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批評の権利(京都新聞連載13)

初出:京都新聞夕刊、連載「現代のことば」、2023年10月。



最近、昔書いた授業のレポートを読み返していたのだが、大学3年くらいまで僕は、批評とは何かを考えようとしていた。批評について原理的に考えること、それを「メタ批評論」と呼んでいた。そのレポートは力がこもったものだったが、当時はどの先生も放任主義だったので、それを研究に育てていくサポートは得られなかった。

結果として、哲学の訓練をすることになり、ジル・ドゥルーズが専門になった。そうして大学院の年月を過ごした後、30歳くらいに、あらためて芸術作品の批評を書くようになった。そのときには、批評とは何かという当初の問いは、ある程度解決していた。というか、解消されていた。

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