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『バック・トゥ・ザ・フューチャー』に関する個人的な話

 1980年代にスティーヴン・スピルバーグ製作総指揮、もしくは、スティーヴン・スピルバーグ提供というのを前面に出して公開された映画が数多くあった。その中でも人気が高い作品といえば、ロバート・ゼメキス監督の『バック・トゥ・ザ・フューチャー』だ。1985年12月の劇場公開時、筆者は今はなき新宿プラザ劇場の70ミリブローアップ版で観て、あまりの面白さに大興奮したものだった。その後、第1作のヒットを受けて、1989年12月には第2作の『~PART2』、1990年7月には第3作の『~PART3』が公開された。第2作の公開から第3作の公開まで約7か月待たされたが、その待たされた時間もまた楽しく、第3作を観終わったとき、もうこれで終わりなんだなぁと、感慨深さも感じたものだ。その後は2011年の“第二回午前十時の映画祭”、2015年11月、東京国際フォーラムホールAでの『バック・トゥ・ザ・フューチャー』in コンサート、2016年の午前十時の映画祭7、2017年3月の立川シネマシティでの極上爆音上映、2020年3月の午前十時の映画祭10-ファイナルなど、再上映されるたびに観に行っている。もう何度観たかもわすれてしまうほどだ。
 テレビ初放送はテレビ朝日の『日曜洋画劇場』で、マイケル・J・フォックス=三ツ矢雄二、クリストファー・ロイド=穂積隆信。その次がフジテレビの『ゴールデン洋画劇場』で、フォックス=織田裕二、ロイド=三宅裕司というWユウジ(このバージョンはもう観られないだろうな)。そして、BSジャパン(現BSテレ東)の『シネマクラッシュ』ではフォックス=宮川一朗太、ロイド=山寺宏一という組み合わせで、フォックスを宮川が吹き替えたことで、ようやく、観たかったバージョンが実現したという嬉しさがあった。ちなみに、ビデオ版はフォックス=山寺宏一、ロイド=青野武というキャスティングで、後に日本テレビ『金曜ロードショー』で放送された。
 物語はフォックス演じるマーティがロイド演じるドク・ブラウンが作ったデロリアンを改造したタイムマシンで1985年の現代から高校時代の両親がいる1955年にタイムスリップ。両親の出会いを邪魔してしまったため、ふたりの恋を成就させようと奮闘するというもの。冒頭の1985年を描写し、1955年の同じ場所を見せるという、時代ギャップの楽しさ、母親が父親ではなく息子である自分に恋をしてしまうというラブコメ要素、マーティがギターで歌う音楽が後の大物歌手に影響を与えるという音楽ネタ、歴史を変えてしまったことから起こるタイムパラドックスというSF要素など、さまざまなネタが詰め込まれているが、ゼメキス監督の演出と巧みな語り口で最後まで飽きさせない。主題歌の「パワー・オブ・ラブ」や挿入歌の「バック・イン・タイム」を担当したヒューイ・ルイス&ザ・ニュースのボーカル、ヒューイ・ルイスが前半でカメオ出演しているのもニヤリとさせられる。
 数ある映画の中で、ストーリーも展開も全部知っているのに、何度観ても飽きない映画というのが筆者の中には何本もあるが、『バック・トゥ・ザ・フューチャー』(シリーズ)はその中に入っている。劇場公開当時はここまで人気が続く作品になるなんて思ってもみなかった。ま、ビデオ、DVD、ブルーレイ、リバイバル上映、テレビ放送、ネット配信など、さまざまなメディアで観ることができるが、やはり、『バック・トゥ~』は劇場のスクリーンで観てこそ、その価値がわかる作品の1本だと思う。もう何度も再上映されているが、今後、また再上映されたら、劇場に足を運んでしまうだろう。それほど、この作品は映画の面白さに満ちている。安易にリメークなんてしてほしくないし、しないでほしい作品だ。

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