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拝啓 バンドワゴンに揺れながら

長い永い移動時間を無駄にしないように、
イヤホンに直近のライブやリハの音源を流し込んで耳を塞ぎ、
上下左右にガタゴト揺れながらパソコンに必死にしがみついている。

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基本的に僕ら(いわゆる"バンド")のツアースケジュールが組まれるとしたら、
半年先から、早い時は一年以上前から、計画、準備は始まっている。だからキャンセルとかって簡単には、ゴニョゴニョ
久しぶりの全国ツアーを組むにあたって、せめて2020年の状況的に落ち着いていた10月11月を狙って、とか随分当てずっぽうな事を当時言い訳にしたけれど、
当たらずとも遠からず、宣言も明け、各地の感染者の数もみるみる低下していき、こうして自由に移動ができる事、運が良かったななんてうっかり思いつつ、これはもうただの結果論。
自分たちの当初描いていた計画は勿論、いろんな気持ちで身を引いた他のイベント・ライブの事を考えると、心の、もうちょっと奥底の、みぞおちのあたりがキリキリと痛んで仕方がない。

今現在、ライブハウスでのライブはどんな感じ。
会場ごと、地域ごとに、レギュレーションは細微違うのだけれど、この日の足元はこんな感じ。我々の用語で言うと通称バミるってやつですね

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元々の収容人数の2分の1、3分の1以上なんてことも往々としてあり得る仕様。
(ていうか元々良くそんな入れていたなとも思ったりも)
今が快適に見れるチャンス!くらいに思ってくれないかな(どうかな無理かな)。
一体感みたいなものはライブの中で尊い瞬間だと認めつつも、
基本はあくまで一対一です。それにお互い集中できるこの環境は、存外悪いことでもないような気がしています。僕は。

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で、いざライブが始まると当たり前なのだけれど、
本当に観客が声を出さないルール、その場所を動かないルールを守ってくれていることに、いちいち違和感を覚えながらも、感動してしまいます。
だってこちとら、一生懸命、全力で歓声をあげたくなるようなことを目指してやってますから(超矛盾してます)。
表現としてとても稚拙ですが、幸せな我慢大会みたいにも思います。なんじゃそりゃ

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歌い手としてはとにかくステージ上が乾燥していることが悩ましい。各地で換気もしっかりされているその反面、ああ熱気って、湿度って、喉に良かったんだなあなんて、しみじみ感じる場面が多々(ねえ、それここで言う必要ありました?)。

そして、これは配信頼りになった昨年から、くっきりと、はっきりとした事。
今まで歓声で誤魔化されていた部分、合唱で有耶無耶になっていた部分が、
明らかに丸裸、スッポンポンのポポンポンなのである。
バンドは音楽、表現、態度、全方位的にレベルアップ、ビルドアップしていないとそれに耐えることが出来ない。
結果、他の音楽、音楽以外お娯楽やエンターテイメントに自然淘汰されたとしても、それは単に努力不足なのだと思うことにしています(頑張れ)。

ただ、その分と言ってはなんですけれど、
一本のライブが始まる前に、よりビリビリと痺れる感じ、
終わる度、より魂削ってる感じあります。
神経をすり減らして、寿命ちょっとずつ減ってる感じはしてます(あくまで私調べです)。
その削った部分の研ぎ澄まされた何かが、瞬間ごとに火花を散らして、
キラッと輝いて見える確信めいたものも同時に感じています。
気のせいでないといいのですけれど。

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少し話は本題から逸れますが、基本それぞれ個人の裁量に任されていつつ、
久しぶりの、折角の全国行脚だけれど、会食、打ち上げの類もありませんし、
大人しく、基本ライブ会場とホテルの往復です。ソロ活動でご飯食べに行くくらいは多少すると思うけど
僕なんかはツアー中はお酒飲まなくなるので、逆に気を揉む場面も減って助かるー、時間が出来てハッピー、とかこっそり思ったりもするのですが(内緒ね)、
お酒とか、食べ物とか、人付き合いもそう、"地"のものをみんなで、肌で感じたいよね、なんて人にはまだまだお預け、ヤキモキする日々は続いていたりもします。

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この先、不安がないわけでは全く無くて。
おおよそ元通り、なんていうのは数年先くらいに想定していて、間違いや無理がないような(欧米に比べて、日本人のメンタリティを鑑みた私感ですけど)。
未来に長いツアー行程を抑えること、大きなライブ会場を抑えること。
2022年に何株の話をしているかわからないし、やっぱり出来なかったね、では済まされないし。
現在進行形のツアーも、チームの誰か1人でも体調を崩せば、立ち止まらなくてはならないこともそう(まあそれは今までもそうだったと言えばそうか)。
ただ、1番の敵は"忘却"ですし、"無関心"です。それとあと"退屈"。ねえ1番言うてますけどそれってあなた3つ言うてま

アーティストにとって何もしないことは、死んでいることとさほど変わりありません。本当は家でダラダラしていたい
過去に積み重ねてきたことは財産、宝物だと思った上で、今までのやり方は全て一度忘れる、くらいの考え方の切り替えのスイッチはすでに入っています。

ただ希望が無いわけでもなくて。
一つずつ目標を立てて、そこに向けて全力疾走。
孤独なビーチフラッグやってるみたいなものですかね。今は。
誰と競うわけでもないでもなく。
泥まみれになってでも旗をとったら、また旗を描くところからはじめて、それを立たせる場所を見つけて立てにいって、またそこに向かって走り出すみたいな。随分うつ伏せで待ちくたびれましたし


敬具 ってどうやって締めたらいいんだっけ?使いこなせない言葉は猛獣のように感じます。喰われる!
これは僕らに限らず、2021年この時勢に、音楽そのもの、そして音楽を生で、ライブ会場で楽しむことに関して、壁や扉、敷居のようなものが、少しでも解けて、また一歩、遠のいていた足音が近づくことを、僕は願って止みません。


<ヒソヒソ話はこちらでやってます。(503名様限定コンテンツ)>


褒められても、貶されても、どのみち良く伸びるタイプです。