2017年ベスト・ドラマ10


 今年もドラマをたくさん観たので、10作品選びました。作品の質と何かしらの同時代性という基準は、ベスト・アルバムやベスト・トラックと同じです。また、“全体としてどうだったか?”も考慮しています。たとえば、“大事なのは血の繋がりではなく心の繋がり”と雄弁に表現した『カルテット』の第3話は称賛できますが、小ネタに頼りすぎる全体の物語は苦笑したくなる場面も少なくなかった。『ツイン・ピークス The Return』も、リンチの創造力が炸裂した第8話は神回ですが、話が進むにつれてダレる瞬間も多くなってしまった。これらのような作品は、今回選んでおりません。連続ドラマだけでなく、単発のスペシャル・ドラマも選考対象です。レヴューを書いた作品は、URLを貼っております。



10

『パニッシャー』

MCUドラマのなかでは傑作。血まみれの生々しいアクション、アメリカの社会に深く踏み込んだ物語など、あらゆる点で挑戦的な姿勢が見られる。




9

『BORDER 衝動 ~検視官・比嘉ミカ~』

男性社会の陰湿さをオブラートに包まず表現していたのが印象的だった。何かしらの皮を被らずにああいったドラマができるのは良い流れだ。こうした作風で連続ドラマもやってほしいが、いまの日本でそれをやるのは困難かもしれない。




8

『秘密の森』

頻繁に切り替わるショットやテンポの速い展開は、アメリカのドラマに通じるものを感じる。視聴者を引き込む伏線の張り方も絶妙で、韓国ドラマのレベルの高さがわかる作品。




7

『ゴッドレス』

美しい映像に渦巻く様々な感情の機微が味わい深い。1話ごとの尺を長くすることで、登場人物の背景を丁寧に掘りさげる選択は大正解。ここ最近の西部劇作品の中では紛れもない傑作。




6

『13の理由』

日本ではほぼ無風、海外では劇中のシーンに関する議論が巻き起こるほどのブームを起こした作品。愛がわたしたちを引き裂いた……とも解釈できる物語はひたすら重く、切ない。https://note.mu/masayakondo/n/n44adc8b5e394




5

『ストレンジャー・シングス 未知の世界』シーズン2

ミステリー、ホラー、ジュブナイルといった要素を折衷させた傑作ドラマは、はみだし者たちへの優しさを持っている。同時代性に依存しない、秀逸な脚本も見逃せない。https://note.mu/masayakondo/n/n872f3444e32f



4

『センス8』シーズン2

美しい絵画のようなラヴ・シーンを撮らせたら、ウォシャウスキー姉妹の右に出るものはいない。そう思わせるほど、このドラマのラヴ・シーンは神々しい。人気はあるのに打ち切りという伝説も記憶に新しい。




3

『ダーク』

子どもが消える失踪事件を軸にしたミステリーだが、ハインライン『輪廻の蛇』を想起させる設定はSF的でもある。サム・エスメイルの『コメット』に通じる、時間芸術の特性で遊ぶようなストーリー展開が印象的。




2

『マスター・オブ・ゼロ』シーズン2

製作総指揮を務めるアジズ・アンサリは、ネオレアリズモの要素を大胆に取り入れることで、これまで以上の味わい深さを獲得している。程よいシニシズムも心地よい。https://note.mu/masayakondo/n/na39e2786a98c




1

『レギオン』

映画『X-MEN』シリーズのスピンオフ。映画『アルタード・ステイツ』を想起させるドラッギーな映像は、多くの人を驚かせた。シリーズの新たな可能性を切り開いたという意味でも重要な作品。



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