月刊群雛 2015年 02月号 感想

 感想については、ポリシー2015年版をご参照ください。


月刊群雛 2015年 02月号(1月27日発売)

仲俣暁生・古田靖・堀田純司・鷹野凌『第1回電子雑誌サミットレポート』〈イベントレポート〉

……雑誌は個性を競ったり戦ったりし始めると自然に面白くなるので、おたがいに、ある意味のバトルをしかけたらいいのではないか。

コユキキミ『ハハとムスメ』〈新作読み切り・小説〉

……気分がいい。言葉と表現が合致している。ほぼ実話、という先入観はズルい。

ハル吉『デリヘルDJ五所川原の冒険』〈新作連載第3回・小説〉

……ハートが暖かくなる。語りの魅力が出ている。

花笠香菜『新約幻想ラボラトリー』〈既刊サンプル・小説〉

……一般性は低い。柔らかな文章。ソフトでこけおどしはない。

神楽坂らせん『異世界構築質問リスト5』〈新作連載最終回・翻訳創作用ツール〉

……お疲れ様です。

君塚正太『とある精神病者の手記』〈新作読み切り・小説〉

……読者を選ぶ作品。語彙が豊富。多弁ともとられそう。

婆雨まう『ワナビ売上げでコロッケを買う』〈既刊サンプル・エッセイ〉

……ファイト!

くみ『井の頭cherry blossom~restart~The Blue Marble』〈新作連載第4回・小説〉

……より広い読者向け作品に思えるが、読みやすい部分とわかりにくい部分の混在しているのが気になる。

魅上満〈新作描きおろし・イラスト、くみコラボ扉絵〉

初瀬明生『Fと成りうる者』〈既刊サンプル・小説〉

……素直で読みやすい文章だが、内容はちょっと難しい。

晴羽照尊『頽廃のキルケゴール』〈新作読み切り・小説〉

……言葉を選んで組み立てようとするタイプ。ストーリーよりも一行ごとの意味付けを重視しているようだ。どちらかといえば読者を選ぶ作品。

波野發作『ヴェニスンの商店』〈新作読み切り・小説〉

……行き先不明だが快適。引っ張り回されるのも悪い気はしない。読みやすく、いろいろとくすぐられる。かなり一般向け。

竹島八百富『八』〈既刊再録・小説〉

……柔らかなタッチで書けている。しかし楽しくはないのは、オチがわからないから。

雅日野琥珀〈新作描きおろし・表紙イラスト〉

■■■■今月の気づき■■■■

 一般向けなのか、読者を選ぶのか、という線引きは実はあまり意味はないのかもしれません。それを乗り越えて新たな発見をすることは読書の楽しみの一つでもあるからです。ただ、読者を選ぶタイプはその方向で努力をして書いているのではないかと推測できますし、一般向けにしようという方向で努力をして書いているのではないかと推測できる作品とは、やっぱりどこか違ってきます。それが、読んでいてどうしても気になってきます。もちろん、著者は、そんな気はまったくなく幅広い読者に向けて書いているのかもしれません。私の感想とは逆の意図で書いているかもしれません。だとしても、そう受け取る読者もいるんだと思っていただければと思い、感想の基準に加えています。

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