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火がついちゃったんだもんね

今でこそようやっと自分にとって笑い話だけれど、
おおよそ2年と半年くらい前に、オリジナルメンバーから脱退の意思をひとり最初に伝えられたときは、正直何のこっちゃわからないくらいには混乱した。そして、これはちょっともう無理かもしれないなと思ったのを覚えている。

僕がどれだけ断固たるものを持っていたとしても、バンドは決して、自分一人のものでは無い。それぞれが、同じ話を聞いて、どう思い、何を考えるのか、想像することすら難しかった。

それでも残されたメンバーが集まって、目を見合わせた時に、俄然やるでしょう、むしろここからでしょう、みたいな空気がそこには充満していて、カチッとライターでもつければ一瞬で燃え上がるような気配すらそこにはあった。
これなら諦めない、という以上に、ひょっとしたらもっと面白くなるな、なんて、
改めて自分に火が入ったな、むしろ入れさせてもらったな、という瞬間だった。

色んな人の顔が思い浮かんで、吐き出したかった言葉も飲み込んだ。
悔しさもぎゅっと握りしめた。顔に出したら負けだなと思っていた。

そんな自分達に、ご褒美みたいな、出会いが訪れた。
日頃の行いってやっぱりあるなと思った。
少々みてくれはヘンテコだが、とても愛嬌もあって腕も確か。
それでいて、彼の一番いいところは、最も近くで自分達のファンでいてくれるところだった。残された自分達が、どれだけ必死に強がろうと、心のどこかで失いかけていた自尊心やプライドのようなものを、彼が補ってくれていたことに、とても救われていた。

それから1年間のサポート期間を経て、メンバーとして迎え入れて、ライブも元通りとまでは行かないけれど、状況は確実に良くなっている。さあここでどうするよ。というところ。
面白い方がいいし、簡単なものより難しい方がいいし、いつだって、ドキドキする方を選びたい。
これまでも、これからもそうだけど、僕はずっとそんなことばかり考えている。

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褒められても、貶されても、どのみち良く伸びるタイプです。