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2024年2月14日(水)「醗酵食品・いしるといしり」

今日の東京は晴れ、夕方から曇り。
朝方の最低気温は2℃、日中の最高気温は18℃近く迄上昇。
流石に20℃近くともなると暖かく、もう春はソコ迄来てるようにも思えますね。
今日からは二十四節気立春の末項、七十二候の「魚上氷(うおこおりをいずる)」(氷の間から魚が飛び跳ねる時季)。確かに、この気温になれば、水中のサカナ達も活性が上がり氷の間から飛び跳ねるようなコトもあるかも知れませんね。今日はバレンタインデーでもあるようですが、まぁカンケーないな(笑)。さて、

昨日は「未利用魚・ハダカイワシ」について書いて行きましたが、本日は今回の能登半島地震の影響でその存続が危ぶまれる(?)「醗酵食品・いしるといしり」について書いて行きたいと思います(冒頭画像はコチラから拝借しました)。

いしるといしり。
石川県、特に能登半島で作られる日本を代表する魚醤の一つであります。日本三大が大好きな国民は、以前ご紹介の秋田の「しょっつる」、香川の「いかなご醤油」とコレを合わせて日本三大魚醤と呼んでいるのだそうです。

少々ヤヤコシイのですが、能登半島の日本海に直面している外側の外浦地区(輪島市輪島港珠洲市蛸島港志賀町富来福浦港等)では主としてイワシを原料とした魚醤が造られていて、コレを「いしる」と呼んでおり、富山湾側に面している内浦地区(能登町小木港宇出津港等)でスルメイカのワタ(内臓)を原料とした魚醤が造られていて、コレを「いしり」と呼んでいるのだそうです。スルメイカのワタを使った魚醤と言うのは、全国でも能登町だけでしか作られていない、謂わばレアキャラ的魚醤なんですね。

元々、能登地区で造られているいしる・いしりについては、作り手の高齢化や後継者確保が課題となっていて、ソレらによる廃業による造っている会社自体の減少、ソレに伴う生産量の減少等も問題となっていました(現在では大手のヤマサ商事カネイシで全体の8~9割を占めるのだとか)。
そんな問題に対処する為、能登の醗酵食文化の継承や認知度向上、担い手不足の打開策への期待もあり、関係者のご尽力によって、2023年3月には「能登のいしる・いしり製造技術」が国指定無形民俗文化財に石川県で初めて登録されたのだそうです。
ソレから1年も経たないウチに今年1月1日に発生した能登半島地震での被災。石川県ではご承知の通りその被害やるや甚大で、特に水産・漁業界への打撃は大変なモノ。石川県内の69漁港のウチ、60港が損壊や海底隆起の被害を受けたとのこと。また漁船の転覆や沈没、座礁等の被害も230隻以上の模様。更には荷捌き等を行う水産業協同利用施設や漁業用施設では50ヶ所以上の損壊が確認されたとの由。また、養殖されていた「能登かき」の養殖棚の損傷定置網に掛かっていたブリの大量死等の被害報告もあります。コレじゃあ、通常の漁業を行うコトが出来る情況にはありませんね。
ソレだけに留まらず、いしるやいしりを造っている加工工場も甚大な被害を受けていて、上述の大手のヤマサ商事は貯蔵タンクの4割が損壊してしまった為に、その復旧・復興の為1年間の休業を決めたし、カネイシも貯蔵庫に至る道路の崩落により行き来が困難な状況で再開が難しい状況にある模様。
ただ、斯かる状況にも拘らず、今シーズンの仕込みは諦めざるを得ないものの、来シーズン以降の営業再開を目指して既に動き始めておられるようです。
一消費者としては、能登の伝統的な醗酵食文化がコレでダメになってしまうのは惜しくて仕方が無いので、多少なりとも商品を購入する等により、食べて応援・支援する方で少しでもお役に立てるコトが出来れば、と考えています(ネットでヤマサ商事さんのイカ魚醤の「いしる」買いました)。

東日本大震災での経験等を踏まえ、被災前の状態への復旧だけではダメで、今後の後継者問題・少子高齢化問題や伝統的食文化の継承等についても十分に考慮した上で、先を見据えた対応、特に公的支援や官民一体となった取り組みが望まれるのでありましょう。

明日は「有害鳥獣(ではないですが)・キジ」についてお届けする予定です。


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