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【艦これ10周年記念/ゴジラ-1.0公開記念】震電を作った九州飛行機とはどんな会社だったのか?というレポートを書きました

旧軍の航空機といえば兎にも角にも「零戦」が真っ先に挙がると思うのですが、それ以外となるとどうでしょう、「震電」もかなり有名な部類というか、そのエンテ型という独特の機体形状で厨二心をくすぐる存在ではあろうかと思います。
震電自体は大人気なので詳細なスペックや完成機の記録(試験飛行や戦後の米国の扱いや現在のスミソニアンでの展示状況など)については詳しい方が多いように思いますが、一方で、震電を製造した九州飛行機については、現在は渡辺鉄工として事業を続けていること、九州飛行機になる前は渡辺鉄工所といって海軍向けの水雷兵器や陸海軍向けの航空機の車輪を製造していたこと、昭和18年には九州飛行機と九州兵器が分離したこと、くらいはWikipediaにも書かれていて、一般的にはこれで十分なんでしょうけど、微妙に不十分・不正確で、企業史・経営史的に見る場合にはかなり物足りない感じがいたします(そういう意味では北海道ちほく高原鉄道もそうでしたね)。

で、どんな会社だったのかもう少し詳しく、となると資料としては
✅営業報告書自体は設立初年度から戦後まできっちりある
✅生産機数や生産拠点のデータは米国戦略爆撃調査団の報告書とその原稿がある
✅創業期から最盛期まで会社を率いた渡辺福雄については伝記がある
あたりが出てきます。これまとめれば一通り軽く行けるんじゃね?みたいな感じになるので、やってみるかということで取り掛かって、取り掛かったところ、記載している事象について事実関係の確認を取るのにずいぶん骨が折れて「軽く行けんじゃね?」という目論見は潰えた次第でしたが、結果としてそれなりにちゃんとした内容の同人誌としてまとめあげた次第です。

まずはコミックマーケット103(2023/12/30-31)の12月31日(日)の東ヒ56bにて頒布いたしますのでお近くにいらっしゃる際はぜひお立ち寄りください。
→Comike Web Catalog 103 マッシナレポート
https://webcatalog-free.circle.ms/Circle/18026358

通販はコミケが終わったら行います。以下のリンクから頒布ページに飛びますのでよろしくお願いいたします。
→ マッシナレポート:渡邊鐵工所・九州飛行機・九州兵器・太刀洗航空機の研究~戦前の九州最大の航空機製造企業グループの経営分析
 
https://massina.booth.pm/items/5380728

今回のレポートの主な内容としては
✅渡邊鐵工所/九州飛行機/太刀洗航空機の1945年までの航空機生産数
✅渡邊鐵工所/九州飛行機の海軍機におけるシェア、太刀洗航空機の陸軍機におけるシェア
✅生産した航空機の簡単な紹介
✅創業から終戦までの事業概況(渡邊鐵工所、九州飛行機、九州兵器、太刀洗航空機)
✅水雷機器/航空機以外の民生品
✅住友金属工業との資本関係
✅不知火航空機(太刀洗航空機と片倉工業との合弁)
✅生産拠点と遺構
✅疎開工場の所在地の特定
✅協力工場の特定
✅学徒勤労動員を含む投下労働人員・時間と生産性
✅業績の推移(財務諸表)
✅株価の推移とバリュエーション
✅戦後の処理と新会社への転換、現在の状況
で、渡邊鐵工所/九州飛行機/九州兵器/太刀洗航空機の生産した航空機から、会社の概況(創業期から会社組織化、軍需会社化、戦時体制と会社の分割、終戦後の処理)、財務と資本政策、生産拠点と疎開など基礎的な情報を網羅した一冊となっています。

九州飛行機の現存する工場建屋太刀洗航空機で生産していた機体工場所在地の明確な場所と敷地の特定協力工場の正式な社名(法人名)疎開工場の所在地(可能な範囲での絞り込み)分工場から独立して現在も存続している企業、など、ネットで検索してもまず普通には出てこない情報もそこそこ盛り込んでまして、そうした意味でも九州飛行機についてはある程度ご存じの方々にも納得いただける内容になっているのではないかと思います。

長くなりすぎた分、財務分析というか細かい勘定科目の解釈についてはかなり少なめにしたので、全体的には入門書というか基礎的な資料という感じにはなっているかと思います。あれですね、証券会社の銘柄レポートでいう基礎レポート(英語だとprimerとかいうやつ)みたいな感じだと思っていただけると良いのではないかと思います。

ということで薄い本の宣伝でした!よろしくお願いします!

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