〜謎の皮膚病、あるいはお医者さんという人たち〜① 「リリカOD」とは何だ?

 私が何故にこのnoteをやろうとしたかと言えば、誰かの役に立ちたいと思ったからである。私の原稿は大昔から、役に立つかどうかを基準にして書かれている。でも今回は音楽やロックとはまるで違うテーマ。人生観や生き方を変えるとか、アングルを見直すとか、そうした目論見もない。ただ老人の侘しい現状とやがて誰にでも訪れる災厄の準備をしてくれればいいと思って書く。
 それが例えば、私の様に謎の慢性皮膚病に悩んでいる人への具体的な解答の一端を示唆することになれば幸いだ。
 長くなると思われるので、現在悩んでいる方のために結論から書く。英名プレガバリン、日本名「リリカOD錠」が効く。
 もちろん私は医師ではないからこの薬効の仕組みはわからない。しかしこの薬は偶然私には非常に効いたのに、皮膚科の医師から処方されることは多分当面ないだろうと思うからこそ、ここにしたためる。

 私は5年前の8月に、皮膚病医師の最高権威が集結すると言われる病院の行列待ちをする患者の多さを目の当たりにして心底ぞっとした。そこでは「ナローバンド光線療法」なる対症療法が行われていた。それは特定波長の光線を照射して皮膚疾患を治癒する最後の兵器だった。そして、私もその最終治療の列に並ぶ一人だった。
 私の担当医師は若い女性でアブリル・ラヴィーンそっくりなアイラインが似合う美女だったので、最初の受診日から彼女は女医サウンドと呼ばれることになった。女医サウンドが言うには、光線療法は最後の砦だが、効かない患者も多いという。それゆえに民間療法と認知されて高額の医療請求をされることのなきよう、病院幹部が厚労省に働きかけて保険適用に持ち込んでいるのだそうだ。
 そのような裏話を聞きつけても、心は晴れなかった。何故かと言えば、私は海水魚やサンゴを飼育している関係上、光の波長にはそこそこ詳しいので、そんな日焼けサロンみたいなことをするなら、日光浴をすれば全部の波長を受益できるのではと質問したのだが、アブリル女医サウンドが言うには、特定波長だからこそいいのだと言う。私ごとき素人が反論していい場面ではない。でもその一定の波長を出す光線の仕組みは見たところただの蛍光灯ではないか。蛍光灯の劣化は非常に早い。特定波長に特化したつもりでも半年も経たずに変わってしまうだろう。いやそもそも光線って。これで治るのか?

 光線の療法に移行する前に私は手術を受けた。ある時深夜に無性にラーメンが食いたくなって、かねてから食うならばそれと決めている横浜家系の店に行って旨い美味いと普通に帰って寝て起きたら、ふくらはぎに怒涛の発疹が出ていた。これはどういうことだろうと女医サウンドに聞いたが「全くわからない」と言い放って他の客じゃねえ、他の患者さんのところに移動してしまった。
 皮膚のことは、現代でも全くわからないことだらけなんだなとある意味感心した。次に行われたことはそのふくらはぎの疾病部位皮膚を手術で切り取って観察培養してみることだった。これは麻酔を打って行われる本格的なものだったので期待したが、結局2回やってそれぞれ2週間もかけて分析しても何も分からなかった。せめて病名でも付けてくれればいいのに、後になってある経路から判明したことには、ドイツ語での「発疹症状」とだけ書いてあったのだった。一体俺の病気は何なんだ?

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