前日は眠れなかった。時間を知る方法もなかったし、眼鏡もないので、昼も夜もわからない。仰向けに寝ていたので、どんな部屋にいて、どんな人が出入りしているのかもわからない。身体は熱かったり寒かったり、呼吸が辛く、時々痰の吸引をしてもらったりしていて、なかなか落ち着かずにいた。

手術は麻酔のおかげで知らないうちに終わった。いよいよ始まるんだなと思ったら、本当に、気づいたら終わっているのだ。恐るべし、麻酔。

リハビリやレントゲン、回診、いろんな線の抜き差し、痰の吸引をして過ごす。尿道カテーテルのおかげで、おしっこは勝手に自分の気づかないうちに排出される。看護師さんが確認し、適切に廃棄してくれた。

意識はしっかりしていた。音も聞こえるし、理解も問題ない。ただ声がでない。話ができないので、頭がはっきりしていることがわかると、周りは驚いていた。