不安の夜を超えた2020年の春、そして夜明けを迎えたら梅雨も明けてた2021年の夏。ホテル型リアル脱出ゲームを称賛する記録。

2020年3月某日。
ニュースが不安と恐怖一色に染まり、
イベントや公演の中止メールが連日のように届き、
まもなく「最初の」緊急事態宣言に突入することになる日に、
私は妻さんを連れて、「夜のミステリーホテルからの脱出」に参加するために
東京ドームホテルに宿泊しました。

このイベント自体は2019年から始まっていたから、
勿論コロナもマスク不足もPCRも緊急事態宣言も何も関係なかったのだけど、
久々にSCRAPの加藤隆生代表が製作総指揮をしただけあって、
今回も私達に突きつけられたのはとても深く、とても濃い「問いかけ」でした。(加藤さんは往々にして深いテーマの作品を作る。そしてそれが私は大好きなのです)

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まだマスクもアルコールも全然なく、「人の触るものに触ってはいけない」という
恐怖感が充満していた中、エレベーターのボタンもスマホの角で押したり、
手すりにも触らないように歩き、
部屋に帰る度にすぐに手を洗う神経質な気持ちとともに、
そしてまだちょっとホテル側も手探りだったからか、往年の「脱出ゲーム」のテイストを残しつつ、ホテルの中を何回も巡って突き止めた「最後の真実」と、物語~加藤さんが伝えたかった「問いかけ」が、
その時に私が抱いていた気持ちや不安や悔しさに恐ろしいくらい合致して、
深夜0時直前にたどり着いたエンディングを見ながら、私は立ち尽くしました。


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まだかろうじて深夜までやっていた、「バー2000」で一杯だけ勝利の美酒を味わい、感想を言い合い、
そして翌日の朝に早速加藤さんに「とんでもなく面白かった!!」と連絡したのは言うまでもなく。


それから1年と4ヶ月。
もはや「はいはい緊急事態緊急事態」とつぶやくほど、まさか4回も同じことを繰り返す羽目になるとは思いもせず、
マスクもアルコールも安値で買えるようになって、みんな探り探り「新しい日常」を模索して、色んなものが「恐怖」から「面倒」にフェーズが移った中、
私達夫婦は再び東京ドームホテルで、第2弾の「夜明けのこないホテルからの脱出」に参加しました。

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今回のディレクションは櫻庭史郎さん。
重厚なテーマの前作とはガラリと変わり、ホテル側もだいぶ手慣れてきたのか、「部屋とホテル内を往復し探索しながら隠された謎を解き明かす」というコンセプトは変わらないまま、
謎の構成やギミックはより洗練され、テンポ良く楽しむ事ができました。

なによリ1年半ぶりに泊まった東京ドームホテルの、感染対策の充実ぶりときたら。
一番感心したのが、各エレベーターの行き先階ボタンのすぐ横にアルコールが必ず置いてあったこと。
去年はあんなに散々気を使ってボタンを押さないといけないのが、
今回は普通にボタンを押してもすぐにアルコール消毒が出来るから、
精神的負担がものすごく楽で、謎解きに集中できたのがほんとに良かった…。

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昼の時間がまだまだ長くて、梅雨の最後の雲間から見える夕景がとても綺麗で、
でもこの緊急事態宣言で静かになってしまっている東京ドーム周辺が侘びしかったけど。
そして緊急事態宣言のおかげでホテル内のレストランもすべて20時で終わってしまい、夕食もなかなか食べれない中で、今回のイベントでは部屋で食べれる軽食がセットで用意されてるのは、ものすごくありがたかったです。

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今回は完全にコロナ過前提で制作をしなければならなかっただろうし、
日々変化し続ける状況に対応するための展開・構成を、すごく丁寧に考えたのだろうなぁという、そんなホテルとSCRAPの心遣いを感じながら、
今回も深夜0時ギリギリまで、驚きと楽しみを堪能させていただき、
夫婦二人とも、前作とはまた違った「物語」の満足感を十二分に味あわせていただきました。
(そのテーマは前作が「重厚」なら、今作は「シンパシー」というべきかなと、個人的には解釈してます)

実は今回、妻さんのほうが仕事の都合で途中から、ほぼ後半戦からの参加になってしまったのですが、それでも「ものすごく楽しかった!」と満面の笑みで一緒にエンディングを見ることが出来ました。
「物語」としては今回のほうがより入り組んでいる(と感じた)ので、途中からの参加はちょっと大変だったかな(時間的にも私が説明する余裕がなかったし)のですが、「振り返り」の機能もちゃんと残っていて、その御蔭で妻さんもしっかり大謎の謎解きに貢献できたことが嬉しそうでした。
唯一残念だったのが、ゲーム終了後、前回のように「バー2000」で勝利の美酒を味わえなかったこと。(この状況下で1月からずっと営業休止中でした。営業再開を心から願ってます)

東京ドームホテルで経験した2つのホテル型リアル脱出ゲーム。
「夜のミステリーホテルからの脱出」も、「夜明けのこないホテルからの脱出」も、流れはほぼ一緒ながら異なる「物語」アプローチで丹念に作られ、その思いを十分に味わうことが出来て実に満足度が高かったので、このnoteを書くことを決めました。

他の参加者の評判も良く、当然、3作目があると思っています。
次の開催は、ワクチン接種も行き渡り、きっと「ポストコロナ」の段階に移ったときになることでしょう。
世界が次のステップに移ったとき、ホテルとSCRAPがどんな「物語」を体感させてくれるのか、今から楽しみにしてます。


…でね。
加藤隆生プロデュースの前作も、櫻庭史郎プロデュースの今作もとても素晴らしかったので、
いっそ次作はお二方で共同プロデュースしちゃえばいいんじゃないかと!
そしてせっかくならこれに今SCRAPの売れっ子山本渉くんも参加しちゃえばいいんじゃないかと!!
いやだったらもう、「熱烈マングース」プロデュースにしちゃいなよ!
んで主題歌(エンディングテーマ)も「熱烈マングース」が歌えばいいんだよ!
…って思ったんですけど、いかがですかね東京ドームホテルの皆様&SCRAPの皆様&ファンの皆様!!!

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