辻雅之

わりかし大手の予備校などで政治を教えている人です。研究者ではないです。むかしむかし「オ…

辻雅之

わりかし大手の予備校などで政治を教えている人です。研究者ではないです。むかしむかし「オールアバウト」という名前のサイトなどで政治解説したりしていましたが、いろいろあって今に至っております。もう絶版ですが著書としては『ポケット図解 日本の政治がよ〜くわかる本』(秀和システム)

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  • はじめてまなぶおとなのための ザックリ学ぶ 〇〇学

    ザックリザックリ、細かいことは避けながら、現代人に必要な倫理学・法学・政治学・経済学の話を、ゆるゆるとお話していきます。

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    政治に関する時事的な用語、最新のものから、基本的なものまで、かんたんに説明しています。

  • 政治学とは何か、政治は何のためにあるのかwithコロナ

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2024共通テスト公民解説その1 倫政・解答番号27、または政経・解答番号23

みんな大好き比較生産費説問題(わー、石投げるのやめて)。表左側の技術革新以前のデータから、各国の自動車の相対価格を比較してみよう。 その前に、比較生産費説における相対価格の出し方、いいですか? ある財の相対価格=[ある財の1単位生産に必要な労働量÷もう一方の財の1単位生産に必要な労働量] A国はオレンジ1単位生産につき5人、自動車1単位につき20人必要なのだから、A国の自動車の相対価格は20÷5=4。B国の自動車の相対価格も同様に計算して10÷4=2.5。相対価格が低いB

    • 2024共通テスト公民解説その1 倫政・解答番号28、または政経・解答番号24

      これは、冷凍野菜の輸入解禁によって、生鮮野菜の需要曲線がどう変化するか、という問題で、その変化がわかるグラフを選ぶ形式になっていた(難しかったよね)。 問題には「生鮮野菜の供給は国内のみから、冷凍野菜の供給は国外のみから」とあるので、「解禁前」の、この仮想国には、冷凍野菜しかなく、生鮮野菜はなかった、ということがわかる。 「解禁後」、冷凍野菜が国外から輸入されたわけだから、その分、生鮮野菜の需要は低下したはずだ。生鮮野菜を買う量を減らして、冷凍野菜を買う人が増えているはず

      • 自分の倫理観を押しつけずに倫理的に生きるとは?(義務説倫理学を考える、その2)

        「プラトニックパパ活(?)」はなぜ悪く見られる 前回に引き続き、カラダの関係を求めないパパ活(ここでは「プラトニックパパ活」などと勝手に命名しているのですが)と、義務説にもとづく倫理について、考えていきます。 「プラ活」(長いので略しました)だったら、倫理に反する度合いは少ない、何ならゼロのような気もします。「パパ」役のおじさんが独身なら、なおさらそうでしょう(わが国の男性の、いわゆる「生涯未婚率」は20%を超えていますから、こうした人も結構いるはずです)。 それでもこ

        • GDPと物価との関係を知ることが、GDP使いこなしの第一歩(GDPとは何か、その8)

          【「GDPとは何か」】前回までの記事 ・「お金を使うと景気は良くなる」は本当か ・国の借金は景気を良くすることにつながるのか ・「借金システム」がちゃんとしてないと、経済は回らない ・投資なら国の力でどんどん伸ばせるのか? ・GDPで景気の良し悪しがわかるのは、なぜ? ・GDPだけで経済のすべてが分かるとは思うなよ? ・そういえば、いつからGDPって言わなくなった? みかけのGDPと、ほんとうに近いGDP たとえば給料が10%増えたとします。うれしいことですよね。 でも

        2024共通テスト公民解説その1 倫政・解答番号27、または政経・解答番号23

        • 2024共通テスト公民解説その1 倫政・解答番号28、または政経・解答番号24

        • 自分の倫理観を押しつけずに倫理的に生きるとは?(義務説倫理学を考える、その2)

        • GDPと物価との関係を知ることが、GDP使いこなしの第一歩(GDPとは何か、その8)

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          4本

        記事

          じつは、日本にも「内閣総理大臣の選挙」がある?(日本の政治制度、その2)

          前回の記事「リーダーを直接選ぶか、そうでないか、どちらが優れている?」 内閣総理大臣を決めるのは国会 日本は、前回もお話した議院内閣制の国です。したがって、内閣総理大臣(首相)を決める国民の選挙はありません。 日本では、国会によって内閣総理大臣が指名されることになっています。衆議院と参議院が、それぞれ首相指名選挙を行い、国会として、ひとりの人を首相として指名します。 実際の手続きとして、天皇が国会によって内閣総理大臣に指名された人を任命するというものがあるのですが、こ

          じつは、日本にも「内閣総理大臣の選挙」がある?(日本の政治制度、その2)

          パパ活はコソコソ、接待は仕事、おかしくない?(義務説倫理学を考える、その1)

          ◎「倫理的思考とは」こちらも読んでくれるとうれしいです 1 動機が不純じゃダメですか? 結果説、義務説 2 「知らないことには何もできない」でいい? 共感説 3 私のしたいことはエゴ?それとも正当? 権利説 4 「素晴らしい人の行動」こそが倫理的? 徳倫理学 「体の関係のないパパ活」も倫理的ではないのか? 最近、よく聞く言葉のなかに「パパ活」というものがあります。 男性(たいていはお金のある中高年)が、女性の「パパ」になって、ちょっとしたデートのお礼に、食事をごちそうし

          パパ活はコソコソ、接待は仕事、おかしくない?(義務説倫理学を考える、その1)

          そういえば、いつからGNPって言わなくなった?(GDPとは何か、その7)

          【「GDPとは何か」】前回までの記事 ・「お金を使うと景気は良くなる」は本当か ・国の借金は景気を良くすることにつながるのか ・「借金システム」がちゃんとしてないと、経済は回らない ・投資なら国の力でどんどん伸ばせるのか? ・GDPで景気の良し悪しがわかるのは、なぜ? ・GDPだけで経済のすべてが分かるとは思うなよ? おおむね40代以上の人には衝撃のお知らせ ここまでGDPのお話を、延々としてきたわけですが、 「経済指標といえば、GDPじゃなくてGNPでしょ?」という人

          そういえば、いつからGNPって言わなくなった?(GDPとは何か、その7)

          リーダーを直接選ぶか、そうでないか、どちらが優れている?(日本の政治制度、その1)

          議院内閣制と大統領制の違いとは 民主主義国家の政治制度を大きく分けると、「議院内閣制」と「大統領制」に分けることができます。 議院内閣制の場合、国民が選挙するのは議会の議員だけです。首相(内閣総理大臣)らを直接国民が選挙することはなく、議会が何らかの形で選出することがほとんどです。国民が選んだ議員たちに、国のリーダーを決めてもらう形になるため、安定感のある政治を望むことができます。ただ、議会や政党とのしがらみも強くなります。 大統領制の場合、国民は議会だけでなく大統領も

          リーダーを直接選ぶか、そうでないか、どちらが優れている?(日本の政治制度、その1)

          GDPだけで経済のすべてが分かるとは思うなよ?(GDPとは何か、その6)

          【「GDPとは何か」】前回までの記事 ・「お金を使うと景気は良くなる」は本当か ・国の借金は景気を良くすることにつながるのか ・「借金システム」がちゃんとしてないと、経済は回らない ・投資なら国の力でどんどん伸ばせるのか? ・GDPで景気の良し悪しがわかるのは、なぜ? GDPとは「労働によって生まれた経済価値」 GDPは景気を大まか、かつ、ある程度正確に捉えるには、便利で信用度の高い指標です。そのことは、前回もお話しました。 そうはいっても、GDPがすべての経済活動を反

          GDPだけで経済のすべてが分かるとは思うなよ?(GDPとは何か、その6)

          GDPで景気の良し悪しがわかるのは、なぜ?(GDPとは何か、その5)

          【「GDPとは何か」】前回までの記事 ・「お金を使うと景気は良くなる」は本当か ・国の借金は景気を良くすることにつながるのか ・「借金システム」がちゃんとしてないと、経済は回らない ・投資なら国の力でどんどん伸ばせるのか? 国内で生まれた「稼ぎ」の合計がGDP 前回までは、GDPを「国民所得とその使いみち」という観点からお話していました。 ただ、GDPのもともとの意味は「粗めに計算した国内の生産の合計(Gross Domestic Product、国内総生産)」です。

          GDPで景気の良し悪しがわかるのは、なぜ?(GDPとは何か、その5)

          「素晴らしい人の行動」こそが倫理的? 倫理的思考とは(4)徳倫理学

          「ほんとうに分かりやすい」倫理学とは? 第1回から第3回まで、倫理的思考について、結果説・義務説・共感説・権利説にもとづいて説明をしていきました。 しかし、これらを読んで、「めんどくせえなあ!」と思った人もいるのでは? 倫理的思考というのは、立派な人の考え方だ。そして倫理的行動というのは、そんな立派な人の行うことだ。だから、それを模範にすることが、倫理や道徳ということでいいのでは? そんな考え方を持つ人も、多いことでしょう。 それも、倫理学の考え方の1つです。そうした

          「素晴らしい人の行動」こそが倫理的? 倫理的思考とは(4)徳倫理学

          投資なら国の力でどんどん伸ばせるのか?(GDPとは何か、その4)

          政府支出を使って投資増加をうながす いま一度、単純なGDPの計算式を書きます。 GDP=消費+投資+政府支出+輸出−輸入 もし消費や投資が増えなければ、なんなら減っているような状況なら、その分を政府支出の増加によって穴埋めし、GDPを維持する必要があることが、この式から分かります。 政府支出とは、たとえば、 消費を増やすために政府が補助金を出したり、あるいは、道路建設を企業に発注して代金を渡したりするようなこと、などです。 [道路は社会資本(インフラ)であり、国民

          投資なら国の力でどんどん伸ばせるのか?(GDPとは何か、その4)

          私のしたいことはエゴ?それとも正当?倫理的思考とは(3)権利説

          正当な理由があるのだから おばあさんに席を譲るというのは、割と分かりやすいようで、いざとなると、恥ずかしいからという理由の他にも、できないことがあります。私は目まい持ちなので、ほんのちょっとではあっても苦しいとき、おばあさんがいても簡単に判断できないようなときがあります。 そんなときでも、周りの人たちがみんな「そんなときでも若者よ、おばあさんの苦痛に比べたら大したことない、席を譲りなさい」という場合、「私は軽い目まいがあるから……」という主張は、「言い訳」「エゴ」と見なさ

          私のしたいことはエゴ?それとも正当?倫理的思考とは(3)権利説

          参議院選挙のしくみ(2022年版)

          参議院選挙は「2票制」 参議院選挙は、有権者1人が2票を、それぞれ別の選挙区に投票します。1票は都道府県選挙区※、もう1票は比例代表選挙区です。 ※ただし、鳥取県と島根県、徳島県と高知県は、有権者人口の格差是正のため、2県で1選挙区となっています。これは「合区」といわれています。 衆議院総選挙のような「比例復活」「復活当選」はありません。都道府県選挙区に立候補した人の、比例代表選挙区への同時立候補は認められていないからです。 「この人負けるかもしれないけど、接戦だから

          参議院選挙のしくみ(2022年版)

          「借金システム」がちゃんとしてないと、経済は回らない(GDPとは何か、その3)

          投資をしたくても…… 前回、あるいは前々回でお話したのは、消費拡大によってGDPは増加するけれども、それほど大きな期待ができるものでもない、ということでした。投資の拡大がまずは必要だよ、ということをお話しました。いくら消費だけを拡大しても、お金を受け取った企業が、その資金を投資に回すことができなければ、GDPの増加は、それほど期待できません。 ここで、もう一度、「GDPの式」を思い出しましょう。 GDP=消費+投資+政府支出+輸出−輸入 ということで、GDPを構成する

          「借金システム」がちゃんとしてないと、経済は回らない(GDPとは何か、その3)

          「知らないことには何もできない」でいい?倫理的思考とは(2)共感説

          共感説にもとづく倫理的思考の大きな力 前回は、倫理的思考の枠組みとして、結果説と義務説のお話をしました。 どんな不純な動機であっても、結果的におばあさんに席を譲れれば、それでいいよね、というのが結果説。 一方、おばあさんには必ず席を譲るという義務を果たさなければ倫理的とは言えない、というのが義務説。 その大まかな比較、一長一短は前回お話したので、まだ読んでない方は読んでいただければと思います(また、おいおい掘り下げます)。 さて、 他にも倫理的思考の枠組みはありま

          「知らないことには何もできない」でいい?倫理的思考とは(2)共感説