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日本アドベンチャーツーリズムPhase2の仮説-ATWS2023北海道への私見

Adventure Travel Trade Association (ATTA) 主催の年一回最大の世界イベントAdventure Travel World Summit (ATWS)2023 が札幌中心に9月北海道で開催され、成功裡に終了しました。これは、日本のアドベンチャーツーリズム業界、観光庁、北海道庁が一生懸命に誘致・準備してきた大イベント・商談会でした。本論は、予備知識なしで個人参加した自分がATWS2023で感じたことを踏まえて、日本のアドベンチャーツーリズムの次段階(Phase2)について仮説を提示するものです。

1、アドベンチャーツーリズムとは何か
アドベンチャーツーリズム(AT)についてATTAは広く定義していて「アクティビティ、自然、文化体験の3要素のうち、2つ以上で構成される旅行」で、観光庁の重点施策の一つになっています。アドベンチャーツーリズムが日本で世界で注目されるのは、供給側にとっては地方中心で滞在期間が長めの客単価の高い観光になり、旅行者にとっては自然の中で体を動かして非日常の面白い体験ができます。
業界の課題としては、人材とリスク管理でしょう。特にインバウンドで誘客の場合はバイリンガルで案内が上手くホスピタリティのあるネイチャーガイド、ハイエンド客を誘客しニーズをうまく実現するツアープランナーを獲得して、年間を通して高付加価値の仕事を与えるのは大変です。また、ATは冒険が伴うので、問題客をやんわりと追放し、リスクを徹底的にヘッジする工夫が必要です。

ATについては観光庁が重点分野にしており、多様な補助金を用意しているだけでなく、110ページの「ナレッジ集」、56ページの「本質的解決の事例集」、130ページの「海外調査結果」を最近公開しました。

観光庁ATサイト
https://www.mlit.go.jp/kankocho/shisaku/kankochi/adventure.html
ATナレッジ集 https://www.mlit.go.jp/kankocho/shisaku/kankochi/content/001472238.pdf

AT本質的解決課題解決の事例集
https://www.mlit.go.jp/kankocho/shisaku/kankochi/content/001465250.pdf

AT海外調査結果
https://www.mlit.go.jp/kankocho/shisaku/kankochi/content/001472239.pdf

北海道庁は、日本では先行して、Adventure Travel Guide Standard (ATGS) に沿った北海道ATガイド認定制度を今年発足させた。
https://www.pref.hokkaido.lg.jp/kz/kkd/500-outdoor/atguide.html

2. ATWS2023 の概要

ATWSの開催は9月11日から9月14日の4日間で開催され、初日がアクティビティ、3日間がセミナーです。参加者は約800人で約65カ国であり、参加費用が高い(ATWS参加費用だけで定価約33万円、宿泊費用・交通費用別途)のにわざわざ札幌に来ていることもあり、参加者は旅行関連業者の責任者クラスが多く、インテリでノリも良く雑談するのは楽しかったです。初めて来日した人が多く、ATWSには過去に参加している人も多い印象でした。

ATWSの構成は洗練されており優れたイベントだと思いました。それは、アクティビティと商談会とセミナーのバランスがうまく取れており、内容も充実し、参加者のレベルが高かったからでしょう。初日は、ニセコ・富良野・石狩・然別などで開催される31種類のアドベンチャーツアーから一つを選んで参加する方式で、2日目から4日目はセミナーと個別商談会を並行して進む方式でした。個別商談・面談会は、ネット掲示板には一人一人の仕事・興味・経歴が掲示してあって、それを見ながらネットで商談・面談を個別に設定する方式でした。自分は、バイヤーでもサプライヤーでもなく、別件で忙しくて自分から相手を探して面談・商談を依頼する余裕がありませんでしたが、スペインのサステイナブルツーリズムの重鎮やグリーンランドのDMOのエクゼクティブと面談できて良かったです。また、マスコミとの面談会もセットされていました。また、様々な関係者のミーティングやセミナーが個別に行われていました。

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