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アメリカを食べる 3        ピーナッツバター&ジェリーサンドイッチ

国民食ともいえるピーナッツバター&ジェリーサンドイッチ


 アメリカで人気のサンドイッチはたくさんありますが、ピーナッツバター&ジェリーサンドイッチ、通称PB&Jほど家庭で愛されるサンドイッチはないでしょう。アメリカ人は生涯で11人あたり2984食のPB&Jを消費するといわれています。それを積み重ねると自由の女神よりも高くなります。週に1回食べるとして延々と60年近くかかります。
 うちの息子が小学生のころ、友達の間でいちばん人気のランチといえばPB&Jだったような気がします。PB&Jをサンドイッチ用のプラスティックバックに入れ、ベイビーキャロットを10本くらい別の袋に入れてそれを紙袋に入れて持ってくるのです。製作時間1分。子どもが自分で作ることもあります。これが典型的なランチでした。今でもよく覚えていることがひとつあります。皆で国歌を歌っているとき息子のクラスメイトが片足立ちで、手に持ったPB&Jの入った紙袋を振りながら歌っていたんですが、先生から即座に「タイムアウト」を言い渡されました。
 子どもだけじゃありません。おとなも子どもと変わらずPB&Jをよく食べます。まだアメリカに来て間もないころですが、ボストンのダウンタウンにあるフードコートで昼食を食べているときのことです。前に座っている太めのおじさんがカバンから紙袋を取り出し、中に入っているラップで包んだPB&Jの5段重ねを鷲掴みにして食べ始めたんです。このときはさすがに驚きました。

PB&Jの作り方には厳格なルールがあるのです


 PB&Jはただパンにピーナッツバターとジェリーを塗ればいいというものではありません。まっ、人それぞれ違うわけですが、私が以前習ったオーセンティックの作り方を詳細に説明しましょう。
 
材料
食パン:2枚
すでにスライスされている白い食パンでなければならなりません。しかも端をつかんでくねっと反らないような硬いものは不可です。
ピーナッツバター:大さじ1~2
粒々のないクリーミーなものがベスト。粒々が入った通常チャンキーを呼ばれるピーナッツバターでもかまいませんが、パンが柔らかいので塗っている最中にパンが破ける可能性があります。
ジェリー
ジャムでもプリザーブでもないジェリーであることを強く主張しておきたいと思います。つまり果物のジュースをゼラチンで固めた果物の実が入っていないやつです。ジェリーなら何でもいいというわけでもありません。できる限りグレープジェリーを選びます。できる限りというよりもほぼmustだと思ってください。そして可能な限りコンコードグレープのもの(ウェルチなど)を。ない場合はストロベリーでしょうか。
 
作り方
対称的な2枚のパンを選び、対称になるように左右に並べます。
ピーナッツバターのジャーの蓋を開け、バターナイフで大さじ1~2のピーナッツバターをすくい取って片方のパンの中央に置きます。そしてパンが破けないよう十分気を配りながらバターナイフで広げていきます。端から端まで隙間なく塗らなければなりません。ピーナッツバターの間から白いパンが見えるようではだめです。塗り終わったらジャーの蓋をしっかり閉めてください。
バターナイフをなめてきれいにした後、清潔感を保つために念のためにナプキンで拭いておきます。
ジェリーの入ったジャーの蓋を開けます。ピーナッツバターと同量のジェリーをバターナイフですくい取り、もう一枚のパンの上にピーナッツバターを同じマナーで端から端までしっかり塗ります。ジャーの蓋をしっかり閉めるのもピーナッツバターのときと同じです。
ジェリーを塗ったパンを持ち上げ、ピーナッツを塗ったパンに正確に重ねます。重ねたら手のひらで少し押しつぶします。
大口を開けてPB&Jを両手で押し込んで一気に咀嚼するのがマナーですが、そのことにはこだわらなくてもいいのでは私は思っています。

参考資料
https://en.wikipedia.org/wiki/Peanut_butter_and_jelly_sandwich
https://2.files.edl.io/Vd6EoWkfZUEqHRFZLdrCO2xCBrMSJiRDtMrFRt6WAoHW15x3.pdf
https://southfloridareporter.com/americans-eat-an-average-of-2984-pbj-sandwiches-in-their-lifetime/
https://www.nydailynews.com/life-style/average-american-eat-3-000-pb-sandwiches-lifetime-article-1.2586249?utm_medium=google

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