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EWE/エタパが10倍面白くなる!令和のレガシーのメタゲーム解説!

今日からいよいよ、レガシーの大型大会が毎週に渡って開催される。明日11/27は名古屋でエターナルウィークエンド(EWE)レガシー部門、続く12/4は東京にてエターナルパーティー、更に大阪ではその翌週12/11にエターナルパーティーの開催が予定されている。

グランプリでもない限り、あまり開かれることが無いレガシーの大型イベントである。更に、諸般の事情でなかなかテーブルトップのイベントが自粛されていた昨今、レガシープレイヤー諸兄は己の身を置く戦場に飢えていたことに違いないだろう。是非この機会に楽しんでいってほしい。

…さて、ここからはどちらかというと、「レガシーというフォーマットをガンガン遊んだことが無い人」向けの話である。この中にはレガシーを全く遊んだことのない方から、最近レガシーにご無沙汰していた元レガシープレイヤーまで含まれる。

実は、諸般の事情でレガシーのイベントが表立って開催されていなかった間、レガシーのメタゲームは激変している。

「モダンホライゾン2」あたりから一気にメタに居座るデッキが大きく入れ替わり、URデルバー一強と言われたレガシー環境だが、実は、ここ最近の新セットの参入により、またメタゲームが大きく変わりつつあり、非常に面白い様相を呈し始めているのである。

こんな面白い環境を「どうせURデルバーが最強なんだろお?」と切って捨てるのはもったいない。というわけで、今回はレガシー大型イベント前の特別編。筆者が知りうる限りのレガシーの現在の姿をまとめてみようと思う。

1.レガシーのメタゲーム概略

さて、現在のレガシーのメタゲームだが、まとめ上げるとこうなるだろう。

・依然としてURデルバーはメタゲームの中心にいる
・URデルバーに強く出られるデッキが増えた

「おいやっぱりデルバー一強じゃねえか!」とツッコミが入りそうだが、これはしょうがない。そもそもURデルバーは、序盤のクロック、アドバンテージ源、そして強力なフィニッシャーを有し、ゲーム序盤から終盤まで付け入るスキがあまりないデッキである。これを切り崩し、メタゲームから除外するためには、よほどのテコ入れが無い限り無理だろう。

しかし、ここで注意してほしいことがある。

URデルバーは「メタゲームの中心」にいるだけであり、「メタゲームを支配している」わけではない。

実は、昨今新セットの参入により、URデルバーに微有利がつくデッキが大幅強化されている。一番わかりやすい例では、《鏡割りの寓話》を獲得した赤単プリズンなんかが良い例だろう。各種イニシアチブクリーチャーを獲得したイニシアチブ・ストンピィもこれに該当する。

そして、これらのデッキがURデルバーを食い、メタゲーム上位に姿を現すようになってから、これまで身を隠していた「URデルバー以外には有利を取れるが、肝心のURデルバーに不利がつく」というデッキが増え始めている。これはDoomsdayなどのコンボが当てはまる。

まとめると、以下のようなメタデッキの循環が形成されているのだ。

▲レガシーのメタゲーム こう書くと良環境に思える

なんかURデルバーの分類おかしくなあい?と言われそうだが、要は「《濁浪の執政》や《表現の反復》が入ったクロックパーミッション」と考えてもらえればOKである。これをプリズンやコントロールが食い、更にプリズンやコントロールをコンボが食い…といった感じである。

ちなみに、レガシーを代表するデッキであるDeath and Taxesだが、これは筆者の印象では「上記のデッキ全てに対して戦えるが、完全に有利がつく相手がいない」というデッキである。いわゆるモダンのBG系のグッドスタッフのような立ち位置と考えてもらえればいいだろう。

2.環境に居座るメタデッキ解説

さて、ものすごく 適当な ざっくりとしたメタゲーム全体の解説を済ませたので、それぞれのデッキがどういう特徴を持つのか、解説していこうと思う。

2-1.URデルバー(それに準ずるデッキ)

■URデルバー

まずは、いまだにメタゲームの中心にいるURデルバーから解説していこう。先にも書いた通り、序盤の圧力となる《ドラゴンの怒りの媒介者》《秘密を掘り下げる者》、アドバンテージ源となる《表現の反復》、フィニッシャーとなる《濁浪の執政》の3点セットはかなり強力であり、粘り強く戦うことができるというのがこのデッキの特徴だ。

また、相手の妨害は《意志の力》や《目くらまし》で対処。並大抵のクリーチャーは《稲妻》《邪悪な熱気》で対処することが可能である。万が一盤面に着地してしまったパーマネントも、《些細な盗み》でバウンス可能という徹底ぶりである。

メインボードに《紅蓮破》が取られているのも大きな特徴だ。これはミラーマッチを見据えると、最終的に《濁浪の執政》が盤面に定着した方が勝ちとなるためである。相手の《濁浪の執政》を無理なく除去可能なこのカードは、URデルバーの必須アイテムと言ってもいいだろう。

数少ない弱点を挙げるならば、クロックの源を墓地に大きく依存しているということだろう。《虚空の力線》《安らかなる眠り》《未認可霊柩車》などでこの辺を責められるかどうかが勝利の鍵となる。しかし、それでも相手のクロックを抑えるにとどまり、完封できるわけではないという事実が、このデッキの強さを物語っている。

最近はサイドボードから《相殺》が取られていることが多い。これは対ミラーマッチ用のサイドボードで、《紅蓮破》に弱いという側面もあるが、一時期流行った《狂乱の呪詛》よりも早期に展開でき、かつ《狂乱の呪詛》よりも強く出ることができるためだろう。

■URドラゴン

先で挙げたURデルバーが増え続けた結果、それに対してより強く出られるようになっていったデッキ、それがこのURドラゴンである。

デッキの基本骨子はURデルバーと変わらないが、デルバーの代名詞である《秘密を掘り下げる者》は完全にオミットされ、代わりのクロックとして《帳簿裂き》が投入されている。

《秘密を掘り下げる者》よりも1マナ重い《帳簿裂き》だが、謀議が誘発するたびにサイズアップしていくことから、後半になると《秘密を掘り下げる者》よりも圧力を放っていることが多い。1回謀議するだけで《稲妻》の圏外に出られるというのも大きい。

また、アドバンテージ源としても《表現の反復》に追加して《予報》も搭載されている。《ドラゴンの怒りの媒介者》の諜報能力と相性が良く、コイツが横にいるとほぼ確定で2ドローできるというメリットが大きい。

先ほど対URデルバー決戦兵器として紹介した《相殺》もメインボードから搭載されており、URデルバーを強く意識していることがここからも計り知れる。覗いたライブラリートップの情報は《予報》で活用できるため、良い隠し味となっている。

■死の影

このデッキは厳密にはURデルバーの亜種ではないのだが、クロックを高速展開して勝つという意味合いでここで紹介させていただきたい。

《湿った墓》《通りの悪霊》で無駄なくライフを払い、《思考囲い》《殺し》で相手の妨害を行い、ライフが13点を割り込んだところで《死の影》を展開。一気に殴って勝つという構造は、モダンの死の影デッキと変わりはない。

レガシーではこれら一連の動きを《目くらまし》《意志の力》でバックアップできるという点が大きく異なってくる。

また、《死の影》以外のクロックだと、《濁浪の執政》や《厚かましい借り手》が搭載されている。この辺のカードもURデルバーを彷彿とさせるところがある。それだけこの2枚は強力なカードであるということであろう。

更に追加のクロックとして1枚搭載されている《グルマグのアンコウ》。《濁浪の執政》に役割を奪われてしまった感は否めないが、それでも《紅蓮破》に強い、ソーサリーやインスタントを必ずしも必要としないといった特徴はオンリーワンである。

しれっと搭載されている《激しい叱責》。本来であれば相手のクリーチャーに対する妨害手段なのだが、これを《死の影》と組み合わせると、ノーリスク13点クロックの出来上がりである。攻撃と防御を見据えた上で採用されているナイスエンチャントだろう。

尚このデッキ、ライフを切り詰め《死の影》の打点を上げるので、ライフを回復されると打点が下がり、最悪《死の影》が蒸発する。何が言いたいかというと、このデッキ、レガシーを代表する《剣を鍬に》という除去が天敵なのである。

これに対処するため、サイドボードからプロテクション白を持つ《戦慄の朗詠者、トーラック》が採用されている。キッカーで相手の手札を捨てさせることも出来、かつ《思考囲い》などを唱えることで打点も上げられるので、白いデッキにはこれがうまく展開できるかがカギとなりそうだ。

2-2.「URデルバー」に強いデッキ

■赤単プリズン

《虚空の杯》《三なる宝珠》《血染めの月》を早期に叩きつけ、相手の動きを止め、相手が動けない間に3~4マナのフィニッシャーを投げつけてさっさと殴って勝つ。これが赤単プリズンの基本構造だ。

ここ数年のセットで、失ったアドバンテージを回復できる《エインジーの荒廃者》《再誕の刃、ラエリア》や、相手の盤面を制圧しつつ、盤面に定着すれば二段攻撃で一気に勝負を決められる《激情》等、強力なカードを獲得していた。

地味に強化され続けていた赤単プリズンが、メタゲームの一角を担うに至ったのは、《鏡割りの寓話》というカードを獲得してからである。第一章のゴブリントークンは、赤単プリズンにありがちなマナソースの供給不安定さを解消し、第二章のルーティング能力は余った《虚空の杯》などを有効牌へ変換してくれる。

そして第三章で裏返り、《キキジキの鏡像》に変身すると、あとは他のクリーチャーをコピーし、一気に圧力をかけていくことが可能となる。まさに1枚で3度おいしい、赤単プリズンの根幹を成すにふさわしいカードである。

そして忘れてはいけないのが、イニシアチブを持つ《混沌の洞窟の冒険者》。イニシアチブによる《地下街》探索でアドバンテージを得られるほか、自身も《再誕の刃、ラエリア》同様のアドバンテージ源となってくれる。

一度イニシアチブを獲得してしまえば、あとは自分のアップキープで自動的に《地下街》を探索してくれるので、クロックに乏しいコントロール相手に有利となる。元々《虚空の杯》や《血染めの月》が効きづらいコントロールを苦手としていたので、これは大きいだろう。

■イニシアチブ・ストンピィ

赤単プリズンと色は異なるが、コチラも「さっさと縛って殴って勝つ」という赤単プリズン同様の哲学を有したデッキである。違うのは縛り方と殴り方である。

まず、縛り方としては、Death and Taxesでよく見る《スレイベンの守護者、サリア》などのほかに、疑似ハンデス能力を持った《精鋭呪文縛り》が搭載されている。

新セット「団結のドミナリア」で登場した《選定された平和の番人》は、この疑似ハンデスを持ったクリーチャーだが、相手の手札を覗いたうえで、より広い範囲で妨害ができるようになっている。3/3警戒というマッシブなガタイも評価が高く、このデッキの妨害担当を担っている。

そして殴り方だが、デッキ名にもなっているイニシアチブを持つ《白羽山の冒険者》と《練達の地下探検家》をフル投入。相手を縛るクリーチャーと共に、《地下街》探索と本人のクロックで勝負を決めに行く。

特に《練達の地下探検家》は強力な能力を持っており、攻撃した戦士、クレリック、ウィザード、ならず者のうち1体に対して、クリーチャーに対するプロテクションと、探検を与える。探検により打点向上+ドローの質向上につながり、戦線の維持につなげることができる。

上で挙げたクリーチャーのほかに、《石鍛冶の神秘家》も搭載。除去されにくい大型クロックである《カルドラの完成体》や、クリーチャーの強化、除去、そしてプレイヤーの延命が可能となる《梅澤の十手》で勝負を決めに行く。

縛りつつ殴って勝つ。こう書くと、Death and Taxesを彷彿とさせるが、実際のところ、Death and Taxesよりもクロックはかなり早い。ネクストレベルデスタクと呼んでも過言ではないだろう。

採用されているクリーチャーがごく最近のカードなので、現状あまり見かけないデッキかもしれないが、着実に数は増えている。要注目デッキだろう。

■多色コントロール

一口に多色コントロールと言っても、《緑の太陽の頂点》を採用してクリーチャーを主軸にしたデッキであったり、《空を放浪するもの、ヨーリオン》を搭載し、より多彩なカードを採用したりといった具合に、実はその構築は多岐にわたる。

が、形は変われど、それぞれの共通項はいくつか挙げられる。

まず、除去としては軽量かつ万能な《剣を鍬に》《虹色の終焉》が採用されている。特に《虹色の終焉》はクリーチャーだけでなく、パーマネントも対処できるので、軽量パーマネントが跋扈するレガシーにおいては無類の強さを発揮する。

加えて、メインボードに必ずと言っていいほど《忍耐》が複数枚採用されている。これは墓地利用デッキを見ているというより、仮想敵であるURデルバーに対して強く出られるといった側面が大きい。相手の墓地を吹き飛ばして昂揚を妨害し、《稲妻》で処理されない到達3/4は、デルバーに対して脅威の一言である。

そして、アドバンテージ源として《表現の反復》の他、《自然の怒りのタイタン、ウーロ》が搭載されている。展開することでライフ回復、ドロー、追加の土地供給が出来、かつ墓地から脱出コストで唱えることでお手軽フィニッシャーとしても使用できるため、必ずと言っていいほどコントロールに採用されていることが多い。

そしてもう一つ、ここまでは今までのレガシーでも見かけられた特徴だが、最近になって大きく変わったことがある。

フィニッシャーとして採用されているカードだが、必ずと言っていいほど最近のコントロールに採用されているカードがある。それがこの《時を超えた英雄、ミンスクとブー》である。

場に出たときと各ターンのアップキープに1/1の《ブー》を生成するのだが、自身の能力でこれを4/4→7/7→10/10…ととんでもない速度でパンプアップできる。冗談抜きで、これが2ターン定着したが最後、ハムスターが相手を惨殺していたということはよくある光景である。

依然はこの枠は《精神を刻む者、ジェイス》が使われていたのだが、単純にフィニッシャーとしての才能は《時を超えた英雄、ミンスクとブー》に軍配が上がる事や、《紅蓮破》がメインボードから飛び交う環境では定着させづらいということもあって、今は《時を超えた英雄、ミンスクとブー》が使われることが多いようだ。アドバンテージ源なら《自然の怒りのタイタン、ウーロ》で間に合うという事実もその傾向に拍車をかけている。

■ナヤデプス

《暗黒の深部》。氷カウンターが10個のった状態で展開され、これをすべて取り除くと、自身の生贄と引き換えに20/20飛行破壊不能の《マリット・レイジ》トークンを展開できる土地である。これをうまく活用したデッキを総称しデプスデッキと呼ぶ。

依然はカウンターをすべて取り除くことが可能な《吸血鬼の呪詛術士》と組み合わせて早期に展開して殴る、いわゆるターボデプスと呼ばれるデッキが主流だった。

だが、《不毛の大地》を標準搭載するURデルバーが跋扈するに至り、デプスデッキの構造も大きく変わってきている。現在主流の形が、このナヤデプスと呼ばれる形だ。

黒を採用せずにどうやって《暗黒の深部》を使うか?この問いに対する答えとなるのが《演劇の舞台》である。これで《暗黒の深部》をコピーすることであら不思議、細かい説明は省くが《マリット・レイジ》が盤面へ降臨する。

中身を細かく見ていくと、構造自体はコンボデッキというよりもミッドレンジに近い構成になっている。白を採用することで《剣を鍬に》や《虹色の終焉》を利用でき、これらで盤面をコントロールしていく。

緑の役割は、主に土地関連である。展開した土地を別の土地に変換できる《エルフの開墾者》《輪作》などが挙げられる。墓地の土地を再展開できる《ラムナプの採掘者》もこれに当たるだろう。

ただ、《忍耐》《森の知恵》といった強力なカードも緑に含まれるため、一概に「緑の役割=土地」と言えないのが面白い所だ。

そして、緑と白を同時採用する最大の理由が、《聖遺の騎士》である。《エルフの開墾者》同様の土地を変換する能力を持ちながら、墓地に土地が増えるほどサイズアップしていくクリーチャーなので、コイツで殴って勝つというプランBも狙うことができる。

…あれ?ナヤってことは赤も含まれるよね?と思った画面の前のアナタ。その感想は正しい。実はナヤデプス、一昔前まではGWデプス(セレズニアデプス)と呼ばれ、赤の要素はなかったのである。

これが赤を足した最大の理由が、先に紹介した強力なプレインズウォーカー《時を超えた英雄、ミンスクとブー》である。また、サイドボードからは《紅蓮破》も採用されているため、よりURデルバーに強くふるまえるのが特徴である。

2-3.コンボデッキ

■Doomsday

自身のライブラリーを5枚まで減らす《最後の審判》。これを使ってライブラリーを積み込み勝利するコンボデッキ、それがこのDoomsdayである。

積み込んだ後の勝利手段としてよく用いられるのが《タッサの神託者》。着地するだけで能力を誘発し、仮に着地時に除去されたとしても、ライブラリーの枚数が0枚ならば「ライブラリー枚数(=0)が青への信心(=0)以下である」という判定になり、着地したが最後、無条件に勝利できる。

だったら打ち消せばいいじゃないかと思われるかもしれないが、そこもしっかりと《魂の洞窟》で対策してくる。指定「マーフォーク」から飛んでくる打ち消し不能の《タッサの神託者》は、もはや「俺はゲームに勝つ」と書いているに等しいだろう。

また、《思考囲い》などのハンデスに《目くらまし》《意志の力》というピッチカウンターまで搭載されていることが普通であり、こう書くと難攻不落のデッキに感じる方が多いだろう。

しかし、意外と弱点も多く、ざっと挙げると

・盤面を除去できず、《最後の審判》を撃つとライフが半減するためゴリゴリ攻めてくるデッキに対して弱い。ピッチカウンターも有するURデルバー/URドラゴンは天敵。
・《最後の審判》でライブラリーを探す際に《敵対工作員》を重ねられるとライブラリーが空になり詰む。
・《タッサの神託者》の能力にスタックして《もみ消し》されたり、《激しい叱責》で能力を喪失させられたり、《忍耐》でライブラリーを修復されると勝てない場合がある。

これだけ弱点が存在する。仮にDoomsdayに当たった場合は、このことを考えながらプレイすると何とかなるかもしれない。

逆にDoomsdayをプレイするプレイヤーは、この点に注意しながらプレイしないと、《最後の審判》を撃ったのに負けるということも発生しうるので注意が必要だ。というかDoomsdayプレイヤーはうまい人が多いのでこの辺もしっかりと加味してプレイする人がほとんどだとは思うが…。

サイドボードには「ドミナリアの団結」から《黙示録、シェオルドレッド》が採用されている。天敵であるURデルバーやミラーマッチに対し、強く出られるクリーチャーだが、メインボードから標準装備されている《暗黒の儀式》と組み合わせることで、なんと1~2ターンで展開されることがある。

■リアニメイト

1ターン目《暗黒の儀式》→《納墓》でライブラリーからクリーチャーを墓地へ落とす→《再活性》で落としたクリーチャーを釣り上げてムチャクチャして勝利。この圧倒的な高速展開を可能とするデッキがリアニメイトだ。

墓地から釣り上げる以上、まずは墓地にクリーチャーを埋める所からスタートしなくてはならない。先に挙げた《納墓》に加え、手札の質を高められる《信仰無き物あさり》が、クリーチャーを墓地へ落とす手段としてよく用いられる。

そして、墓地へクリーチャーを落としたら行動開始。《再活性》《動く死体》《死体発掘》といった呪文で墓地へ落としたクリーチャーを掘り起こし、盤面へ叩きつけてやる。

盤面に展開するクリーチャーとしてよく用いられるのが《グリセルブランド》《残虐の執政官》《エメリアの盾、イオナ》などである。どれも共通しているのが、出たが最後、勝負を決定的なものにしてくれるということだろう。

一見するとものすごく強そうなのだが、上記のリアニメイト呪文を打ち消されたり、墓地のカードを追放されたりすると一気に劣勢になる。そのため、まずは《思考囲い》《暴露》《悲嘆》などのハンデスで前方確認を行い、大丈夫そうなら一気に仕掛けるといったことが基本的な戦略となりそうだ。

サイドボードは各種墓地対策の対策となるカードや、墓地対策をされてもクリーチャーを展開できる《実物提示教育》が搭載されている。相手取る場合は搦め手に注意しよう。

■ペインターコンボ

《絵描きの召使い》で全てのカードに色を付け、《丸砥石》でライブラリーを削り切る。これがペインターコンボの基礎構造である。

元々レガシーに存在するコンボデッキだったが、相性が良く、かつ単体で盤面を制圧可能な《ウルザの物語》を獲得して状況が一転、一気にスターダムを駆け上がり、メタデッキの一角を占めるようになる。

従って、昨今のペインターコンボは、極論「《絵描きの召使い》と《丸砥石》と《ウルザの物語》が入っていれば、あとは何を入れてもどうにかなる」と言えなくもなく、そのため、様々なタイプのペインターコンボが世に解き放たれている。

この記事では、その中でも最も多い赤単型のペインターコンボについて触れていきたい。

赤を採用する理由として最も大きいのが、アーティファクトのサーチに長けた《ゴブリンの技師》を採用できることだ。これによりコンボパーツである《丸砥石》《絵描きの召使い》を墓地に埋め、自身の能力で盤面の適当なアーティファクトと入れ替えてパーツを揃えるといった流れが基本的な流れとなる。

《ブレイヤの見習い》も侮りがたい。場に出たときにアーティファクトトークンを生成でき、かつアーティファクトを差し出すことで疑似ドローやパンプが可能となる。こいつ自身もアーティファクトなので、自身を生贄に捧げつつ、《ゴブリンの技師》等で再利用してやることも可能となる。

また、赤を採用している都合上、《紅蓮破》《赤霊破》は標準搭載されている。基本は《絵描きの召使い》で全て青に塗った後のカウンター+パーマネント破壊として利用するが、環境に跋扈する《濁浪の執政》を葬れるというメリットもある。

■スニークショー

序盤で手札を整え、準備が整い次第《実物提示教育》《騙し討ち》で《グリセルブランド》や《引き裂かれし永劫、エムラクール》を展開及び射出。かつてレガシーで栄華を極めたコンボデッキ、スニークショーの戦い方である。

元々トップメタに居座るほど強力なデッキなのだが、悲しいことに、「令和に入ってロクに新規パーツを供給されていない」という特徴も持ち合わせている。そのため、他のデッキがメキメキと強化されているのを、ただ指をくわえて見ているしかなかったデッキでもあるのだ。

更に悪いことに、URデルバーがトップメタとして君臨してしまったため、環境が《紅蓮破》を標準搭載するメタゲームに移行。その中でデッキの核である《実物提示教育》が《紅蓮破》の的になってしまい、いよいよ立ち位置が悪くなってしまう。

以上二つの出来事が重なってしまい、ここのところしばらくは環境の表舞台に出てくることはなかったスニークショー。しかし、ここ数ヶ月は更に状況が一変。

URデルバー以外のデッキが強化され、URデルバー一強の時代が終わりを告げると、今度は増えてきた赤単プリズンや多色コントロールを食い物にするべく、数を増やしてきているとのことである。こうやって以前のデッキが活躍できるようになるのも、メタゲームの妙と言えるだろう。

ちなみに、新規パーツに恵まれないながらも色々な研究がなされているようで、サイドボードに《敏捷なこそ泥、ラガバン》を入れることがあったりだとか(※今は禁止されているのでできません)、《激情》を突っ込んで盤面に強く出られるようにしたりだとか、そういった細かい工夫が見られるのが面白い所である。

上のサンプルリストを見ると、今最もレガシー民が「兄弟戦争」で注目しているカード、《兄弟仲の終焉》が搭載されている。スニークショーがこのカードと共に今後もメタゲームに根付く存在になるのか、これから注目していきたいところだ。

3.終わりに

以上、レガシーのメタゲームの解説をざっくりとだが行った。明日から開催されるEWEやエターナルパーティーの参考になれば幸いである。

もちろん、上で挙げたデッキがレガシーの全てではない。ほぼありとあらゆるカードが使えるレガシーでは、あなたの想像のはるか上を行くデッキやカードと対峙することもあるだろう。これこそがレガシーの難しい所であり、醍醐味でもあるところだ。是非存分に味わってほしい。

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