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未電化地域の家事から考える、フィリピン田舎の暮らしと人付き合い

未電化地域であるリナワン村、タブガン村には、自然と共生した家事のノウハウや、助け合いの文化がありました。

毎日がキャンプ、かまどは一家に一台

各家庭にカマドがあり、木炭や角材で火をくべます。ミニカマド!?は田舎だけでなく、マニラ都心部の路上生活者なども使っているのを目にします。部外者の僕にとっては、ちょっとしたキャンプ気分が味わえて楽しいひとときですが、これを毎日、年単位つづけると考えると、、、うーん。大変。

着火剤には、ビニールゴミを使用。フィリピンはダイオキシンとか知りません的なスタンスです。

飲水、洗濯、トレイもシャワーも全て井戸水

1枚目:リナワン村、2枚目:タブガン村の井戸、3枚目:井戸に併設されているタブガン村の公共バスルーム

毎朝、容量5ガロン(約18.9L)のタンクに飲水をため、食器洗い、トイレなどに使う水をまた別のバケツに貯めます。

滞在させてもらった村長のお宅と、リナワン小学校の講師宿舎は井戸の真隣にあるため、水くみは楽でしたが遠方のお宅となると、水源まで片道40分以上。

後述しますが、この水くみ作業や食器洗いなどの家事は、おもに子供が担当しています。小さな体で自分の体の半分はある大きな容器を毎日運んでいます。

なお、井戸水の味は臭みもなく、美味しくいただけました。お腹もとくに壊さなかったです。

食材と保存方法

1枚目:この村で取れた玉ねぎとニンニク、2枚目:魚の干物、3枚目:とれたての卵とフィリピンで有名な調味料"Magic Sarap"

室温で長期保存しやすい野菜が中心となります。冷蔵庫がないので、魚、肉類は基本干して保存します。魚の干物はあぶらがのっててウマウマでした。日本酒のみたい。

フィリピンの一般的な食卓は、『豚肉と米』というかってな偏見がありましたが、養豚場もないので(豚は各村に2~3頭)、野菜中心のヘルシーな食生活が楽しめます。

ある日の朝ごはん:シェフの気まぐれトマト・オニオン炒め

材料(2〜3人分):
・ミニトマト8個
・ネイティブ・オニオン 4個
・卵2個
・米 適量(?)
調味料:
・塩 少々
・Magic Sarap 1袋

トマトと玉ねぎをざく切りにし、、、

調味料を適当に入れて、サッと炒める!!

付け合せの目玉焼きには、Magic Sarapを適量いれるのがコツだそうです。

シェフ・デクスターもこのしたり顔である。

いざ、実食っっ!!

塩辛い!!!

想像の2倍塩辛かったです。
調理課程を撮影したのがこの料理しかなかったので、このような感想となりましたが、他の料理は美味しくいただきました。ありがとう、デクスター。

リナワン村ならではの残飯処理方法3選

残飯処理方法:
1. 犬の餌
2. 豚の餌
3. ヤドカリの餌

下水処理が満足にできないこの村では、食べ残しなどは豚や野犬の餌となることがほとんど。豚と野犬がなんでも食べてしまうのは、想像しやすいと思います。

しかし、ヤドカリの餌というのはどういうことかというと、、、
流し台の下に捨てた小さな食べかすを夜のうちにヤドカリが食べてしまうエコシステムがあるんです。

こんな感じで、沿岸部にあるリナワン村には夜になると家のあちこちにヤドカリが出現します。

この桶をどけると直径1センチほどの、屋外へつづく小さな配管があります。

この流し台の下には、土間のようなスペースがあり、そこに下洗いしたときに出た食べかすを捨てると、一夜をかけてヤドカリ達がカスをきれいに食べつくしてくれます。

洗濯、掃除はこどもが担当、他人の家でも手伝います

リナワン村で宿泊先の掃除や食器洗いなど、大変お世話になったアイリーン(10)とアンジェラ(9)

子どもたちはよく働きます。
まだ日が昇る前から生活用水をくみ、家族全員分の洗濯に、食器洗い、そして料理のお手伝い。

フィリピンの中でも特に日差しが強いこの地域では、農作業は午前中に行われることも多く、畑仕事のお手伝いや、お父さんと一緒に漁にでることもしばしば。

江戸時代の日本にもあった『村の子はわが子』という概念

『子供は村の子』という概念がありました。

人手が必要になると、近所で遊んでいる子供に『おーい、ちょっとこの荷物運ぶのてつだって』と、わが子にせっするような態度でお願いします。子どもたちもキャッキャ言いながら、嫌な顔せずお手伝いします。

ご飯を食べさすのも、自分の子供・家族だけではありません。『めしどきに近くにいたから』という理由だけで、『ほら、あんたご飯食べたの?まだなら食べなさい』と、手招きして一緒にご飯を食べることがよくあるそうです。

とくに台風の影響により食料品の少ないこの時期、村全体で助けあいが自然とおこなわれていました。

1枚目:リタさん家の前で遊んでいた子どもたち 2枚目:リタさん(写真左)とママ友

もちろん、日本でも子供の友人が自宅にきたら、ご飯を食べさせることもあるし、親同士の付き合いが深ければちょっとしたお使いを頼むこともあると思います。

しかし、日本のそれ以上に何のためらいも遠慮もない、ニュートラルな人間関係(?)が構築されているような気がします。

厳密にいえば違うと思いますが、江戸時代にあった換子教育の根底にある『どんな子どもでもわが子は可愛いもので、子を思う気持ちに自他の区別は無いはずである。だから、自分の子、他人の子という区別をしてはならない。』という基本姿勢につうずるものがある気がします。

学校に行けない子どもたち

子どもたちのけんしん的な姿に『なんて、フィリピンの子供は素晴らしいんだ』と手放しで喜んでしまいそうになりますが、ここには途上国ならではの問題があります。

サンスター新聞社の発表によれば、2013年度フィリピン全土では約380万人の子どもたちが親の収入不足や、親が教育に興味がないこと、早期出産などを理由に学校に通えていません。

この村でも、畑仕事の手伝いや、幼い兄弟の面倒を見るため学校に通っていない子供もいます。

別記事でまとめますが、『そこは助け合いじゃないんか』と思ったのが正直なところです。

まとめ

つきなみな感想ですが、未電化地域の家事に費やす時間と労力はそうとうなものです。

僕は自然が好きで、田舎暮らしへの憧れがすこしありましたが、、、電気が当たり前にある市街に暮らし、たまに『不便を味合うためにキャンプにでかける』そのくらいが丁度良いのだと、わかりました。

また、一人の時間が好きな僕は、個人的に幸せを感じる人間関係とその距離についても考えさせられたしだいです。

相変わらずまとまりがなく、冗長な文となってしまいましたが、こんな場所だよーということ、少しでも分かって頂けたら幸いです。

読んでいただいてありがとうございます。
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