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【週刊プラグインレビュー】Submission Audio / FlatLine 2

急に肌寒くなりましたが、皆さんいかがお過ごしでしょう?
僕はというと、近所のワークマンでなんとかアウターを買ったんですが、機能性の高さゆえに暑すぎて、相変わらず服装が迷子になっております笑

他、今月は、月初に共著しているコレナガタクロウ氏、そして山本くんと韓国にセミナーを受けに行き、エンジニアとしてとのあり方を見直す月となりました。
尊敬しているクリスゲリンジャーの精神、そしてトップエンジニアとしての在り方をマニーマロキンから学ぶことができました。

これについても、語れる範囲でどこかで記事にしていけたらいいな~なんて考えてます。

さて、今回皆さんにご紹介したいのは、Submission AudioのFlatline 2です。
Flatlineの発売当初からマスタリングクリッパーとして愛用をしているんですが、今回目玉アップデートをひっさげてメジャーバージョンアップしてきました。
しかも既存ユーザーは無料でアップデート可能です!

というわけで、やっていきます!
プラグインレビュー!

Flatline 2とは?

FlatLine2はSubmission Audioというメーカーが開発しているクリッパー+リミッターの2in 1のアプリケーションだ。

このSubmission Audioというメーカーは、レコーディングエンジニアのErmin Hamidovicさんと、Andrew Scottさんの二人で運営されている小規模ベンダー。

ただし、彼らの実績は本物だ。
Periphery, Architects, Animals As Leaders, Plini, Devin Townsend etc
といった、ラウド系といえば・・!で思い浮かぶアーティストを数多く手がけていて、今回扱うエフェクター以外にも、彼らのスタジオでサンプリングしたサンプリング音源も取り揃えている。

前作のFlatlineが、スペックが強いマスタリングクリッパーだったのに対して、今回のアップデートで、3つのモードが切り替えられるようになった。
・Clipper
・Hybrid
・Limiter
のモードを選択することが出来る。
特にハイブリッドモードは、トランジェントの処理をクリッパーに任せ、それ以外の定常音の処理をリミッターに任せる・・・といった2段構えの構造になっている。
ultimate all-in-one maximizerを謳っており、自信作!といった感じだ。

Erminさんが滅茶苦茶まとな説明をしているので、興味がある人はチェックしてみて欲しい。


機能面

早速だが機能面を見ておこう。
マニュアルにかなり正確なサジェストがのっているので、合わせてご紹介していきたい。

Clipモード

Threshold
ゲインリダクションをどこから始めるか?の設定

Shape
0%がソフトクリップ、100%がハードクリップになるようWaveshaperを調整する。
90%から98%で使うのがオススメ。ただし、定常音にクラック音が混じりがちなのでミックスのバランスがよくとれていることが条件。
ソフトであるほど、所謂ADクリッピングのような音質になる。

Ceiling
Outputレベル

Hybridモード


Attack
アタック成分のエンベロープの挙動を決めるノブ。
速ければ早いほどトランジェントが制御され、遅いほど、パンチのあるトランジェントが形成される。
ドラムをどの程度前に出すか、後ろに下げるかのコントロールに使うと良い。製作者の個人の好みでいえば30-40msがオススメとのこと。

Release
リリース成分のエンベロープの挙動を決めるノブ。
速いほどよりクリーンでラウドになり、遅いほどスムーズでまとまりのあるサウンドになる。
60msから100msがスイートスポットのように感じるが、EDMのようなエネルギッシュな音楽ではより速く設定することも。

Colour
リニアなゲインリダクションからどの程度逸脱させるかを設定するノブ。
0%からスタートして、満足するトーンになるまで時計回りに回すだけでOK。
Lookahead

どのぐらいの速さでアルゴリズムがトランジェントに反応するかを決めることが出来る。
速いほどクリーンで歪が増加する。遅いほど滑らかだがオーディオ信号の音色が変化する。
LookAheadは歪を少なくすることができるが、音質が柔らかくなってしまうのが弱点。許容できる歪を維持しながらなるべく低くつかうとよい。

Stereo LINK
TransientとSustainのステレオリンク
リンクが解除されているほど音像が大きくなり、拡散していく傾向になる。
センターイメージのフォーカス具合をコントロールする。キックとスネアが失われている場合は大きく戻せばいいが、ほとんどの場合はリンクはOFFのままでいい。

Limitモード


みたまんまなので割愛。
マスタリング用途ではなく、個々のトラックやバスのトランジェント制御をするために使う用途で開発されている。

その他


ヘッドフォンマーク
Delta信号(処理された信号の差分)を聞くことができる。
「↑」マーク
オートゲイン
盾マーク
オーバーサンプリング時にピークが飛び出さないように、後段にハードクリッパーを挿入するモード。
地球儀マーク
プリセットを切り替えたときに、ゲインやOS、ディザなどのオプションが切り替わらないようにするボタン。地味に便利。
オーバーサンプリングについて
マスタリング中はOFFで使うことをおすすめしている。というのも、エイリアスの量を減らすことはできるが、フィルターによって独特の可聴効果をもたらしてしまうため。
64倍までオーバーサンプリングができて、そうすると24ビットのディザーのノイズフロアの下までエイリアスノイズを押し込むことが出来る。

検証してみる

複合ユニットなので、特にこれといって検証項目も少ないのだが・・
歪みかたを参考までに。

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