弁護士 関 真也

知財法務を中心とする弁護士(日本国・NY州)です。特にエンタテインメントとファッション…

弁護士 関 真也

知財法務を中心とする弁護士(日本国・NY州)です。特にエンタテインメントとファッションの領域に力を入れています。 マンガ、アニメ、映画、ゲームに加え、最近はAR/VR、VTuberなどのお仕事も増加中。 関真也法律事務所→https://www.mseki-law.com/

最近の記事

【XR & Law Snapshot】メタバース上の「土地」を買うってどういうこと?~買い手の法的権利とプラットフォームの責任を考えてみる~

【キーワード】XR(VR/AR/MR) メタバース 所有権 不動産 著作権 プラットフォーム アーキテクチャ 【はじめに】 バーチャル空間上の「土地」が高額で取引される実例がいくつかある。最近報じられたものとして、以下のものがある。 ● Axie Infinity:NFTとして発行される仮想空間上の9つの区画が150万ドルに相当する暗号資産で落札された(2021年2月9日発表)。 ● Somnium Space:バーチャル空間上の土地が50万ドル以上で売れた(2021年3月

    • 【米国判例メモ/著作権】CDNサービスを提供する事業者につき、著作権の寄与侵害責任を否定した事例 Mon Cheri Bridals, LLC v. Cloudflare, Inc.

      【キーワード】著作権 CDN 寄与侵害 海賊版対策 模倣品対策 オンライン 米国 本件:Mon Cheri Bridals, LLC v. Cloudflare, Inc., 19-cv-01356-VC (NDCA, Oct. 6, 2021) 【はじめに】 ウェブサイトへのアクセスの高速化・安定化など重要な利点がある一方で、コンテンツ海賊版サイト・模倣品販売サイトなどにも利用されていることで度々問題性が指摘されるCDN (content delivery networ

      • 《続》海外で起こったNFT関連トラブルから学ぶ、NFTの権利と契約―RAF, Inc. v. Damon Dash事件の経過をちょっと詳しく追ってみる—

        【はじめに】 今回は、前回の記事の中で紹介したRAF, Inc. v. Damon Dash事件(以下「本件」)について、提訴後の経過をより詳しく追ってみたいと思います。 【前回記事のおさらい】 本件は、Jay-Zのアルバム「Reasonable Doubt」に関する著作権その他の権利を保有する会社であるRoc-A-Fella Records, Inc.(以下「RAF社」)が、RAF社の株主の一人であるDamon Dash氏が「Reasonable Doubt」の著作権をN

        • 海外で起こったNFT関連トラブルから学ぶ、NFTの権利と契約

          【キーワード】NFT (Non-Fungible Token) 著作権 所有権 契約 プラットフォーム 【はじめに】 最近はVR/ARやVTuber関連のお仕事に加え、メタバース、NFT (Non-Fungible Token) などバーチャル空間上の経済活動の基盤となる技術・サービスに関するお仕事が増えてきました。経済産業省の「仮想空間の今後の可能性と諸課題に関する調査分析事業」では、光栄にも有識者の一人としてヒアリングを受け、色々と情報提供や意見を申し上げました。  ま

        【XR & Law Snapshot】メタバース上の「土地」を買うってどういうこと?~買い手の法的権利とプラットフォームの責任を考えてみる~

        • 【米国判例メモ/著作権】CDNサービスを提供する事業者につき、著作権の寄与侵害責任を否定した事例 Mon Cheri Bridals, LLC v. Cloudflare, Inc.

        • 《続》海外で起こったNFT関連トラブルから学ぶ、NFTの権利と契約―RAF, Inc. v. Damon Dash事件の経過をちょっと詳しく追ってみる—

        • 海外で起こったNFT関連トラブルから学ぶ、NFTの権利と契約

          アパレルデザイン模倣の最新裁判例(大阪地判令和2年12月3日)

          【キーワード】アパレル デザイン 模倣 不正競争防止法 ファッションロー 本判決:大阪地判令和2年12月3日(令和1年(ワ)第5462号) 【事実の概要】 本件は、本判決別紙原告商品目録記載の婦人用コート(以下「原告商品」という。)を製造販売している原告が、同別紙被告商品目録記載の婦人用コート(以下「被告商品」という。)は原告商品の形態を模倣したものであり、被告によるその販売等の行為は不正競争(不正競争防止法(以下「不競法」という。)2条1項3号)に該当するとして、 被告

          アパレルデザイン模倣の最新裁判例(大阪地判令和2年12月3日)

          キャラクターってどれくらい似てると権利侵害なの?(#3 コスプレ~キャラクターのお面編~)

          【キーワード】#著作権 #キャラクター #イラスト #コスプレ 本判決:東京地判昭和52年11月14日(判時869号38頁・判タ364号289頁) 【はじめに】 もうすぐハロウィーンですね!  ということで、今回はコスプレ関連のケースをピックアップ。やや古い裁判例ですが、「ライダーマン」事件(簡単に言うと「お面がライダーマンにそっくりで著作権侵害じゃないか?」事件)です。 画像出典:本判決別紙物件目録及び写真目録より。  玩具の製造・販売業者が販売等していたお面(上掲

          キャラクターってどれくらい似てると権利侵害なの?(#3 コスプレ~キャラクターのお面編~)

          キャラクターってどれくらい似てると権利侵害なの?(#2 本を擬人化したキャラクターが保護される範囲)

          【キーワード】著作権 キャラクター イラスト 複製 翻案 アイデアと表現の違い 本判決:東京地判平成11年12月21日(平成11年(ワ)第20965号) 参考(控訴審):東京高判平成12年5月30日(平成12年(ネ)第464号) 【はじめに】 キャラクターを描く際に、本などの物であったり、感情などのコンセプトを擬人化することがありますよね(こちらの記事もご参照下さい)。  そのキャラクターの著作権って、どこまで及ぶのでしょうか?  擬人化されたモチーフが共通していれば侵害

          キャラクターってどれくらい似てると権利侵害なの?(#2 本を擬人化したキャラクターが保護される範囲)

          【シリーズ記事まとめ】キャラクターってどれくらい似てると権利侵害なの?裁判例から見るキャラクター・イラスト・アバターの知的財産保護シリーズ

          【記事一覧】# 1 「複製」かどうかの区別 # 2 本を擬人化したキャラクターが保護される範囲 # 3 コスプレ~キャラクターのお面編~ 【筆者の自己紹介】関 真也(せきまさや) 弁護士・ニューヨーク州弁護士 関真也法律事務所 代表。第一東京弁護士会所属。 ※ お問い合わせはリンク先のお問合せフォームからお願い致します。 Twitter : @MsekiCom note:@masayaseki 漫画、アニメ、映画、ゲーム、音楽などのコンテンツやファッションに加え、VR/

          【シリーズ記事まとめ】キャラクターってどれくらい似てると権利侵害なの?裁判例から見るキャラクター・イラスト・アバターの知的財産保護シリーズ

          キャラクターってどれくらい似てると権利侵害なの?(#1 「複製」かどうかの区別)

          【キーワード】著作権 キャラクター イラスト 人物画 複製 本判決:東京地判平成11年7月23日(平成10年(ワ)第29546号) 【事案の概要】 原告はイラストレーターであり、下記「本件著作物」を含む映画宣伝用のチラシを著作した。  被告は、下記「被告イラストレーション」を使用したタレント等の新人オーディションの広告を雑誌に掲載した。  原告は、被告イラストレーションは本件著作物の複製権を侵害していると主張し、被告イラストレーションの使用差止めを求めた。 画像出典:

          キャラクターってどれくらい似てると権利侵害なの?(#1 「複製」かどうかの区別)

          【英国判例メモ/特許】AIマシンは発明者たり得るか?また、AIマシンの所有者は、単にその所有関係ゆえに、AIマシンが創作した発明について特許を受ける権利をAIマシンから承継取得するか?

          【キーワード】英国 特許 人工知能 AI 発明者 所有者 特許を受ける権利の承継 原決定(英国知的財産庁): Patent Decision (BL O/741/19), 4 December, 2019. 本判決(高等法院商事財産裁判所 特許裁判所): CH-2019-000339, 21 September, 2020. 【事案の概要】 英国特許出願GB1816909.4 及び GB1818161.0 は、Stephen Thaler (以下「出願人」という。)の名

          【英国判例メモ/特許】AIマシンは発明者たり得るか?また、AIマシンの所有者は、単にその所有関係ゆえに、AIマシンが創作した発明について特許を受ける権利をAIマシンから承継取得するか?

          【米国判例メモ/著作権】自社ブランドの衣服を着た人の写真をSNSに投稿した場合、写真家のクレジットを付したとしても写真の著作権を侵害するか?

          【キーワード】米国 著作権 写真 SNS ファッション フェアユース de minimis use クレジット  本判決:Mark Iantosca v. Elie Tahari Ltd., 1:19-cv-04527 (SDNY). 【事案の概要】 原告Mark Iantoscaはプロの写真家であり、被告Elie Tahari, Ltd.は高級衣服デザイナーである。  2019年2月7日、原告は被告の衣服を着用したデジタル・コンテンツ・クリエイターの写真(以下「本件写

          【米国判例メモ/著作権】自社ブランドの衣服を着た人の写真をSNSに投稿した場合、写真家のクレジットを付したとしても写真の著作権を侵害するか?

          【米国判例メモ/商標権〔Booking.com事件合衆国最高裁判決〕】「一般名称.com」という構成から成る商標の登録可能性(識別力の有無)

          【キーワード】米国  商標法  商標登録  一般名称  ドメイン名  識別力 IT 本判決:United States Patent and Trademark Office v. Booking.com B. V., 140 S.Ct. 2298 (2020). 【事案の概要】 Booking.com社は、"Booking.com" というブランドで、ホテル予約その他のサービスを提供するデジタル旅行会社であり、"Booking.com" は同社のウェブサイトのドメイン名

          【米国判例メモ/商標権〔Booking.com事件合衆国最高裁判決〕】「一般名称.com」という構成から成る商標の登録可能性(識別力の有無)

          拙稿「AR領域における商標の使用 ― 拡張現実技術を用いた新たな使用態様を巡る現行法上の課題 ― 」(日本知財学会誌第14巻第3号28頁(2018年))のご紹介

          【キーワード】AR 拡張現実 商標法 不正競争防止法 リアル×バーチャル 拙稿全文のPDFはこちら(日本知財学会HP)。  過去に公表させていただいた上記拙稿が、掲載から2年を経てオンラインでお読みいただけるようになりましたので、謹んでここにご紹介申し上げる次第でございます。 【要旨】近年、AR(Augmented Reality; 拡張現実)と呼ばれる技術の発達と実用化が注目を集めている。AR の登場により、リアルとバーチャルが融合する新たな領域が生まれ、これまで標識

          拙稿「AR領域における商標の使用 ― 拡張現実技術を用いた新たな使用態様を巡る現行法上の課題 ― 」(日本知財学会誌第14巻第3号28頁(2018年))のご紹介

          【米国判例メモ/著作権】VR空間その他コンテンツ内における建築物等の再現と著作権

          【キーワード】米国 著作権 建築著作物 絵画、図形及び彫刻の著作物 パブリックアート 権利制限規定 コンテンツ内利用 VR空間 本判決:Leicester v. Warner Brothers, 232 F.3d 1212 (9th Cir. 2000). 【検討テーマ】① 建築著作物と彫刻の著作物はどのように区別されるか。 ② ある構造物が映画の中に写った場合、建築著作物に関する権利制限規定である米国著作権法第120条(a)の適用を受け、侵害不成立となるか。 ③ 日本法

          【米国判例メモ/著作権】VR空間その他コンテンツ内における建築物等の再現と著作権

          【米国判例メモ/著作権】キャラクターの著作物性(バージョンごとに外観、名称等が変更されたキャラクターが著作権法で保護される基準とあてはめ事例)

          【キーワード】米国 著作権 キャラクター グラフィックデザイン イラスト アバター VR/AR VTuber 本判決:Daniels v. Walt Disney Company, 952 F.3d 1149 (9th Cir. 2020) 【事案の概要】 本件は、感情を擬人化し、色分けされたキャラクター ("The Moodsters") が、著作物として保護されるか否かが争われた事案である。  The Moodstersは、感情を擬人化し、色分けされた5体のキャラクタ

          【米国判例メモ/著作権】キャラクターの著作物性(バージョンごとに外観、名称等が変更されたキャラクターが著作権法で保護される基準とあてはめ事例)

          【米国判例メモ/著作権】バナナコスチュームの立体的デザインが著作権による保護を受けるか否か Silvertop Associates v. Kangroo Manufacturing (3d. Cir. 2019)

          【キーワード】 米国知財判例 / 著作権 / コスチュームデザイン / コスプレ / 分離可能性 / 創作性 / Merger Doctrine / Scenes a Faire Doctrine / Star Athletica事件合衆国最高裁判決 / ファッションロー 本決定:Silvertop Associates Inc. v. Kangaroo Manufacturing Inc., 931 F.3d 215 (3d. Cir. 2019) 原決定:Silvert

          【米国判例メモ/著作権】バナナコスチュームの立体的デザインが著作権による保護を受けるか否か Silvertop Associates v. Kangroo Manufacturing (3d. Cir. 2019)