見出し画像

PMSと持続可能な働き方⑤

PMSを職場で告白してから、早3週間ほどが経った。

周囲から感じる若干の腫れ物感。

いや、それは私が自分自身に対して取っていた距離感が、他者に反射して返ってきただけだったのかもしれない。

あれからずっと、仕事の量はこれまでの60%程度に抑えていた。
職場にいる時は、前後左右を何回も確認してから、おそるおそるハンドルを握ってアクセルを踏んでいる感覚だった。

「メインストリート」から外れた私は、これからどんな風に振る舞うべきか、途方にくれていた。


齢、アラフォー。

「今度こそは組織で成果を!」と意気込んだのも束の間、体力やホルモンバランスやらメンタルの状態やら、仕事以前のハードルにぶち当たったのだった。

「やはり、私にお勤めは無理だったのだろうか…?」という、半ば負け戦の後のような心境になったりしたけれど、そんな時ある同僚に声をかけられた。

「大丈夫、いつか終わるから」

その日も斜め下気味の視線で、何とか仕事をこなしていた私は、思わずその同僚を見つめてしまった。

その人は私よりいくつか歳上で、3人の子供を育てながら、突然病に襲われたパートナーのリハビリを支えている人だった。

自身もこれまで、いくつかの体調不良を乗り越えながら、現場を安定的に支える仕事をしてきた人だ。

これまでもその人のパーソナリティーやしなやかさ、芯の強さみたいなものにとても好意を抱いていたのだが、改めてこんな言葉をかけてもらって、私はその時から今でもずっと、絶大に効く薬を名医に処方してもらったような心持ちで過ごしている。


PMSが始まったばかりの私は、それがいつか「終わる」ということを考えてもみなかったのだ。
今の痛み、しんどさ、落ち込みに、全神経を集中させていた。

同じような悩みに葛藤してきたひとの、経験かに裏打ちされた言葉が、こんなにも私の心身に影響を与えてくれるとは。

当事者でなけれぱ分からないことを、何となく過去の経験を応用して、変数込みで想像して、その人に適切なタイミングと言葉で伝えてくれる人がいることの、その心強さといったら並大抵ではない。

これは、マネージャーであるとか社長であるとか、すごく仕事がキレッキレであるとか、ずば抜けて美人であるとか、働かなくても良いぐらいお金もちであるとか、そういうこととは全く次元の違う話で、運にもよると思うけど、「どうにもうまくいってるとは言えない」このタイミングで、そういう存在の人が近くにいることや、そういう人と温かな気持ちの交流が出来ることに心から感謝している。

野心を持とうと思えばどこまでも持てそうだし、それ自体は悪くないし必要なことだとも思っている。

けれど、「何となく低迷中」の時期に、「仕事だけじやないんだなぁ」って負け惜しみでなく感じられる自分に、正直驚いてもいる。

不調な自分でも、できることがある。
仕事も諦めなくて良い。
でも、仕事以外で味わえることもたくさんある。
家族との何気ない生活、娘の成長、手仕事や家事の時間、手作りの食事、友達や同僚との語らい、入浴剤の香りを楽しみながら自分の心身に配慮する時間、やりたくてまだやったことのないことにチャレンジすること…

この同僚の仕事との向き合い方が、私自身の仕事へ向かうときの心の有り様や、それ以上に生活全般に渡る態度、そして時間やエネルギーの配分の仕方にヒントを与えてくれたように感じている。

次回、最終回…かな。

アイディアを形にするため、書籍代やカフェで作戦を練る資金に充てたいです…