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時を知る権利

 時間を知りたい時に知ることができない。これ、現代社会においては、もはや恐怖じゃないですか?電波が通じないところでも、アナログ時計で時刻はわかる。「時間がわかりませんでした。」なんて遅刻したら、日本社会じゃやっていけない!
 って、僕も思ってるんですよ!でも小学生の時までは、僕にとって時間を知るのはハードルが高かった。あっ、別に文明から遅れた未開の地に住んでいたわけじゃないですよ!
 時間がわからないっていうのはいたってシンプルで、まっしーぐらいの視力だと、時計の文字盤も見えないんですよ。だから、保育園の時とか、友達とおもちゃの貸し借りをする時に、「長い針が6のところに来たら交代ね。」って言われても「なんじゃそりゃ!」って感じでした!(あっ、ちゃんと友達にはおもちゃを貸しましたよ!ここ重要!)。
 小学校に入学したら、両親に音声で時刻を知らせてくれる置時計を買ってもらいました。時計の上のボタンをポンと押したら、「午前8時27分です。」ってしゃべってくれる。うん、いい感じ!旅行の出発時間前とか、見たいテレビ番組が始まる前とか、ソワソワして時計をポンポン押してた。それで、「時間気にしすぎ!ちょっと落ち着きなさい。」って親に怒られた。音声の時計って時間を調べてるのがすぐにわかっちゃうのが難点…。テスト中ももちろん使えないし、ましてや会議中とか取引先の前で時計をしゃべらせたら、気まずくなるのが目に見えてる…。
 でも、テスト中に時間がわからないってすごく不安じゃないですか。盲学校の小学部の時に、担任の先生が「テストは時間配分が大事だよ。」って言うから、テスト中に手をあげて「先生!テストが終わるまであと何分ですか?」って定期的に聞いてたら、「時間を気にしすぎだ。テストに集中しなさい。」って怒られた!はあ?たしかに時間を聞く回数が多かったかもしれないけど、時間を気にしないで時間配分をしっかりするってそれ無理じゃないっすか?未熟な思考回路でも、世の不条理を感じたのでした(笑)。
 中学生になると、触読式腕時計を買ってもらいました!これ、ふたをパカッと開けると、文字盤と針が触れるようになってるんです。超便利!テスト中とかも誰にも迷惑をかけずに自分の好きな時に時間を確認できる。なんてすばらしい!しかも、机の下とかでこっそり触れるから、今でも、会議中とか接待の食事中とかに時間を確認するのに役立っています!
 分単位で時間に追われる日本社会が善いか悪いかは別として、空気を吸うみたいな感覚で時間がわかることってかなりすごいなって、幼いころを振り返って時々感じるのでした。