感想について


選挙に詳しくない人にとってはネタバレのようなものはありますので予めご了承下さい。

正直この『小川淳也』議員については存じませんでしたが、 民主党については約一年前ぐらいに解説しているとおり、 党役員の都合で波乱万丈な歴史をたどっており、党議員の方々にとっては大変であったことくらいの知識は持って鑑賞しました。

第43回衆議院議員総選挙

さて、まず2003年の初出馬から始まりますが、後ろ盾の何もない新人野党候補がいきなり当選するわけもなく落選で終わります。

第44回衆議院議員総選挙

次の2005年の選挙は、 郵政解散による総選挙で『構造改革』やら 「抵抗勢力』といった発言を繰り返した 小泉首相(当時)の人気が絶頂のときでした。

この時に“敵”として描かれているのが同じ選挙区の自民党候補平井卓也議員。
地盤、看板、かばんを引き継いでいる世襲議員で新聞社とつながりがあるため、 余裕の総力戦をしているというイメージになってます。

選挙の結果は自民党が圧勝。小泉チルドレンが大量に発生していたなかで、 比例復活とはいえ当選を果たした小川氏は大したものだと思いました。

第45回衆議院議員総選挙

そしていよいよ2009年、リーマンショックに対し麻生総理(当時)がうまく対応できなかったため支持率が低下しており、 さらに民主党に風が吹いていた最中に行われた選挙。
結果としては民主党の大勝利。小川氏も初の小選挙区での当選。ここでライバルとなる玉木雄一郎氏も初当選となります。

その後の2011年2月のインタビューで、 詳しくは覚えてませんが『議員人生で一番充実している」というような発言をしています。やはり野党議員と与党議員では周りの対応が違ってくるんでしょうね。
ただ、このころは民主党政権の支持率がドンドン下がっていっている時期であり、さらに1か月後に3.11があるので、そこでどのような対応をされたのかは描かれていません。

第46回衆議院議員総選挙

そして2012年。 これは民主党に思いっきり逆風が吹いていた最中の選挙なので惨敗。ただその中でも比例で当選。
逆風の中でも比例復活だろうが当選できるのはしっかりした地盤が確立できていると思われます。


2014年の選挙はどういう描かれ方をしていたか忘れてしまいましたが、 3回目の比例復活当選。
それほど動きがないためか、 結構あっさり描かれていました。

第48回衆議院議員総選挙

一番直近に行われた2017年の選挙。 これがこの映画の大半を占める事になり、かつクライマックスになります。
自民党は『公文章偽造問題」で揺れており、飛ぶ鳥を落とす勢いで人気のあった小池百合子氏が参戦(本人は立候補せず)してきた選挙で、民進党はある決断をします。
それが結果的に小川氏にとって本当に運が悪いとしか思えない状況におちいります。

最初のころはちびっ子だった娘さんが大きくなって父の選挙を手伝う姿はけなげであり、
事務所開きの応援演説を行った坊主でヒゲでメガネの人 (名前を覚えてなくてすみません)の演説が
これまでの彼の活動と葛藤を知ったうえで聞くとこれも目頭が熱くなり泣ける作りになってます。
選挙の結果は知っていたとはいえ、 投開票の時のハラハラ感はとてもうまい編集をしたと思います。

全体を通して

詳しくは描かれていませんが玉木雄一郎さんとは馬が合わないのか、同じ香川エリアなのに距離感があるように見えました。
希望の党から国民民主党に変わり玉木さんが代表となると、 合流せず無所属になり活動しています。

そして現在、 いわゆる映画の後の話ですが、 立憲民主党と国民民主党の合併話が出ています。
国民民主党が分裂して、 立憲合流派と玉木派に別れ、 側近をしていた前原氏は玉木派に行く様です。
普通に考えれば前原氏と一緒に玉木派に合流する方が良いような気がしますが映画の様子を見ている限り立憲の方が近いように見えます。
さらにウィキぺディアの情報によると2017年の選挙の時は共産党と共闘して譲ってもらった恩義もあるので、 共産党に近い立憲合流派と一緒に枝野新党に行きそうな気がします。

いわゆる、枝野新党にくれば公認するけど、玉木新党に行ったら対立候補出すぞって事です。
そうなると自民党の平井氏、枝野新党(もしくは共産党)の候補者、小川氏の三つ巴になり組織票で平井氏が当選。残りの票を枝野新党候補者と小川氏で分け合う形になり、人数の少ない玉木新党では比例復活も難しくなる訳です。
(これを書いている段階ではまだ決まっておりませんし、 上記は全くの想像です)



両親をはじめ、 妻、 さらには子供達も巻き込んでの選挙戦はそれこそ小川淳也氏の覚悟の現れなのでしょう。
ただ、そうは言っても彼は政治家であり国家権力者になります。
当選した以上、有権者の厳しい目にさらされなければなりません。


映画としては政治家密着のドキュメンタリーとしていますが、 選挙をテーマにした人間味のあふれたドラマ仕立てに近い内容になっています。
なので政治に興味のない人の方が楽しめるかも。
逆に言うとドロドロした駆け引きや政策論争などを期待してみると物足りなくなると思います。
私も民主党議員ということで期待しないで見に行った結果、 大変面白く見ることができました。
とにかく次の衆議院の注目選挙区として、 香川1区をみる楽しみが増えたことがこの映画を見た最大の利点だったかもしれません。

というわけでこの辺で。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?