とにかく踊れ 〜DJDS『Stand Up And Speak』〜
ジェローム・LOLとサモ・サウンド・ボーイのユニット、それがDJDSだ。共にソロでも積極的にリリースを重ね、さらにはレーベルBody Highを共同運営し、トッド・エドワーズ、ジム・イー・スタック、ニューボディーといったアーティストの作品を発表するなど、2010年代のダンス・ミュージック・シーンを賑わせている。もともとDJDSは、DJドジャー・スタジアム名義でファースト・アルバム『Friend Of Mine』を発表しており、本作『Stand Up And Speak』はセカンド・アルバムになる。
端的に言うと本作は、“とにかく踊れる!”の一言に尽きる。ダンス・ミュージックが持つ享楽性をとことん突き詰めたサウンドは、人々を踊らせるためだけにある。小難しい批評や意味の読みとり合戦は無用。表層こそが魅力の潔いアルバムだ。
特にお気に入りの曲は、「You Don't Have To Be Alone」。リキッド「Sweet Harmony」(あるいはニキータ・ウォーレン「I Need You」でもいい)を想起させるピアノの音色が、ほのかにメランコリーな雰囲気を漂わせているのがツボだ。この音色は「In The Flames」や「No Guarantees」でも使われており、それゆえ本作は90年代初頭のレイヴ・ミュージックに通じる要素を感じさせる。
「Stand Up And Speak」も興味深い曲だ。というのも、この曲のイントロを聴いて、ハウス・クラシックとして有名なファーリー・ジャックマスター・ファンク&ジェシー・サンダースの「Love Can't Turn Around」を連想してしまったからだ。躍動感あふれる前のめりなリズムもシカゴ・ハウス的で、ハウス・ミュージック好きが喜びそうな曲だといえる。
さあ、頭を空っぽにして踊りましょう。
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