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【週刊プラグインレビュー】Signum Audio / SKYE Clipper

皆さんいかがお過ごしでしょうか?
急に冬になってきましたよね。
ついこの間までは、半そでにステテコで自宅でゴロゴロしていた僕も、毎年恒例のヒートテックをいそいそと用意をしている今日この頃です笑

急な気温変化、そして何より急な為替変化!に振り回されている日々ではありますが、なんとかかんとか、生きております。
一方で、周りからはライヴ活動が徐々に活発になってきて、なんとなく希望を持てる感じもちょっとずつしてきました。

皆さまにおかれましても、体調を崩しやすい季節になってきたかと思いますので、どうぞご自愛を忘れずに・・・。

さて、月末です。
今月もドタバタ更新ではありますが、やっていきます、プラグインレビュー!

SKYE Clipperとは?

ダイナミクス処理に高い技術力を誇るSignum Audioが放つ、新作のクリッパー。
以前取り上げたSKYE Dynamicsは他社にはない魅力があるダイナミクスプロセッサーで、シンプルながらも個性的なエフェクターだった。
今回も同じく、そのSKYEシリーズを冠したClipperということで、試す前から期待大でOK!の安心マーク付きと言っていいと思う。

大まかな特徴はこの3つ。
・7つのクリッパーアルゴリズム(クリッピングカーヴ)
・オーバーサンプリングを使用しないアンチエイリアス技術
・MIXノブ搭載でサチュレーターとしても運用可能。

この字面だけで、ピンとくる人はくると思うけれども、もうちょっと深堀してその魅力を記事ではお伝えできればと考えている。

そんなこんなで、最初から期待値が高いSKYE Clipperだけれど、試してみたところ、やっぱり素晴らしかったので今回は皆さんにご紹介したい。

クリッパーについてはある程度こちらでも解説しているので、興味がある方は是非。


機能面

シンプルな機能ではあるものの、全体的な機能をまずは把握していこう。

取扱説明書より引用

見た目の通り、かなりメーター類が充実をしていて、全体的にはFabFilterのPro-L2ライクなデザインになっている。
全体的なヒストグラムとゲインリダクション値が見やすいのが特徴的で、楽曲のどこでクリッパーが反応したか?をパッと一覧でみることが出来る。


コントロール部分

コントロール部分は非常にシンプルで次の5つのパラメーターで音を操作することが出来る。

Pre Gain
オーディオ入力に対して、クリッパーに入れる前に音量を調整するためのゲインノブ

Dry Gain ON/OFF
ドライ信号に対して前述のプリゲインを提供するかどうかを決めるスイッチ。パラレル処理でプリゲインを足した時に、DryとWETの信号の音量差が少なくなるので使いやすい。

スレショルド
クリッパーのスレショルド。グラフ上の波形を見ながら、スレショルドの線を上下にドラッグすることでも調整することが出来る。

TYPE
クリッピングのタイプ。
以下の7種類のアルゴリズムが用意されている。

Hard - クリーンで透明感のあるサウンド
Warm - テープスタイルのサチュレーション
Bite - より多くの倍音が追加される。
Bright - ハイエンドのサチュレーション
Bright Saturator - brightと同じだが、ソフトネス(クリッピングカーヴの急峻さを調整する)スライダーが追加されている。
Smooth - 微調整のためのサチュレーション
Aggressive - 強烈なディストーション

PostGain
クリッパーの後にゲインを調整するノブ。

Link
プリとポストのゲインをリンクさせるノブ。
最終の音量を変えないまま利き方を変えることができるので地味に便利。

Mix
Dry/WETノブ。

なお上記のパラメーターはすべてオートメーションでコントロール可能となっている。

検証してみる。

さて、スペック面を検証してみよう。

SNについて

まず目立つのはSNの優秀さだ。
概ねのノイズフロアは180dB以下に抑えられていて、これは優秀な部類だといっていい。

Biteアルゴリズム。リダクション無し。

リダクション無しでも倍音が発生しているので、単純にスルーするだけでもサチュレーターとして運用もアリな感じだ。

続いてリダクションをした時はどうなるか見てみよう。


あれ、不思議なことにSNが良くなっている・・?

これは結構不思議な現象が起きて、クリッピングしたときのほうがSNがいい。Biteアルゴリズムは奇数倍音がガンガン立っていく性能だが、あんまり見たことない結果がでてきた。

周波数特性について

周波数特性については、作業サンプリングレートを上げてみたところ、アンチエイリアス処理の正体が少し見えてきた。

20kHz以上の信号をなだらかなLPFで切っている。

なお、48kHz運用だと、これはなだらかにハイが落ちているように見えていた部分なので、真のハイレゾをつくる!系のプロダクトは要注意だが、この周波数帯なら基本的には問題ないように思える。

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