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これぞブラック。商品取引営業の実態その1

時は就職氷河期の終盤。僕あろうことことか商品取引(先物取引)を主要事業とする企業の営業職となった。

これは大学4年間を遊び呆けていた自分への修行だ、戒めだと言いかせ、何とか入社式に行ったのであった。もうだいぶ時間が経過しているが強烈な日々は記憶から消えることもなく、いまも自分の脳裏に焼きついている。

さて、僕の就職した企業では同期が約100名ほどいるのだが、1年が経つと10名程度まで減ると言われている。90%が1年以内に離脱するという恐ろしい会社だ。いや、業界だ。

入社式を経て、自己紹介など改めて行う訳であるが意外にも高学歴な同期がいるではないか。国立大学卒、K大卒、W大卒、帰国子女など。自分はさておき、なぜこいつらはこんなクソみたいな企業に就職してしまったのか不思議でならない。自分と同じように情弱、就活しなかった部類なのか。

ところで自分の抱負などを一人ずつ発表したりするのだが、純粋無垢な地方出身者などが混じっていたりするので聞いていて気の毒だ。少なくとも僕はこの業界の悪評やえぐい営業などを覚悟して入社したのだが、この手の同期はそういったことすら知らぬまま入社をしている。きっと配属後に衝撃を受けるだろう。自分の身より同期の身を案じてしまう。

ちなみに同期は全員「男」である。

これぞブラック営業会社。そもそも僕は会社に女など求めていない、トラブルの元だし、サークルみたいな雰囲気も嫌いだったのでそこまで気にならなかったが、人生初の男子校、それも部活に命かけてますみたいな雰囲気は少々不安を感じたところである。

配属、そして支店への初出社

金融営業マンの朝は早い。何しろ7時には出勤しなければいけない。となると当然起床は5時台だ。惰眠を貪る生活から180度変わり、急に軍隊にでも入った雰囲気だ。

7時出社はおそらく証券でも銀行でも同じようなところは多いだろう。それにしても、が毎日7時は死ぬほどしんどい。

出社をするとフロアに入るとまず大きい声で「おはようございます」と頭を下げて入らなければいけない。

そこから机を拭き、役職者のテーブルに灰皿をおいていく。当時はなんと喫煙をしながら仕事ができたのだ。尚、支店長が出社すると全員起立し一斉に挨拶をする。まるでヤクザの事務所のようだ。そんな世界に大卒がいくか?という感じである。

7時半になると朝礼が始まる。僕の支店は6チームあり、各チームが4、5名の構成となっており、チームリーダーが順番に予約という昨日のテレアポの結果を全体に報告する。

テレアポの結果はA、B、C、Dの4ランクに別れており、最も確度の高いものがA、アポが取れている状態を示す。Dは興味は薄いが可能性はゼロではなく押し込めるかもしれないステータス。ここで件数の少ないチームは副支店長から「どうするんだ、てめー」という最初の詰めが始まるのである。

報告は各チーム5分程度で、「○チーム昨日の状況を報告します、Aが○件、Bが○件、以上です。本日は○に訪問し取り切ります、以上。」という感じで進むのだが、全チームリーダーは恐ろしく早口で報告する。

ちなみに週始めに関しては全営業が一人ずつ先週の振り返りと今週の展望を報告する、これも恐ろしく全員が早口で行うことになっている。

試用期間中は先輩方々の仕事の様子を眺めるモラトリアム期間があり、定時で上がれるのだが、さすがに現場をみると覚悟をしていたものの落ち込まざる得ない。同期のショックはきっと僕以上だろう。家に帰れる軍隊、それも日本ではなく北朝鮮とかの軍隊に入ったような気分だ、これが支店に配属されたときの僕の率直な感想である。


実際に1日がどのように流れていくかは次の記事で紹介したいと思う

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