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真島昌利「HAPPY SONGS」

ブルーハーツがデビューしたのは1987年。インディーズからシングル「人にやさしく」、立て続けにメジャーデビューは3曲入ビデオ(倉庫のやつね)、シングル「リンダ・リンダ」、ファーストアルバム「ザ・ブルーハーツ」。半年後にはセカンドアルバム「Young And Pretty」。怒涛のラッシュです。

それはそれは衝撃的でした。

アルバムについては素晴らしいし、いくらでも情報は得られると思うので、ここでは省略。3枚目のアルバム「TRAIN TRAIN」が出る頃には、一気に人気が出ちゃった感じで、女の子がキャーキャー言うようなバンドになってた(ぼくにはそんなイメージでした)。そのあたりから、ぼくは一気に興味を失くしていきました(スミマセン)。

そんなタイミングで、ギターの真島昌利マーシーのソロアルバム「夏のぬけがら」が発表されました。1989年です。

ブルーハーツとは打って変わって、アコースティックなサウンドに穏やかな楽曲たち。こちらも衝撃的でしたね〜。なんて優しいアルバムなんだろう。あのマーシーがこんなアルバムを作るなんて。

そして1991年、マーシーのセカンドアルバムです。どれだけ楽しみに待っていたことでしょう。ブルーハーツは新作が出るたびにずっと聴いてたけれど、作品が明らかに変わっていてそこまでピンと来るものはなくなっていました。

「HAPPY SONGS」。ファーストアルバムそのままにアコースティックなサウンド、ややロックテイストがプラスされたか。素晴らしいアルバムです。決して上手くはないヴォーカルかもですが、味があります。

マーシーのソロコンサートにも行きました。今は無き日清パワーステーション。正直なところ、アコースティックでじっくり聴くコンサートを期待していたんだけれど、そこはブルーハーツのイメージがあるせいか、かなりロック色の強いコンサートでした。

アルバムは大好きだけれど、マーシーはリーダータイプじゃないんですね。やっぱりヒロトという圧倒的なヴォーカリストの横がいいんです。真ん中に立つタイプではないと思うんだけどどうでしょうか。

それがどうしたことか、3枚目のソロアルバム「Raw Life」はレコード会社はソニーに変わり、すごいプロモーションをしていた記憶があります。ソロで契約をしたのでしょう。マーシーを新しいロックスターとして売り出そうという、そんな雰囲気です。アルバムの内容も打って変わってロックです。ブルーハーツのマーシーのイメージそのままです。確かテレビの歌番組なんかにも出てたと思います。

正直ぼくは違和感を感じていました。マーシーはそんなタイプじゃないのに。ブルーハーツとは違うアコースティックなスタイルだからソロアルバムは良かったのに。ブルーハーツというバンドがメインで、あくまでもソロ活動だからいいのに。メンバーを従えて、真ん中で「オレは政治家だ〜」なんてロックを歌う姿は似合ってないなぁって思ったのでした。いや、いいアルバムなんですけどね。ちなみに「Raw Live」といタイトルで映像も出ています。マーシーちょっとキャラ作っちゃってるかなぁ。居心地悪そうだなぁ、ってのがぼくの感想です。

で、マーシー(そしてレコード会社も)ちょっと悩んじゃったんじゃないでしょうか。4枚目のソロアルバム「人にはそれぞれ事情がある」は、ん〜、内容はイマイチ。いい曲も入ってるんだけど、方向性がはっきりしてないですよね。

そうしてマーシーのソロ活動は終わってしまいます。最近は「ましまろ」というユニットで2枚アルバムを出してますけど、「夏のぬけがら」あたりの空気は感じるんだけれど、ん〜曲がねぇ、無理して作ってる感を感じてしまうんですけど。しょうがないですよね。20代と50代で、同じ物を作れるわけがない。

振り返れば、「Raw Life」でムリしたことで、マーシーはソロ活動に見切りをつけてしまった。そんな気がします。ぼくにとっては、ものすごい期待と共に聴いた「HAPPY SONGS」の素晴らしさは忘れられません。今だから思うことは、あのスタイルのままアルバムを作り続けてくれたらよかったのに。

いやいや、今からでも遅くないか。50代のマーシーのソロアルバムを聴いてみたい。

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