2017年ベスト・トラック20
ベスト・トラックは20曲選びました。選考基準は、ベスト・アルバム同様、作品の質と何かしらの同時代性が見いだせることを重視しております。最後のほうに、Spotifyのプレイリストがあるので、興味を持ったらぜひ聴いてみてください。Spotifyにない曲は、それぞれリンクを貼っています。
20
Jack Roland
「We Could Care Less By Now」
硬質なエレクトロ・ビートに、アシッディーでサイバー・パンクなサウンドが乗る。2017年はエレクトロ再評価の流れが花開いた年でもあるが、そのなかでもこの曲は特に優れている。
19
Samantha Urbani
「Hints & Implications」
さながらベリンダ・カーライル。エレクトロ・ビートとキャッチーなメロディーが織りなす最高の3分40秒。
18
Estoc
「My Betrayal (estoc's antifa tool)」
メタルとベース・ミュージックが交雑するサウンドだから、勝手に“メタル・ベース”と呼んでいた。強いて言えば、『Garden Of Delete』のワンオートリックス・ポイント・ネヴァーに近いセンス。
17
Bonaventure
「Complexion (VIOLENCE Remix)」
咽び泣くようなインダストリアル・ミュージック……とでも言えばいいのだろうか。一見殺伐としたサウンドスケープにも感じられるが、爆発的なエモーションが確かにある。
16
Lucie,Too
「Lucky」
宇都宮の3人組バンド。シンプルなメロディーからは高いソングライティング能力が窺える。譜割りが気持ちいい歌詞も秀逸。今年2回観たライヴも印象に残っている。
15
LCD Soundsystem
「Call The Police」
これまでもそうだったが、この曲ではよりジャーナリスティックな視点からの言葉を紡いでいる。ジェームズ・マーフィーがLCDサウンドシステムを再始動させたのは。時代の要請であることがわかる。https://note.mu/masayakondo/n/n60e27846a409
14
Yu Su
「I'll Say When I Can」
盛り上がりを見せるアンビエント・シーンとも共振できそうなサウンド。エキゾチカを彷彿させるトロピカル・サイケな音像もグッド。
13
Dave
「Question Time」
ベスト・アルバムにも選んだ、若きイギリスのラッパーによる曲。2017年のイギリスでは、新たな声を携えた音楽も少なくなかったが、そうした流れを象徴できるだけの輝きがある。
12
Moses Boyd
「Square Up」
モーゼス・ボイドは、ロンドンのジャズ・ドラマー。この曲にもジャズの要素は当然あるのだが、ポリリズムから生まれるグルーヴはダブステップをチラつかせ、スペーシーな電子音はグライムの要素を漂わせる。
11
DJ Heure
「Outsider Resource」
ジャングルのビートと絡み合う多彩なシンセ・ワークが光る。そこに筆者は、デトロイト・テクノに通じる叙情性を見いだしてしまう。
10
Or:la
「Kyoto Dance」
秘境的な雰囲気を漂わせるエキゾチックなハウス。若手に入る彼女だが、じわじわアゲていくグルーヴは老練さを醸す。
9
Jun Kamoda
「Body & Soul」
イルリメとしても知られる鴨田潤によるトラック。四方八方から音が飛びだすアグレッシヴなハウス。
8
Heart People
「Voices(Andrew Weatherall Remix)」
アシッディーなエレクトロ・ディスコ。反復の気持ち良さをこれでもかと見せつけてくれる。
7
Powder
「Heart」
新たな「French Kiss」というのは言い過ぎかもしれないが、この曲を想起させる享楽性が印象的なアシッド・ディスコ。
6
宇多田ヒカル
「あなた」
言葉に宿る豊穣な感情の機微に惹かれる。なかでも好きなのは、〈あなたと歩む世界は 息を飲むほど美しいんだ〉という一節。ただ美しいだけでなく、その美しさにある様々な気持ちを短いフレーズで表している。
5
電気グルーヴ
「トロピカル・ラヴ」
桃源郷に導いてくれるドリーミーなサウンド、何か素敵なことが始まる5秒前を描いたような歌詞、そのすべてが素晴らしい。
4
Awich
「Remember feat. YOUNG JUJU」
優しさと力強さが共生している。傑作アルバム『8』の中でも飛び抜けたカッコよさ。
3
CHAI
「クールクールビジョン」
EP「ほめごろシリーズ」に収録の名曲。けたたましいシンセから始まるラウドなサウンドは、観客たちを汗だくになるまで踊らせる。
2
Yaeji
「Passionfruit」
オリジナルはドレイクの曲。それをイェジは、甘美で心地よいディープ・ハウスにリワークしてみせた。
1
BLACKPINK
「마지막처럼 (As If It's Your Last)」
ダンスホール→マカロニウェスタン→ユーロ・ビートといった具合に、変臉の如く変化する。そのグルーヴは、CDJやPCDJを駆使した矢継ぎ早なDJプレイみたいで面白い。
Bonaventure「Complexion (VIOLENCE Remix)」
Estoc「My Betrayal (estoc's antifa tool)」
Jack Roland「We Could Care Less By Now」
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